【R18】堅物敏腕ボスと初恋の君の運命的な再会~父の会社を買収した憎いアイツは幼い頃に一緒に暮らした大好きなお兄ちゃんだった~

星キラリ

文字の大きさ
上 下
638 / 700
chapter16 何度も君に恋をする

16

しおりを挟む
琴子が口を開いた




「アリス・・・・何度も言いますが
仕事をして稼げるお金なんてたかが知れているのよ
伊藤家や松下家が所有する財産と比べたら
たいしたことないわ
私達は上位1%の上流家庭に育ったわけじゃない
日本の上位0.1%の裕福層に属しているの
それが私達なのよ!
もっと自覚しなさい!
巷の一般人と同じにしていてどうするの」






アリスは母の小言を聞きながら再び刺繍に目を向けて
ブスッと針を突き刺した
他にも突き刺せるものがあればいいのに







「お父様が亡くなってから
私達はお祖父様のご慈悲で生きているのよ!
いい?これ以上伊藤家の財産をあの弟夫婦に
取られてなるものですか!
わかっているわよね!
本来ならあなたがすべて
継承するものなのよ!
それなのにお父様が亡くなってから
お祖父様は変わったわ!
私達にすっかり関心がなくなった」





母は不愉快そうにまた窓の傍を
行ったり来たりしだした

かかと付きの室内履きが
床をコツコツと刻む音が部屋に響いた

やめてほしい





「松下竜馬様は聞くところによると
彼はアメリカを拠点とした実業界の大物だとか
私達の中では新参者だけど
その言い回しが使われる殿方は
一般の尺度では測りきれないほどの大きな
財産を蓄えていると理解していいわ
お祖父様が大変気に入っていらっしゃるその
殿方と結婚することこそがアリス!
あなたの伊藤家の役割よ!」





自分の価値が伊藤家の資産しか
求められないというのは幼い頃から
聞かされているとはいえ非常に情けないものだ

それでもアリスは心の奥底では 
アリス自身を求める男性を待ち望んでいた


しかしそれは叶わぬ夢というものだ
アリスは小さい頃に与えられたもので
満足することを学んだ
何かを望んで行動を起こすと必ず邪魔される




琴子が続ける






「私達くらいの裕福層になると
社会の常識が違うのよ
松下竜馬が善人だと思っているのなら
ひとつ教えておいてあげるわ
アリス・・・
あなたと結婚したら彼は愛人をまず作るわ
写真を見たけどあの顔立ちと資産があれば
生涯に少なくとも3~4人と離婚再婚を
繰り返すわね
そのうちの一人がアリス・・・
あなただからと言ってどうだというの?
結婚して子供を産んでしまえばこっちのものよ」






母が生前のお父様のことを
皮肉っているのがわかっていたので
アリスは返事をしなかった
ひどく憂鬱な気分になった


もうこの会話にはうんざりだ






「いい?アリス・・・
お祖父様が気に入っていらっしゃる
松下様と何としても結婚して婿養子になってもらうの
そして一日でも早く世継ぎを産みなさい
そうすれば伊藤家と松下家の財産はあなたのものよ
さっさと既成事実を作ってしまいなさい
あ・な・た・の・方・か・ら・
誘惑するのよ!」






誘惑・・・・・
アリスは無言だったが
頭の中ではいくつもの反抗的な言葉が
浮かんでは消えていった


いったい男性を誘惑なんてどうやってすればいいのだろう
突然彼の目の前で
素っ裸にでもなれというのか
それに自分は今生理中だ






「いくらあ・の・行・為・が
嫌でも種を撒かれれば女は妊娠するのよ」






疲れた顔で琴子は言った







「あなたが男ならこんな苦労はせずに
済んだのに・・・」







吐き捨てる言葉と同様に
琴子はアリスに軽蔑の目を向け
バタンと扉は閉められた




一人部屋に残されアリスは鼻から息を吸い
刺繍枠を置いて立ち上がった



不意に見合い相手の写真を広げてみる
そこにはたしかに麗しいほどハンサムな長身の
男性がスーツ姿で映っていた



しかし写真の彼は顔をしかめて
こちらを恐ろしく睨んでいる







「お見合い写真には最高な表情ですこと・・・・」






アリスはポツリと呟いた





しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【完】経理部の女王様が落ちた先には

Bu-cha
恋愛
エブリスタにて恋愛トレンドランキング4位 高級なスーツ、高級な腕時計を身に付け ピンヒールの音を響かせ歩く “経理部の女王様” そんな女王様が落ちた先にいたのは 虫1匹も殺せないような男だった・・・。 ベリーズカフェ総合ランキング4位 2022年上半期ベリーズカフェ総合ランキング53位 2022年下半期ベリーズカフェ総合ランキング44位 関連物語 『ソレは、脱がさないで』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高4位 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高2位 『大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高13位 『初めてのベッドの上で珈琲を』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高9位 『“こだま”の森~FUJIメゾン・ビビ』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高 17位 私の物語は全てがシリーズになっておりますが、どれを先に読んでも楽しめるかと思います。 伏線のようなものを回収していく物語ばかりなので、途中まではよく分からない内容となっております。 物語が進むにつれてその意味が分かっていくかと思います。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません

如月 そら
恋愛
旧題:隠れドS上司はTL作家を所望する! 【書籍化】 2023/5/17 『隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません』としてエタニティブックス様より書籍化❤️ たくさんの応援のお陰です❣️✨感謝です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) 🍀WEB小説作家の小島陽菜乃はいわゆるTL作家だ。  けれど、最近はある理由から評価が低迷していた。それは未経験ゆえのリアリティのなさ。  さまざまな資料を駆使し執筆してきたものの、評価が辛いのは否定できない。 そんな時、陽菜乃は会社の倉庫で上司が同僚といたしているのを見てしまう。 「隠れて覗き見なんてしてたら、興奮しないか?」  真面目そうな上司だと思っていたのに︎!! ……でもちょっと待って。 こんなに慣れているのなら教えてもらえばいいんじゃないの!?  けれど上司の森野英は慣れているなんてもんじゃなくて……!? ※普段より、ややえちえち多めです。苦手な方は避けてくださいね。(えちえち多めなんですけど、可愛くてきゅんなえちを目指しました✨) ※くれぐれも!くれぐれもフィクションです‼️( •̀ω•́ )✧ ※感想欄がネタバレありとなっておりますので注意⚠️です。感想は大歓迎です❣️ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)💕

冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。 「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」 「別に誰も気にしませんよ?」 「いや俺が気にする」 ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。 ※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。

処理中です...