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chapter18 竜馬の帰還

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「いつ渡そうか・・・・・
迷ってたんだけど・・・  」




ジェニが小さなラッピングした箱を取り出し
竜馬に恭しく両手で差し出した




クス・・・・
「プレゼント?今ここで? 」





ジェニが何を考えているのかまったく
想像がつかない

竜馬はわくわくしてラッピングについている
赤いリボンをほどいた





「なんだ?これ? 」





箱を開けると思いがけないものが入っていた


いったいこれが何なのか想像もつかない
竜馬は細長いピンクのスティックを手に取って
窓の明かりに照らしてマジマジと見た

そのスティック状のものの真ん中に
赤い線が入っている






「昨日ドラッグストアで買ったの
それは妊娠検査薬よ 」





妊娠検査薬?・・・・
竜馬はただじっとそのスティツクを見つめていた
思考が全然追い付かない





「真ん中に赤い線があるでしょ?」


「う・・・うん・・・・
これは?どういうこと? 」





検査薬の反応で・・・・
赤い線があることが重要なのかな?・・・・



そこでハッとした





「まさか!!! 」



「そう!そのまさかよ!!
おめでとう!パパ!! 」






二人は同時に向き合って大声で叫んだ!!






うぉ~~~~~っっ!!
「マジか?本当に???」


キャハハハッ
「ええ!本当よ! 」






竜馬はジェニを抱き上げくるくる回った
ジェニも竜馬の肩に手を置いてのけぞり
天を仰いで笑った





「ずっと私は健康優良児だったわ
風邪なんかも滅多にひかないの
初潮が来た時から毎月月初めには
ピタっと来るの・・・
遅れたことなど今までなかったわ
でも・・・・
アメリカに来て遅れてるのに気づいたの 」






「そ・・・・それじゃ・・・ 」




「うん・・・まだはっきりとは
病院に行ってみないとわからないけど
私・・・妊娠してるわ」






やっと落ち着いた竜馬がジェニを降ろして
少し離れて顔をマジマジと眺めた





「私・・・・
もし妊娠していたらあなたとこの家で
子供を育てたい 」





竜馬はジェニの言葉にとても驚いた
この家は竜馬の耳の治療の間の仮住まいと
考えていたからだ





「でも・・・・
君は・・・てっきり日本へ帰って
メビウスの広告マーケティング部で
今まで通り働くものだと・・・・ 」





ジェニが茶色い瞳をキラキラさせているのを見て
彼女が本気である事がわかった





「それも今までは大事だと思っていたけど
私は高校生の頃から中堅のサラリーマンのように
がむしゃらに働いていたのよ
これからはあなたとあなたの子供達のために
生きたいわ  」





ずっと考えていたことを
やっと言えたとばかりにジェニが微笑んだ





「この街に来た瞬間から大好きになったわ
ここなら子供を育てるのにとても
良い環境だと思うの
沢山の子供達と犬と
毎日ワイワイ暮らすの・・・・
あなたのほうこそ・・・・メビウスは? 」





唖然とジェニの顔を見ている竜馬に少し
不安になって上目遣いで竜馬を見る
竜馬がなにもかもすっきりしたとばかりに言う




「僕も・・・これまでずいぶん長い時間・・・・
メビウスに人生を捧げて来た
これからは僕がいなくても宗一郎達がやってくれるよ」





ジェニは思った・・・・




これまでに培った権力を放棄するのは
彼にとってたやすいことではないはずだ

ジャスティンが亡くなってからの彼は
「堅物」や「首切り屋」と呼ばれ
信じられないくらい生真面目な男性だった



めったに微笑むことも
笑うこともなかった



それが今では大いに笑い
大いに冗談を言い
ちゃめっ気たっぷりに人を
からかう魅力的な人物になった




彼の表情を見れば将来について
ちっとも不安は抱いていないようだった






「竜馬さんさえ・・・よかったら・・・
ジャスティンの家で私たちの子供を育てたい」






しばらく固まっていた竜馬がやがて
そっとジェニの手を取りにっこり微笑んだ






「うん・・・・そうだね・・・
ここは子育てには最高の環境だよ
僕は子供達には一流の環境と教育を与えてあげたい 」





ゆっくり二人は見つめあいながら近づき
両手をしっかり握り合った






「僕たちはここに根をはろう・・・ 
ジャスティンの家で僕たちの子供を育てよう
とっても嬉しいよ・・・・」







やがて二人の唇が重なり
いつもの熱い情熱が二人を包んだ
ジェニが口を開けて竜馬を迎え入れる

竜馬がジェニの腰を抱き自分の硬くなったものを
押し付ける


ジェニが竜馬の腰をもっととばかりに引き寄せ
片足を巻き付けた






ふいにジェニが頬を染め唇を離した





「そうだ・・・カモメは?・・・
まだ見てないわ?行かないの? 」






竜馬はハハハッと笑った





「ここに住むなら
アイツらと共存して生きていないといけないな
いつでも見れるよ特に朝方に行くと
「ここは本当に地球か?カモメの惑星じゃないのか?」
と思えるくらいさ 」




コツンとおでこをひっつける






「それより今はこっちのほうが大事」



「うん・・・・  」








二人は唇を重ねると同時に
服を脱いだ





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