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chapter17 この世とあの世の境界線

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鞄をチラリと見る
タブレットとジェニの大事な
ピンクのキラキラ閻魔帳が入っている




まったく日本はなんて平和な国なんだ
それともジェニが平和ボケしているのか?




苛立ちながらもその場を動けず
竜馬は体育座りのまま歩道の向こうで並んで
必死にメニューを考えているジェニを眺める







―食べ物のこと考えている時は
良い顔してるよなぁ~~―
:*゚..:。:.   .:*゚:.。








思わず口元が緩む





「買えたぁ~~!!
塩ちんすこうと紫いもキャラメルの
ダブルスタンダードォ~♪」





コーンにこんもり盛ったアイスを嬉しそうに
片手に持ってジェニがこっちにやってくる



竜馬がそろそろ隠れようと思った矢先
ジェニが赤信号なのにうっかり渡ろうとした








その瞬間―





ププーーーーーッッ!
キキ―――――ッ!!






ジェニが黒い大型の車に牽かれそうになった


竜馬は声を上げてジェニに突進した
思考より体が先に反応した
間一髪ジェニの腰を抱え
そのまま歩道にスライディングした



二人は同時に歩道に倒れたが
咄嗟に竜馬が受け身になって
固いアスファルトに叩きつけられ
ジェニは竜馬の上に乗っかった







「F※ck you!!!
赤信号がわからないのかッッ!! 」



「すっ!すいませんッッ」







ジェニは突然フードを被った
大柄でサングラスをかけた
人相の悪い男性に怒鳴られ咄嗟に謝った


そしてその大柄の男性は瞬時でいなくなった



しかしジェニはその男性を見ていなかった



すぐ目の前の道路に自分が買った
ブルーシールアイスクリームが
無残に散らばっている







うわぁ~~~~ん(泣)
「あたしのブルーシールアイスゥゥゥ~~~!!」






ジェニは歩道にペタリと座ったまま大泣きした








ゼイゼイッ・・・・
「頼むからそんなことで泣かないでくれっっ!
死にかけたんだぞっっ! 」




角を曲がったお店の陰に隠れて小声で叫んだ

竜馬はこっちが泣きたい気持ちを必死でこらえた
肺が爆発しそうだ






ハァッ・・・ハァ・・・
「こ・・・こっちが死ぬっ・・・」




この年になっていくら鍛えているからといっても
決死の全力疾走で足の筋肉が震えている
とにかく無事でよかった




助けたのが自分だとバレただろうか・・・





角から顔を出しジェニを見ると
トボトボ資材を抱えて
まだくすんくすん泣きながら
駐車場に向かって歩いていた





プッ・・・・
「なんて後ろ姿だ・・・  」






途端に竜馬はおかしくなってクスクス笑い出した
そして何だかもう止まらなくなった






「わはははははッ!
バレるわけない!
アイスクリームしか見えてないんだもんな~~」






道行く人は声をあげて爆笑する竜馬を
完璧に不審者を見る目で通り過ぎる
 

そんなことはお構いなしに
竜馬は目に涙をため腹を抱えて
いつまでも笑い続けた





こんなに声をあげて笑うのは
何年ぶりだろう








太陽はそんな笑い続ける竜馬を
燦々といつまでも明るく照らし続けた










いつまでも・・・・
:*゚..:。:.   







いつまでも・・・・
.:*゚:.。





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