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chapter16 何度も君に恋をする

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その次の週の水曜日竜馬達は依頼された
クライアントの会社の会議室にいた



外では相変わらず人員削減反対のデモが
行われている



会議の最初の発言者の竜馬はまるで人員削減など
何でもないかのように話しを切り出した




しかし削減対象の会社役員幹部らは
メビウス立ち合いの元によって収集された
この会議で会社としての
失策が正されることを望んだ




「メビウスの社長!
あなたはその業界では伝説に
なっているほどの人ですから
会社のためにいちばんいい道を探してくると
我々も信じています
ですからまずは幹部団の我々と
面談をしてくださるものと
私は思っていたのですがね~」




おでこの生え際が後退している
この議会の役員会議長が社長の横で
「青二才が生意気な」との勢いで竜馬に言った




竜馬は社長と会議に参加している幹部数人に
冷ややかな鋭い視線を一人一人に向けた



幹部連中は竜馬の視線を受け
背筋がぞくぞくするのを感じ
一部は口を閉ざし、一部は視線を床にやった
 



竜馬が言う




「面談は感情論で我々の判断を狂わせようとします
過去の今までどの会社も一様です
なので我々は事業部の会計報告書ですべて判断します  
わが社のもっとも優秀な人員削減チーム
の組織図から25の役職を分析させます
大切なのは客観性です 」





竜馬の冷淡で危険な雰囲気は相手を圧倒した



社長の横に座っている
取締役員会議長が光ったおでこを
ハンカチで拭きながら
やはり傲慢な口調で竜馬達に言った




「しかしねぇ~!
わが社の組織を合理化する
必要があるのは認めますよ
ただ・・・
長年この会社に尽くしてきた人達と
あとあと揉めて困るような削減は避けたいだけです
・・・こんな抗議活動を起こされては・・・ 」




竜馬が冷静に話す




「尽くすとは「見返りを求めずに奉仕することです」
我々は報酬と言う見返りを当然と思って
やって来たことを「尽くす」と勘違いして
会社に恩を売るような
姿勢の人間を削減するのです」





竜馬は手を前に組み
前かがみの姿勢で一言、一言重みをそえて話す





「まずは役員幹部、中間管理職から削減は始めます
我々のやり方が気に入らないというのならば
今日この場でこの仕事を降りたって
我々は痛くも痒くもない 」





取締役員会議長があんぐりと口を開いた

会議長にこんな口のきき方をする者なんて
今までこの会社にはいなかった
だからこそ取締役員会議長は会社の経費で
好き勝手やってこれたのだ


決まってどの会社も怠慢な上司がいるおかげで
真面目にやってきた社員が迷惑をこうむっているのだ





「わが社には豊富な経験と情報があります
社外に与える悪印象をご心配のお気持ちはわかります
だが解雇手当や再就職支援プログラム
のこともしっかり発表しておけば
印象はかなりよくなるはずです
この会社は収入と支出が伴ってないんですよ
このままでは潰れます」




竜馬が役員会議長ではなくその横の
今や小さくなっているこの会社の社長に目を向ける





「それで?あなたの答えは?
約束どおり我々の自由にやらせてくださるのですか?」





数秒の沈黙があり
社長はメビウスの方々のアドバイスを
全面的に肯定し指導してもらうと言った




竜馬の横にいる宗一郎が勝ち誇ったように言った





「これからは抗議デモに対して
警備をもっと増やした方がよいでしょう
電話でもメールでも少しでも脅迫的な態度を感じたら
警察に連絡するように
やけになった人間は何をするかわかりません
でもそれも一時的なものです」






次の竜馬の物の言い方はすべてお見通しとばかりに
役員会議長に言い放たれたものだった






「もしかしたら誰かの差し金で
彼らはデモを起こしているのかもしれませんからね」







その言葉に役員会議長も竜馬を睨んでいた




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