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chapter16 何度も君に恋をする
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しおりを挟む―禁欲生活が長過ぎたせいだ―
ジャガーに車を当てられた
当り屋の女性と初めて対面した時の
自分の反応について竜馬はそれ以外の
理由など思い浮かばなかった
男を釣る当たり屋としてはまさしく適役だ
見る者の目を奪う愛くるしい顔立ち
白い肌
艶めかしいホットパンツから伸びている脚線美
大きな瞳
竜馬の好みにぴったりだ
湧きおこる強烈な欲望に
下半身が不意に張り詰めるのを抑えることすらできず
竜馬は当惑した
特に唇がいい
歳はいくつぐらいだろうか
どうして彼女がくってかかってくるのを
見るだけで全身が興奮してしまうのだろう
たしかにこの女性はものすごい美人だ
今は竜馬の言葉に憤慨していて
頬を濃いピンクに色に染めて一生懸命怒っている
だがそうした外見的な美しさ以上の何かを
内に秘めているような気がする
自分から当たってきて置いて
まだ知り合って数分なのに
こんなくだけた口調で噛みついてくる
こんな女性は初めてだ
彼女がこんなことが出来るのは
きっと僕が寛容な態度をとっているからであって
その気になればいつでも黙らせることに気づいていないのだろう
しかし不思議に竜馬は彼女に
威圧感をかけるつもりはなかった
黙って彼女の言い分を聞いた
この生意気な可愛らしい当たり屋を
すぐ目の前にして
竜馬は無言のまま彼女への高ぶる思いを押さえつけようと懸命につとめた
今はこぼれ落ちそうな大きな茶色い目を
つりあげて怒っている
当たり屋なんか辞めればいいのに
もっとまともな職業につくべきだ
そして身振り手振りが大きい
いつもならこういう女性には
苛立ちを覚えそうなものなのに
そういう感情は湧かなかった
それに何を言っても
彼女の勢いはとめられないような気がした
早口でほとんど何を言ってるか理解できない
日本に来てずいぶん経つのに
何語をしゃべってるんだ?
用心しろ頭がおかしいかもしれないぞ
なので彼女が怒鳴っている間
腕を組み首を傾げてじっくり観察することにした
おでこ・・・・丸いな・・・・
鼻も・・・丸いぞ
いや・・・どこもかしこも丸いな・・・
剝きたてのゆでたまごみたいだな・・・
蜂蜜色の髪に大きな茶色い瞳
ストレッチジムに通うような恰好をしている
甘美な曲線を描く体には鋭角的な部分などまったくない
どこもかしこも魅力的で柔らかそうだった
竜馬はその額を撫でてみたくなったが
なんとか思いとどまった
・・・トクンッ・・・・
:*゚..:。:. .:*゚:.。
?
自分の中で何かがうごめいているのを
必死に押さえつけて
ようやく彼女の怒りにキラキラ輝く瞳と
視線を合わせられるようになった
何かを思い出しかけた
でも彼女がスマホをかかげて何か言ってる
連絡先を交換しろと言っていることをやっと理解した
そして彼女が車に必死に話しかけている所を見て
驚いた
可哀そうに・・・
頭が弱いんだな・・・・
犬にかまれたと思うことにしよう・・・
竜馬はもうこの女性とは
二度と会うことはないだろうと
車のアクセルを踏んだ
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