ゴーレム使いの成り上がり

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
28 / 88
第二部 成り上がり編

第27話 馬ゴーレム

しおりを挟む
 さっそく朝一でフィオレラに土魔法をコピーしてもらう。
 だがそう上手くはいかなかった。
 土魔法は発動できない。
 なぜだ、やっぱり無属性と言う事なのだろう。
 ローレッタが洗浄をコピーしてもらって上機嫌で出かけようとしているのを捕まえる。

「ローレッタ、これから弓買いに行くんだよな。だったら、投げナイフも買わないか?」

 ローレッタには物理攻撃を極めてもらいたい。
 弓以外の中距離から遠距離といったら、投げナイフぐらいしか思い浮かばなかった。

「んだねだの。これでもう足手まといなんて言わへね」
「庭が狭いから弓の練習は出来ないので投げナイフの練習をしてほしい。筋力強化の訓練にもちょうど良い」
「はい、いっぱい練習す。では行ってく」



 ローレッタが出かけたのでフィオレラを連れ庭に出る。

「フィオレラ、魔力探知かけてみてくれ。家の周りに怪しい奴いないか?」
「【魔力探知】周りに人はいません」

 ギルドマスターは凄い疑ってた。
 俺なら監視付けるけど、どうも違ったみたいだ。
 俺の考えすぎか。



「いきなり変な事言ってすまない。それでせっかく休みだ。しかし、フィオレラには馬ゴーレムを試してもらいたい」

 馬ゴーレムはゴーレム商隊や貴族の馬車などで主に使われているゴーレムだ。
 安定性は良いが、慣れるまで操るのがとても難しい。
 熟練者は二頭同時に操ると言うがそこまでいくと職人芸だ。

「はいやってみます。【ゴーレム作成】【ゴーレム操作】」

 泥で馬ゴーレムが出来上がる。
 さっそく歩かせているが前足と後ろ足が同じ動きだ何かが違う。
 そして、曲がろうとして失敗している。

「初めてにしては上手い。後で石でゴーレムを作ろう。今日は休みだから明日から本格的に練習しよう」
「なんで馬ゴーレムが必要か聞いていいですか?」
「ワイバーンの領域は木の間隔が狭くて大型のストーンゴーレムは移動できない。荷物運びとして馬ゴーレムが最適なんだ。慣れるのに時間が掛かるから練習あるのみだ」

 そうだ、露店に飯食うついでに味覚強化を見てこよう。



「あのー串焼き三十本買うから味覚強化を使っているところを見せてもらえません?」
「お兄さん変な注文する。さては料理人の卵だろ。スキル見たからって料理は上達しないぞ」
「駄目です?」
「味や手順は盗む物だ。まあ、先輩として見せてやらん事もない。いくぞ【味覚強化】ふむタレはいつもの味だ」

 やっぱり舌に魔力を纏わせて味を知りたいというイメージで味覚強化を実現している。今日のスキル訓練の時にフィオレラに教えよう。

「ありがとうございました」
「おう、頑張って修行しろよ」

 余った串焼きは処分の為に孤児院に差し入れる事にした。



 家に帰り、腹ごなしに馬ゴーレムを色々試していると、ローレッタが帰ってきた。

「馬ゴーレムだか。商隊でいぐ見かけだ」
「ちょっと練習してた。弓は買った所で試したか」
「筋力強化すごいだの。クロスボウより威力が出はだ」
「今日中に確かめたい事がある。筋力強化のアビリティがどれだけの時間できるか試してほしい」
「具体的に何ばへば」
「そうだな、筋力強化掛けて薪割りだ」



 裏庭でローレッタに薪を割らせる。

「魔力切れだ」
「ローレッタの魔力量だと大体二時間だ。弓を引くときだけ使えばいいから充分使える。明日から今日買ってきた弓に切り替えよう」



 日は替わり。
 ストーンゴーレムを連れずに泥の馬ゴーレムで狩りに出た。

「どうだ、フィオレラ、なんとかなりそう?」

 フィオレラが操る馬ゴーレムはフラフラとして安定してなかった。
 木の根に躓いたり危なっかしくてしょうがない。

「だめですね。操れる気がしません」
「馬ゴーレムは捨てていこう。操作は後でプロに教わろう」
「そうしましょう」
「せっかく狩りに来たのだからローレッタの弓を試していこう。魔獣を探そう」



