ゴーレム使いの成り上がり

喰寝丸太

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第二部 成り上がり編

第53話 ワイバーン

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 俺達はオークの領域を縦断し、ワイバーンの領域に無事入った。
 野営をして朝から狩りに出る。
 ワイバーンの領域は今日は静かでまるでゴーストタウンの様。

「なぁなんか今日やけに静かじゃないか」
「魔力探知にも全然掛かりません」
「こった雰囲気は前にも経験がある。その時は山の主がではで来た」
「そういうのはフラグと言ってその通りの事が起こったりするもんだ」

「あそこに大きい鳥みたいな物が見えます」
「どれどれ、どんどんこっちに近づいて来るじゃないか」
「もしかしてあれがワイバーンでは」
「やばい、【土魔法】」

 魔力ゴーレムで特大のトーチカを出す。



 これで防げれば良い。窓から見るワイバーンはみるみる大きくなり大きさがはっきり分かる所まで近づくと特大の火の玉を吐いた。
 トーチカに火の玉が当ると爆音と揺れが襲って来る。
 耐えているがじり貧だな。
 どこかで反撃しないと。
 タイミングを見て土魔法を解除しトルネードを出す。
 トルネードはワイバーンの胴体に当ると消えていった。

 あれっどうした慌てて分析をする。
 ワイバーンは頭は火魔術、翼は風魔術、胴体は魔力障壁を纏っている。
 三つ同時だとぉ、ずるすぎる。
 たぶん翼を狙って炎の槍で攻撃しても魔力障壁で防ぐのだろうな。

 トーチカを再び出して時間を稼ぐ。
 どうしたもんかな。
 さっきから断続的に爆音が鳴って揺れが襲う。
 耐えるしかないか。
 全速力で走っても逃げれないよな。
 封印で何とかすべきか。
 銃じゃあの巨体には効きそうにない。

 爆音が消えたら、羽ばたきが聞こえた。
 今度はなんだガリガリ引っかく音が凄い。
 しばらくすると窓の外に口が見える。
 窓から口を入れようと盛んに口で突く。
 やばい火の玉を窓に吐かれたら、丸焼けだ。
 急いで窓の位置を変える。

 窓の位置に合わせる様に顔を寄せてきた。
 吐き出される息が生臭い。
 しかたない根競べだ。
 もぐら叩きのような攻防を開始する。
 十分程窓の位置を変えていると突く音がしなくなった。

 恐る恐る窓から外を見る。
 羽ばたきの音が聞こえ、ワイバーンの背中が遠ざかっていくのが見えた。
 どうやら危機は去ったようだ。



「みんなもう大丈夫のようだ」
「大きかったですねワイバーン。四メートルは超えてました」
「怖がっただ」
「今日は狩りは中止だ。オークの領域に逃げ込もう」
「それがいいです」
「手に余る時はやり過ごすのが一番だ」

 オークの領域にほうほうの体で逃げ込む。



「オークの領域で狩りをして時間を潰そう」
「「はい」」

 オークの領域で狩りをする。
 この領域の魔獣はもう問題にならない。
 五回狩りを行い野営する。
 明日はトラブルが無いように願いながら眠りに就く。



 朝になりワイバーンの領域に狩り行く。
 魔獣を探す。見つけたみたいだ。魔力障壁持ちらしい。
「見えてきた。あれはトレントか」

 巨木の根元には魔獣の骨が幾つも転がっている。
 トレントからは幾つもの蔦が生えている。

「どす、接近すと蔦で攻撃してくるのだびょん」

 ローレッタが聞いてくる。

「資料によれば安全な倒し方は蔦で攻撃してきたところを切り払い。全部切ったら、本体に斧で攻撃する」
「そいだば簡単だのでは」
「蔦がな復活するんだよ。本体に斧を三度ぐらい入れると」
「切り倒すまで繰り返す訳だの」
「そういう事だ」
「斧もねし。剣もあらんよの」
「今回は力技だ【念動】」



 加速砲の準備をする。狙いは木の真ん中に有る魔石だ。
 魔鉄の砲弾を加速砲に入れる。銃弾は加速し魔石に突き刺さった。



 トレントにゆっくり近づく。分析で見ても魔力障壁は発動していない。

「【風魔法】【風魔法】……【風魔法】」

 風の刃を何度も叩きつけトレントを切り倒す。

「切り倒しはしたが持って帰るのは一苦労だよな」
「馬ゴーレムの出番ですか?」

 出番が来てフィオレラが嬉しそうだ。

「真ん中に穴が空いてるから二つに折ろうそれから枝も落とさなきゃ。先端を尖らせる必要もある。フックのでかいのも要るな」

 頑張って丸太をロープで運べるようになった時には野営の時間になる。
 ちなみにフックは加速砲の銃弾を変形させて作った。

「野営して帰ろう。たぶんオークの領域を抜けるのは一日余分に見た方が良いだろう」
「食料は足ります」

 フィオレラが報告する。

「銃弾も矢も問題ねだ」

 ローレッタも答える。

「よし、じゃあ気を引き締めて行動しよう」

 帰路に襲撃は何度かあったが魔力ゴーレムと銃の相手ではなく問題なく帰ってこれた。



 トレントはサイプレストレントという種類でトレントとしては安い方らしい。
 金貨五十枚とちょっとになったから不満は無い。
 さて今回は反省点は無いがワイバーン強すぎだろう。
 倒せるのかあれ。
 時間があったので資料をみると倒すのにSランクのハンターが必要と書いてあった。
 今日の宴会は二人が料理を作ると言っていた楽しみだ。



「遠征の無事を祝して乾杯」
「「乾杯」」
「今回はワイバーンが怖かったな」
「生きた心地がしませんでした」
「狩にはあいうのは付ぎ物だ」
「あれ倒せないとSランク無理らしいぞ」
「そうなんですか。一緒に頑張りましょう」

 フィオレラらしい意見だ。

「努力で倒せる気がしないんだが」
「そった時は罠に嵌めるのが一番だ」

 ローレッタの意見は一理ある。
 しかしどんな罠ならいいんだ。
 思いつかない。

「まあとにかく創意工夫して行こう。その内いい考えが出るだろう」
「そういえば、パーティメンバーの件はどうです?」

 フィオレラが聞いてくる。

「考えてはいる。欲しいのは即戦力だ。見習いはどうもな」
「そうですか。私の方でも考えてみます」

「ローレッタは武器を銃か弓のどっちにするんだ」
「んだね攻撃力では銃。連射では弓だ。どっちにしろ魔力量が足りねだの」
「魔力はどうにかしてやりたいが、今のところ解決策はない。魔力ゴーレムをアビリティで運用するなんて手もあるぞ」
「それはしっくりいかなくありそった。弓が好きだんだば」
「スキル取れたのは弓関係だからな」
「銃はかろうじて許容範囲だ。次の遠征までに決める」

「私にも何か考えて下さい」

 フィオレラが割り込んできた。

「うーんフィオレラは封印覚えただろう」
「活躍してません」
「時間があれば何か考えてみるよ」

 なんか課題が増えた宴会だった。
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