【R18】堅物敏腕ボスと初恋の君の運命的な再会~父の会社を買収した憎いアイツは幼い頃に一緒に暮らした大好きなお兄ちゃんだった~

星キラリ

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chapter16 何度も君に恋をする

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「よかったらハナのトレーナーに
うちの息子を派遣させましょう
おうちでの良い過ごし方の
レクチャーもハナには必要ね 」




そしてチラリと竜馬を見て花江は笑った




「この愛情深い飼い主さんは
甘やかせるのがお上手なようですから 」




なぜかその言葉に竜馬の心が痛んだ


 
「僕は・・・愛情深くなんかありません・・」


 

そんな竜馬を観察するように花江の瞳が輝く

 


「愛にもいろいろあるのよ・・・
それに段階があるわ
まず一つ目は「愛する愛」・・・
自分が好意を抱いている人に親切にすること
子供でもできる最も簡単にできる愛の行為よ 」

 


花江の細い指がカップをつかみ
こくりと紅茶を飲む




「そして次の段階は
「生かす愛」これは指導者の愛ね
本当にそのものの事を思えばこそ
厳しいことも言わないといけない局面が出てくるわ
犬の訓練などもこれに該当するわ

その上は「存在の愛」・・・・
その人がいるだけで事態は好転し良い方向に
みんなが感化されていく・・・ 」




竜馬は花江の愛の段階説の「存在の愛」を聞いて
ジャスティンをぼんやり思い出した



たしかにそういう人物は世の中にいる
かといって自分がそうなれるかは
わからないしわかりたくもなかった




「そして「許す愛」 」




花江が声をひそめて言った




「人や自分自身の過去も未来もすべて
受け入れるの・・・
良い所も悪い所もひっくるめてね
自分を責めてはいけないわ
あまり自分を責めすぎると何も受け入れられなくなるわ
すでに過ぎたことを後悔しすぎてもダメ 」




花江の言うことは理解できたが
なんだかこんがらかって来た




そこに散歩帰りのマックスが帰って来た
花江の息子が愛想よく竜馬に話かけている間も
マックスは玄関にじっと座り足を拭いてもらうのを待っている



そして驚いたことにリールを咥えて
いつもの置き場所のハンガーに
キチンとひっかけたのだ



ハナは自分の父親の威厳と風格に
おじけづいたのか遠くから
びくびくとマックスを眺めている



足を拭いてもらって
マックスが竜馬に挨拶をしに来た





「やぁ!マックス!
あいかわらずお前はカッコいいな!」





竜馬が笑って耳の後ろをかいてやる
パタパタと「私も会えて嬉しいよ」と
マックスも尻尾を振って賢そうな瞳で
じっと竜馬を見る




「君のおてんば娘を連れて来たんだ
一言僕の言うことを聞けって
言ってやってくれよ 」





花江と息子はその会話を聞いて笑った



マックスは水を優雅に飲んでから
リビングの隅にドスンと寝そべった
尻尾を優しくゆっくり床にパタンッパタンッ
と打ち付けている




ハナは格好のじゃれるおもちゃを見つけ
必死でマックスの尻尾にじゃれている





「犬の躾がこんなに難しいとは
思ってもみませんでしたよ 」



「僕が日中はお手伝いしますよ」





花江の息子が快く引き受けてくれた



竜馬も微笑んで言った





「僕は何から始めればいいかな 」






そうね・・・と花江がしばらく
竜馬を観察してから言った








「あなたはまずはご自分を許すことから
お始めになられた方がいいわ  」




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