ゴーレム使いの成り上がり

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
62 / 88
第二部 成り上がり編

第61話 氷結の大魔法使い

しおりを挟む
「みんな聞いてくれ。町を救う事になった。今度の作戦はフィオレラに無理をしてもらう事になる。町を救う価値が無いと思うなら止めてもいい」
「教会長は家族みたいに思ってますし、他にも大切な人が沢山います」
「そうだな。俺も親方や女将さんなど世話になった人は沢山いる。ドラゴンの時にも逃げようと思ったが結局逃げなかった」
「やりましょう。どんな事をすれば良いですか?」
「みんなにも手伝ってもらう」
「はい、やる」
「聖騎士だから民を救うのであればいやはない」



 作戦はこうだ。
 ワイバーンの群れの進路上に餌を置いておびき寄せる。
 餌を食っている時、隠れていて冷却のスキルを辺り一帯に掛ける。
 動きが鈍ったところを大量の魔力ゴーレムの一斉魔法で攻撃。
 魔力ゴーレムの攻撃は特大の魔石で作った魔力障壁の魔道具で防ぐ。
 傷を負ったワイバーンをギルドで集めた低ランクの手勢で蹴散らす。



 早速準備にかかった。
 餌を置いておびき寄せる場所をギルドと相談して決める。
 生活魔法の冷却を使える人を紹介してもらう。
 フィオレラにスキルを覚えてもらった。
 おびき寄せる場所の中央に隠れる為の穴を掘る。
 ハンターには餌を狩ってもらう。



 俺のパーティは魔力ゴーレムを沢山作る為に森のあちこちを駆けずり回る。
 ビオンダさんが不思議がっていたが、秘術の為に魔力集めていると言ったら納得した。
 ゴーレムを作ってスキルを入れる為にフィオレラには無限魔力を何回も使わせてしまう。
 危ない行為だとは分かっているがしょうがない。
 魔力ゴーレムからスキルを入れられれば良かったんだが出来ないみたいだ。
 コピーからコピーは駄目って事か。
 同じ理由なのか魔力ゴーレムに魔力放出させて魔石に充填するのも出来ない。
 魔力放出の魔道具から魔石に魔力を充填するのは出来た。
 魔石は生物なんだな。
 思念が無いとコピーは無理と推測する。
 準備は整った。
 後は一人で穴に隠れ待つだけだ。



「みんな行って来るぞ」
「ギルドのみんなと少し離れた所にいます。危なくなったら、撤退の合図を出して下さい。絶対助けに行きます」
「約束があるうちは死んだら駄目だ」
「貴君は勇敢だ。少し見直した」

 フィオレラと抱き合いキスをする。
 こんな時だ良いだろう。
 フラグを立てた気もしたが、気にせず魔力ゴーレムと穴に隠れ蓋をする。



 待つ時間はなんで長く感じるんだろう。
 どれぐらい待ったかワイバーンの鳴き声が聞こえてきた。
 魔力ゴーレムを使い冷却を掛ける。
 大分気温が下がったので、用意していた防寒着を着込む。

 蓋の覗き穴から外を見る。
 爬虫類みたいだから冷やしてみたが、あれ予想外に効いてるぞ。
 ワイバーンは瞬きをして眠気をこらえている。
 もう少し待ってみるか。
 冷却を掛けながら少し待つとワイバーンは丸くなり寝ているようだ。



 思い切って穴から出て辺りを見回す。
 これ魔法攻撃したら、一斉に起き出して逆効果じゃないか。
 どうする。
 そうだもっと冷たくしよう。



 魔力ゴーレムを使い水魔法で液体窒素みたいな冷たい物を作り出しワイバーンに掛ける。
 水魔法はワイバーンに当ると魔力障壁によって魔力にかえっていく。
 問題ない。
 空気や周りの地面は冷えている。
 魔力ゴーレムを何度も取替えながら水魔法を執拗に掛けた。
 魔力ゴーレムが尽きるかワイバーンの魔力が尽きるか勝負だ。



 遂にワイバーンの中の一体の魔力が尽き凍り始めた。
 もう少しだ。
 やった全てのワイバーンが凍りついた。
 攻撃成功の合図を魔石銃で送り離れた場所にいる手勢を呼ぶ。



「どうなったシロク」
「ギルドマスター、水魔法で死んでいると思いますが、念の為今の内に魔石は取り出した方が良いでしょう」
「だいぶ冷える」
「ワイバーンも冷たくなっているから注意して下さい」
「分かった後は任せろ。おう、お前ら作業にかかるぞ」

 大勢の低ランクハンターがワイバーンの解体にかかる。
 大魔法使いだという声が上がると共に氷結の魔法使いだという声も聞こえる。



 人ごみから数人こちらに駆け寄ってくる。

「シロクさん無事で良かった」
「フィオレラ心配をかけた。これでSランクだ」
「シロクさん、おめでたい」
「ありがとう、ローレッタ」
「貴君は本当に悪運がすごい。きっとどんな戦いでも生き残れるぞ」
「ありがとうビオンダさん、みんな心配を掛けた。これからも危ない場面はあるだろうけど、みんなで乗り切っていこう。さあ凱旋だ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

処理中です...