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chapter16 何度も君に恋をする
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しおりを挟む年末に向け世間は次第に
慌ただしくなり忙しい日の午後
竜馬の頭の中は騒々しかった
考えが次から次に浮かび
つかもうとするはしから消えて行く
インターフォンで江藤秘書に今から2時間は
誰にも取り次がないでくれと頼んだ
静かなところで考えをまとめたかったからだ
この社長室から一歩外に出れば
いたる所に社員がいて話しかけられる
外の道頓堀の橋といい勝負だ
ついさっきも小柄な自動販売機の補充員を
廊下の角を曲がった所で踏みつぶしそうになった
今竜馬は社長デスクの上に置かれている
分厚い封筒をじっと見つめていた
頭を休めしばらくじっとしていると
だんだんわかってきた
このごたごたの中にあって本当に大事なのは
今置かれている立場の複雑さや
懸念や身に降りかかっているものではなくて
今更になってここ数日
自分の心を占めているものを考えた
大きく息を吸ってゆっくりと吐き出す
日本に来てからずっと見て向ぬふりをしていた
そろそろ自分の心の片隅の問題と
決着をつけるべきだ
自分は恨んではいない・・・・
あの時点ではいくら友人でも
犯罪を犯したものの息子をそのまま
子供達と一緒に暮らさせるわけには
行かなかっただろう
自分でもそうしていたかもしれない
その結果アメリカに渡ったことで
自分は運命の人ジャスティンと出会った
そしてあの時カルロスの家を出る時に
日本のすべてと縁を切ると
自分に言い聞かせたじゃないか
午前中は竜馬は真面目に仕事をこなした
最後に封筒や郵便の一番下の
分厚いA4サイズの封筒を掴んだ
今ではすべてが変わった
今更懐かしんで会おうなんて思っていない
ただ・・・・・
どうしているか知りたいだけだ・・・・
その封筒にはこう書かれていた
「神崎一郎、豊、ジェニ、調査報告書 」
竜馬は封筒をやぶって中身を取り出した
分厚いA4の資料に閉じられたファイルが三冊出てきた
竜馬はまず神崎一郎調査報告書を
覚悟を決めて開いた
たとえ今現在一郎さんがどうなっていようと
自分には関係のないことだ
会うつもりも無い
そう言い聞かせて読み始めた
しかし読み進めていくうちに竜馬は
電気ショックを浴びたようで
先が読めなくなっていた
心臓が止まった
呼吸できない
体がかっと熱くなったかと思うと冷たくなり
立ち上がって窓辺に行き片手で顔を擦った
そして涙がこみ上げてきた
一郎さんは三年前に亡くなっていた・・・・
そんな・・・・・
意識しないと息がうまく吸えなかった
さっきまではただ単に好奇心だった
知るということはなんて残酷なんだ
そして竜馬は興奮して次々に
豊とジェニの調査報告書を手に取りページを
めくって目を通して行った
:*゚..:。:. .:*゚:.。
カチッ・・・・
:*゚..:。:.
.:*゚:.。
ジェニと竜馬が遭遇するまであと160日・・・・
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