 魔獣は見つかったが、数が少し問題だった。その数十一匹。

「トーチカと鉄条網だ。ローレッタ魔獣が見えたら、ドンドン撃っていいぞ」

 魔獣が見えたと思った瞬間にローレッタの矢で倒れている。
 フラッシュバンの出番がない。

「フンッフン♪シッ」

 鼻歌を歌いながら上機嫌で撃っている。
 正面の四匹程倒したら、魔獣は引き上げていった。

「やっぱりウインドウルフだったか。もう一狩りいくか」



 しばらく、魔獣を探す。
 魔獣を見つけた。
 この特徴的な足音はオークだな。
 ストーンゴーレムは無いが、フラッシュバンで何とかなるだろう。

「厚いトーチカだ。ローレッタ先制攻撃してみろ」

 ローレッタは近づいてくるオークに素早く連続して矢を放つ。
 矢筒から引き抜いて撃つまでが速い器用なんだな。

「両目に当たっている。絶好調だなローレッタ」

 炎の槍で止めを刺す。
 オークは崩れるように息絶えた。

「もったいなかった。ストーンゴーレム持ってくれば良かった。魔石を取ったら、帰ろう」

 馬ゴーレムは駄目だったが、ローレッタはかなり戦力アップになった。



 次の日になり狩りは休みなので商業ギルドに行くことにした。
 受付でクリフォードを呼び出す。

「こんにちは、クリフォードさん」
「今日はどうされました」
「お願いが幾つか有ります。変形のスキルを持った職人を紹介してもらいたいのと。馬ゴーレムを習いたいので何方か紹介してくれませんか」
「変形と言う事は又なにか新しい商品ですか紹介しましょう。馬ゴーレムの扱いに長けた人には一人心当たりがあります」

 紹介状と地図を書いてもらう。

「ところで、こないだのスキルコピー屋上手くいきそうですか?」

 ついでだから聞いておく。

「今店舗とか人員を確保している最中です。ですが一部の人にはとても感謝されています」
「というと」
「契約魔法は契約を反故ほごにされた商人がよく獲得するのです。契約を反故ほごにされ借金を抱え仕事もままならない人に希望になっているのです」
「それは良かったですね。問題とか起こってないです?」
「治安機関に契約確認のスキルを怪しい人に使うように通達したぐらいですかね」

 そうか悪用される事も考えなきゃならないのか。

「その他には何かあります」
「条件を複雑にしたり。一度に沢山のスキルを許可しようとすると魔力をかなり消費します。現在条件はなるべく掛けない方向で検討しています」
「そんな事が一回の値段とかどうです?」
「スキル一つにつき大銀貨一枚ぐらいを目安にいこうと思っています」

 日本円換算で数万円か。
 いい値段だ。

「商売には詳しくないのでそちらはお任せします」



 時間が余ったので馬ゴーレムの扱いに長けた人の所に行く。
 尋ねて行った所、そこは南門の外の倉庫の脇の小屋だった。

「こんにちは、ゴーレム使いのシロクです。こちらに馬ゴーレム使いの人がいると聞いたのですが」
 開けっ放しの小屋の中にいる。老人の男性に話かける。

「おう、昔取った杵柄でなんとかやっているデリックだ」
「何のお仕事をされているのですか?」
「馬ゴーレムの格納倉庫でゴーレムの管理をやっとる」
「紹介してもらったのですが、馬ゴーレムの使い方とか教えてもらえますか?」
「仕事の片手間なら。そうさな、一日銀貨五枚でいい」
「次の時に一人増える予定なんですが、その場合大銀貨一枚でいいですか?」
「それでいいぞ。大体毎日小屋にいるから暇な時来てくれ。一応聞いとくが、どのレベルまで習いたい」

「普通に歩ければ良いです」
「馬の歩き方は色々種類があって。一般的なのは常歩なみあし速歩そくほ駈歩かけあし襲歩しゅうほだ」
「どう違うんです」
「全部説明するのは面倒だから常歩なみあし速歩そくほだけ簡単に説明するぞ。常歩なみあしは馬が歩く時の歩法だ。速歩そくほは小走りだ」
「走る速さで歩き方が違うと言うことですか?」
「そういう事だ」
「荷物を載せたいだけなので常歩なみあしからにします。速歩そくほは時間に余裕があれば覚えたいです」
「そうだな、それがいいだろ」
「暇な時に又来ます」

 ちょうど良い時間になったので家に戻る。
 職人の所に行くのは今度の休みだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

おまけ娘の異世界チート生活〜君がいるこの世界を愛し続ける〜

蓮条緋月
ファンタジー
ファンタジーオタクな芹原緋夜はある日異世界に召喚された。しかし緋夜と共に召喚された少女の方が聖女だと判明。自分は魔力なしスキルなしの一般人だった。訳の分からないうちに納屋のような場所で生活することに。しかも、変な噂のせいで食事も満足に与えてくれない。すれ違えば蔑みの眼差ししか向けられず、自分の護衛さんにも被害が及ぶ始末。気を紛らわすために魔力なしにも関わらず魔法を使えないかといろいろやっていたら次々といろんな属性に加えてスキルも使えるようになっていた。そして勝手に召喚して虐げる連中への怒りと護衛さんへの申し訳なさが頂点に達し国を飛び出した。  行き着いた国で出会ったのは最強と呼ばれるソロ冒険者だった。彼とパーティを組んだ後獣人やエルフも加わり賑やかに。しかも全員美形というおいしい設定付き。そんな人達に愛されながら緋夜は冒険者として仲間と覚醒したチートで無双するー! ※他サイトにて重複掲載しています

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

処理中です...