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chapter16 何度も君に恋をする

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竜馬と文也はエレベーターを降りて
メビウス・ビルの最上階の目も眩むほど
広々としたペントハウスに足を踏み入れた



文也はバカでかいアイランドキッチンが設置された
台所を物珍しく眺めていた



ペントハウスは40階すべてを占めていたが
ジャスティン邸で暮らしていた竜馬からしたら
期待はしていなかったが
はるかに小さかった


このペントハウスは西日本の一等地としては広く
ジャスティン邸と比べれば猫のひたいほどだった


竜馬は磨き上げられた大理石の床を歩き
窓から見渡せる大阪市内と
その向こうの淀川に目線を走らせた



建物の外見はありきたりで
無機質でジャスティン邸のような歴史を
感じられる装飾の佇まいではない



当たり前だが建っている場所も
オフィスビルだけに辺りは繁華街で騒々しく




下層階にはオフィスが入っていて
上層階の住居部分に上がるメイン玄関には
コンシェルジュが配置されている



都会の物件だ




さらにペントハウスに入るには顔認証システムと
暗証キーが必要で警備面では申し分がないが
いささかめんどくさい




竜馬はジャスティン邸のようなドアから出ると
季節の花が咲き乱れる素晴らしい庭園
すぐ森と土の匂い・・・

ミシガン湖から吹いてくる
季節の風を感じられる場所が好きだった




文也は竜馬がここがいいと言えば
すぐに住まいとなる部屋の窓からの眺めと
室内の美しさにはしゃいでいた



キング不動産ペントハウス担当の狭間が竜馬に聞いた





「お気に召されましたか?
そうでなければ他にいくつか
よさそうな物件がございます」



「売り手の仲介屋はどこだった?」




と竜馬は聞いた




「もちろんすべてキング不動産でございます 」





それはすなわち取引をしている不動産の
一部はすでに竜馬のシカゴの共同経営者で
竜馬にもマージンが入ることを意味していた




「このビルに空きは出ているのかい?」




「公には埋まっております
オフィスビルも住居部分も、テナント部分も 
ですがあなた様がどこを使うと
おっしゃられる事によって
状況は違ってきます」





「竜ちゃーん!!
すぐそこに公園があるよ!
ドックランも見える~  」





文也がはしゃいで言う




「彼が一人で住めるような場所はあるかな?」




竜馬が狭間に聞く




「35階が独身者様向けのコンドミニアムに
なっております 」




「ええ?竜ちゃん!
でも・・・こんな高い所・・・悪いよ 」


文也がびっくりして目を丸くする





「富と権力を誇示するのは
住まいを見せることが一番なんだよ文也 」



竜馬は窓の景色を見ながら言った
その冷たい言葉に文也はゾクッとし
思わず何も言えなくなった





「おっしゃる通りでございます・・・・」





狭間が深々と頭を下げる






「それにここにお前を住まわせると
もっとこき使えるだろ?」





竜馬はそう文也に微笑んで
キング不動産の狭間と条件の話に移った






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