上 下
685 / 700
chapter18 竜馬の帰還

14

しおりを挟む
「ねぇ・・・・竜馬さん・・・・」



「うん?」



「私ね・・・・ずっと考えてたんだけど・・・」




ジェニの声は穏やかで耳をくすぐる息は温かい
竜馬は自分の胸に乗せたジェニの
こんもり盛り上がった
温かい尻を両手で優しく包んだ





「うん・・・・ 」




「あなたがアメリカで
辛い少年時代を送って来たのは残念だわ・・・・
でも私はそれに感謝せずにはいられないの」




「感謝? 」





竜馬はいぶかしげに問い返した





「あなたはジャスティンの死を看取ったことで
悲しい思いをしたけれど・・・・
それが今のあなたを作ったのよ
強くて・・・
でも優しい男性・・・
力がありながら
思いやりも持っていて
人のために動くことを惜しまない
素晴らしいリーダーよ・・・
それが私があなたの中に見ているものなの」




ジェニは彼の髪を撫でて
真夜中色の瞳をのぞき込んだ






「でもこれからは
自分のための人生を送ってほしいの」



「ジェニ・・・・ 」





と竜馬が囁く





「誰のためにでもなく
自分の幸せのために  」




「自分の幸せ? 」







退院した夜・・・・
彼のジャスティンに対するの想いの
打ち明け話はジェニの心を高鳴らせた




今までジェニのために
いろいろ最善を尽くしてくれていた彼ならば
当然ジャスティンのためにも
彼は最善を尽くしたことだろう





彼はそういう人なのだ






「竜馬さん・・・・言ってくれたでしょ?
今私といてとても幸せだって・・・  」





ジェニが鼻と鼻をくっつけてきた
全裸で初恋の女性が妻として
今自分の胸に乗っかっている
こんな幸福なことはあるだろうか





「うん・・・・  」





たしかに毎日竜馬は
幸福に胸がはじけそうになっている
少し前まではこんな風になるなんて
思いもよらなかった





「君を愛しすぎて
僕の心臓はもたないと思ってるけどね・・・
とても幸せだよ」





「幸せのゴールデンルール黄金法則って知ってる?」




「ゴールデンルール黄金法則?」





竜馬は知らないとばかりに請け負い
ジェニを横に寝かせて向き合った
彼女の意志の強い茶色い瞳がキラキラと
竜馬を捉えている





「今現在が不幸だと思ったら
過去の事を嘆いてしまうわ
(あの時こうだったから―今こうなった)とか・・
(あの時こうしていたら―)とかね 」





「うん・・・そうだね・・・・
後悔しかなくなる・・・
そして未来にも希望が持てなくなるんだ」

 



ジェニの言うことは痛いほどよくわかる
走馬灯のようにジャスティンが死んでから
ジェニと会うまでの自分の心境が現れた






「でも今現在がとても幸福だったら
(ああ・・・
過去のあの出来事があったから今の幸福があるんだ)
と過去を黄金の記憶に変えれるの・・・
これを幸せのゴールデンルール黄金法則っていうの」




ジェニが竜馬の手を強く握った
しばらくの間二人は並んで横たわっていた

手を握りあい・・・・
お互いの体を温めあいながら





「私はいつもこの法則に則って生きて来たわ
過去を振り返るより
今、この瞬間を幸福の黄金にすることによって
過去をも黄金に変えれるわ
私はいつもこの考え方で全力を尽くしてきたの 」





竜馬は胸がいっぱいになってジェニを見つめていた


なるほど
彼女の強さはここから生まれているんだ

自分の愛しいお母さんや一郎さんを亡くしても
過去は振り返らず
ジェニは今現在自分を幸福にすることに
全力を尽くしてきたんだ・・・





「君はすばらしいよ・・・・ 」





竜馬が感動して
ジェニの髪を耳にかけて言った





真夜中・・・・・
夜明けはまだ遠い

時計の針の音だけが部屋に漂い
大気はひんやりと溶け
二人をそっと包み込む







「アメリカに行こう竜馬さん 」





「アメリカに?」






竜馬はすこし驚いてあやふやに笑った






「ジャスティンに会いに行こう
竜馬さん・・・・    」





竜馬は息をつめ腹筋をこわばらせた






「そして今あなたは私の元で
とても幸せだと報告するのよ」






ジェニはハッキリ断言した
妻の信頼の重みを感じて
竜馬の胸は熱くなった





ジェニはずっと考えていたことを
到頭とうとう口に出した
竜馬はしばらく無言でジェニを見つめた
少し不安になったがジェニは勇気を出して
その先を言った







「――もし今すぐが難しすぎるなら―ああっ・・」


「行こう」








竜馬は言った

ジェニの片足を高く上げて
一突きで彼女の中に入るのと同時に





「喜んで」








ジェニは身をよじらせ
温かく官能的な合意を示した







しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。 「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」 「別に誰も気にしませんよ?」 「いや俺が気にする」 ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。 ※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。

Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ 慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。    その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは 仕事上でしか接点のない上司だった。 思っていることを口にするのが苦手 地味で大人しい司書 木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)      × 真面目で優しい千紗子の上司 知的で容姿端麗な課長 雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29) 胸を締め付ける切ない想いを 抱えているのはいったいどちらなのか——— 「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」 「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」 「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」 真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。 ********** ►Attention ※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです) ※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

処理中です...