上 下
635 / 700
chapter16 何度も君に恋をする

13

しおりを挟む
「よかったらハナのトレーナーに
うちの息子を派遣させましょう
おうちでの良い過ごし方の
レクチャーもハナには必要ね 」




そしてチラリと竜馬を見て花江は笑った




「この愛情深い飼い主さんは
甘やかせるのがお上手なようですから 」




なぜかその言葉に竜馬の心が痛んだ


 
「僕は・・・愛情深くなんかありません・・」


 

そんな竜馬を観察するように花江の瞳が輝く

 


「愛にもいろいろあるのよ・・・
それに段階があるわ
まず一つ目は「愛する愛」・・・
自分が好意を抱いている人に親切にすること
子供でもできる最も簡単にできる愛の行為よ 」

 


花江の細い指がカップをつかみ
こくりと紅茶を飲む




「そして次の段階は
「生かす愛」これは指導者の愛ね
本当にそのものの事を思えばこそ
厳しいことも言わないといけない局面が出てくるわ
犬の訓練などもこれに該当するわ

その上は「存在の愛」・・・・
その人がいるだけで事態は好転し良い方向に
みんなが感化されていく・・・ 」




竜馬は花江の愛の段階説の「存在の愛」を聞いて
ジャスティンをぼんやり思い出した



たしかにそういう人物は世の中にいる
かといって自分がそうなれるかは
わからないしわかりたくもなかった




「そして「許す愛」 」




花江が声をひそめて言った




「人や自分自身の過去も未来もすべて
受け入れるの・・・
良い所も悪い所もひっくるめてね
自分を責めてはいけないわ
あまり自分を責めすぎると何も受け入れられなくなるわ
すでに過ぎたことを後悔しすぎてもダメ 」




花江の言うことは理解できたが
なんだかこんがらかって来た




そこに散歩帰りのマックスが帰って来た
花江の息子が愛想よく竜馬に話かけている間も
マックスは玄関にじっと座り足を拭いてもらうのを待っている



そして驚いたことにリールを咥えて
いつもの置き場所のハンガーに
キチンとひっかけたのだ



ハナは自分の父親の威厳と風格に
おじけづいたのか遠くから
びくびくとマックスを眺めている



足を拭いてもらって
マックスが竜馬に挨拶をしに来た





「やぁ!マックス!
あいかわらずお前はカッコいいな!」





竜馬が笑って耳の後ろをかいてやる
パタパタと「私も会えて嬉しいよ」と
マックスも尻尾を振って賢そうな瞳で
じっと竜馬を見る




「君のおてんば娘を連れて来たんだ
一言僕の言うことを聞けって
言ってやってくれよ 」





花江と息子はその会話を聞いて笑った



マックスは水を優雅に飲んでから
リビングの隅にドスンと寝そべった
尻尾を優しくゆっくり床にパタンッパタンッ
と打ち付けている




ハナは格好のじゃれるおもちゃを見つけ
必死でマックスの尻尾にじゃれている





「犬の躾がこんなに難しいとは
思ってもみませんでしたよ 」



「僕が日中はお手伝いしますよ」





花江の息子が快く引き受けてくれた



竜馬も微笑んで言った





「僕は何から始めればいいかな 」






そうね・・・と花江がしばらく
竜馬を観察してから言った








「あなたはまずはご自分を許すことから
お始めになられた方がいいわ  」




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメンエリート軍団の籠の中

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり 女子社員募集要項がネットを賑わした 1名の採用に300人以上が殺到する 松村舞衣(24歳) 友達につき合って応募しただけなのに 何故かその超難関を突破する 凪さん、映司さん、謙人さん、 トオルさん、ジャスティン イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々 でも、なんか、なんだか、息苦しい~~ イケメンエリート軍団の鳥かごの中に 私、飼われてしまったみたい… 「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる 他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」

【R-18】私を乱す彼の指~お隣のイケメンマッサージ師くんに溺愛されています~【完結】

衣草 薫
恋愛
朋美が酔った勢いで注文した吸うタイプのアダルトグッズが、お隣の爽やかイケメン蓮の部屋に誤配されて大ピンチ。 でも蓮はそれを肩こり用のマッサージ器だと誤解して、マッサージ器を落として壊してしまったお詫びに朋美の肩をマッサージしたいと申し出る。 実は蓮は幼少期に朋美に恋して彼女を忘れられず、大人になって朋美を探し出してお隣に引っ越してきたのだった。 マッサージ師である蓮は大好きな朋美の体を施術と称して愛撫し、過去のトラウマから男性恐怖症であった朋美も蓮を相手に恐怖症を克服していくが……。 セックスシーンには※、 ハレンチなシーンには☆をつけています。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「絶対にキモチイイと言わせてやる」 私に多額の借金を背負わせ、彼氏がいなくなりました!? ヤバい取り立て屋から告げられた返済期限は一週間後。 少しでもどうにかならないかとキャバクラに体験入店したものの、ナンバーワンキャバ嬢の恨みを買い、騒ぎを起こしてしまいました……。 それだけでも絶望的なのに、私を庇ってきたのは弊社の御曹司で。 副業がバレてクビかと怯えていたら、借金の肩代わりに妊娠を強要されたんですが!? 跡取り身籠もり条件の愛のない関係のはずなのに、御曹司があまあまなのはなぜでしょう……? 坂下花音 さかしたかのん 28歳 不動産会社『マグネイトエステート』一般社員 真面目が服を着て歩いているような子 見た目も真面目そのもの 恋に関しては夢を見がちで、そのせいで男に騙された × 盛重海星 もりしげかいせい 32歳 不動産会社『マグネイトエステート』開発本部長で御曹司 長男だけどなにやら訳ありであまり跡取りとして望まれていない 人当たりがよくていい人 だけど本当は強引!?

【R18】鬼上司は今日も私に甘くない

白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。 逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー 法人営業部メンバー 鈴木梨沙:28歳 高濱暁人:35歳、法人営業部部長 相良くん:25歳、唯一の年下くん 久野さん:29歳、一個上の優しい先輩 藍沢さん:31歳、チーフ 武田さん:36歳、課長 加藤さん:30歳、法人営業部事務

【R-18】残業後の上司が甘すぎて困る

熊野
恋愛
マイペースでつかみどころのない上司とその部下の話。【R18】

冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。 「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」 「別に誰も気にしませんよ?」 「いや俺が気にする」 ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。 ※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。

処理中です...