【R18】堅物敏腕ボスと初恋の君の運命的な再会~父の会社を買収した憎いアイツは幼い頃に一緒に暮らした大好きなお兄ちゃんだった~

星キラリ

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エピローグ

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【4年後 聖パトリック大聖堂】




ジェニは完璧な仕立ての
タキシードを着た竜馬を見つめて

ほぅ・・・とため息をついた




肩幅が広い竜馬のサイズに合う
既製の商品などないとわかっているので
この日のためにジェニは
三着もタキシードを作らせた




サイズをきちんと測り
背丈と広い肩にもしっくり合わせている



最近伸ばしている真っ黒の艶髪を
ワックスで横は耳にかけ
前髪がセクシーに垂れるようにジェニが
渾身のテクニックでセットしたものだ




それが今は天使のように美しい彼が
緊張でカタカタ震えている





「大丈夫よ!竜馬さん!リラックスして 」

「無理だよ!」




ジェニはあたりを見回して
彼を勇気づけるように愛想笑いを振りました



妊娠7か月の割には小さく横に広がっている
ジェニのおなかが目立たないように
ジェニもオーガンジーのウエストの
切り返しがないブラックドレスにボレロを纏っている 

髪もすっきりとお団子にし
ビーズのシュシュをつけている



このお腹の広がり具合は覚えがある
三人目はきっと女の子だ




「思ったより観客が多い!
観客席と近いじゃないか」




そう言った竜馬は冷や汗を流し
一点見つめをしている




ダメだわ・・・・
緊張がピークに来ているみたい 




ジェニがぐるりと目玉を回した時
どやどやと竜馬のいる
聖パトリック教会の楽屋のドアがバンと開いた音がした



数人の靴が床を歩く音
そして犬の爪が硬い木の床にカチカチ当たる音が響く




「お~い!竜馬!
なんでそんな隅っこに隠れているんだ?」



タトゥー彫師のロックハウンドが面白そうに言った



彼はタトゥーショップをシカゴ市内に何件も
運営する経営者になっていた
竜馬がシカゴに帰って来た噂を聞いて
真っ先に会いに来てくれた人だった


彼は自分のご自慢の全身タトゥーを
見せびらかしたいので
冬でもタンクトップにカウボーイハットだ




「緊張してるのよ 」




ジェニは肩をすくめて言った




ロックハウンドの横にセドリックとマミーもいる
セドリックもフォーマルに装っていて
真っ白なシャツにマミーがあつらえた
ブラックの蝶ネクタイをしている


セドリックの両腕には竜馬とジェニの子供が抱っこされ
肩にはセドリックお手製の
マザーズバッグをかけている




彼の右腕にはジョージ(丈次 三歳)
左腕にはアイラ(愛良 二歳)



二人とも竜馬の豊かな黒髪に
ジェニの茶色の目を受け継いでいる




この二人にとって
この世で一番恐ろしい存在はママで
何をしても怒らないパパと
セドリックは大好きな存在だ



二人はセドリックの首に蔓のように腕をまきつけ
緊張して楽屋を檻の中のクマのように
うろうろしている
自分の父親を面白そうにじっと見つめていた





その横でハナが尻尾を振りながら
ドレッサーに無造作に置かれている
匂いのきついヘアセット用品を
フンフンかたっぱしから嗅いでいる





バンッと竜馬がテーブルを叩いた





「・・・っやっぱり・・・
僕には無理だよ!!
おこがましいよっっ!! 」




「そんなことないわよ
あれほど練習したじゃない! 」




セドリックマミーはスマホに自撮り棒を差して
竜馬を撮りながら元気づけた




マミーも今夜はおしゃれして
竜馬の大学の卒業式と同じ
ライムグリーンのスーツで
同じ色の帽子にはモーニングベールが
マミーの顔を半分隠している




「んだ!竜馬のチェロ!素晴らしい」




セドリックも微笑んで言った



「そうよ!あなた!
あと5分であなたのチェロコンサートが
始まるわよ!補聴器の調子は?大丈夫?」




ジェニが夫に呼びかけた



「補聴器の調子は・・・バッチリだよ
でも・・・緊張して・・・」




竜馬がブルブル震える手を見つめてそう言うと
ずっと自分をスマホで撮っている
マミーに神経質に叫んだ





「こんな所を撮ってもしかたがないよ
それにずっと僕を撮るのやめてよマミー!」



「あら!録画じゃないわよ 」






ジェニもマミーの横で言った





「ライブ配信よ!」






「はぁ?どこに配信してるっていうんだ?」








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