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chapter15 あの木の葉が落ちる時

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二人はシカゴのとあるビルのエレベーターに乗って
ガラス越しの外の景色を見ていた




「準備はいいか?」


竜馬はうなずいた


「今夜は食事をするだけだ
そうだろう?」



風邪気味の宗一郎はティッシュで鼻をかんだ




「もちろんただの食事だ
日本から20時間もかけて商社企業団が
食事をしにやってきてるんだ
生きて帰れたら儲けもんさ 」




と宗一郎はさらに言う



「心配するな宗一郎」



竜馬が笑った



「すべてうまくいくさ
これからやろうとしていることは前例が無い
不可能を可能にしようとしているんだ
間もなくそれを成し遂げる 」





竜馬は宗一郎の肩に回した手に力を込めた
かつて
ジャスティン・アレンが人に頼み事をするときに
そうしたように親しみを込めて





竜馬と宗一郎は会食会場のドアを開けた




そこには日本の大企業団と投資ファンド会社の
重鎮数十人がいた




彼らは宗一郎と竜馬の姿を見るなり
一斉に立ち上がり
その名を口々に言い
笑いながら全員二人に握手を求めてきた




竜馬は目の前の
新しい社名のねじれた輪のロゴが描かれた
垂れ幕を見上げた




その横にはこの社名の由来や付けられた時の
「創業者精神・理念・志し・目指すべき目標・
社会との関わり」

といったものが書かれていた

竜馬はそれを見て考案者の事を思い出し
フッと微笑んだ










:*゚..:。:.   .:*゚:.。






「メビウスの輪」はひねりがあることで
表裏の区別ができない連続面となる
それは永遠に続くという意味があるんだ 」




ジャスティンはベッドの上で
細長い紙の端と端を捻りながらくっつけた




「へぇ~・・・・
それを社名にするの? 」





竜馬がサインペンをもってジャスティンに言った



「メビウスの輪は
”無限の可能性”を意味することから
途切れることのないその形が ”永遠” を象徴する
竜馬・・・お前の会社も成長し、そしてまた
初心に還りを繰り返し・・・
また無限に成長していくんだ」




竜馬がねじれた輪のイラストを
ペンで一生懸命描く




「ロゴはこんな感じでいいかな?」


「下手くそだな 」




ジャスティンが笑った




「デザイン案だよ・・・
絵は苦手なんだ 」




竜馬が唇を尖らせて言った





「新しい会社の新社名は
メビウス・ホールディングス 」






ジャスティンは完成予定の
メビウスタワー・オフィスビルの
模型を手に取って眺めていた







「新天地はJapan日本だ」














:*゚..:。:.   .:*゚:.。








【日本・関西】







パパーッ・・・
:*゚..:。:.   .:*゚:.。

       パーッ・・・・
         .:*゚:.。








大阪は御堂筋・・・・

広大に広い土地に鉄の策が
動物園の檻のように取り付けられ
中がまったく見えないようにされている



忙しくトラックが行きかう出入口に
建設地を公告する看板が掲げられている





看板には「高級分譲マンション30階~40階」
~2021年6月販売開始~

と書かれていた







「どうしたのぉ~??ジェニ!」





神崎広告代理店企画森本藤子が紙袋いっぱいに
試供品を抱えて
看板をじっと睨んでいるジェニに言った


ラベンダーのツイードスーツに
コテで巻いた完璧な内巻き髪を揺らしている





「ずっとここ工事してるけど
ここにビルが出来たら路上駐車できないから
困るなぁ~って思って!
ねぇ、ここ商業施設が出来るのかな? 」




ピンクのポンポンのついたマフラーを
ぐるぐる巻きにして口元を隠し
神崎ジェニが大きな茶色い瞳で

看板のねじれた輪のロゴと
そびえ立つ工事中のビルを交互に見る






「ん~?どれどれ?」





素早く藤子がスマホを片手に調べ出す




「メビウスタワー・オフィスビルですって!
あら!商業施設じゃないわ!
オフィスビルよ!でも30階から上が住居で
1階は・・・メディカル施設に・・・
やった!スタバが入るみたい!!」





藤子の顔に笑みが広がった




「そんなにスタバが嬉しい?」




そっけなくジェニが言った




「だって神崎のオフィス周辺は工場地帯でしょ?
おしゃれなカフェなんかないもの
私憧れなの!仕事が終わったら
おしゃれなカフェで一息つくのよ 」



「どっちみち
うちの会社からここは遠いから来ないわよ! 」



「それもそうね!
あっ!ちょっと!あなたの鈴木君駐禁されかけてない?」



「え? 」





二人が視線を向けるとすぐ前の道路に停めてある
ジェニの水色のラパン(愛称鈴木君)を囲んで
大阪府警の制服を着た警官が二人
ナンバープレートを調べている




ジェニが走り出した
ピンクのマフラーのポンポンが
走りに合わせて飛び跳ねている





「キャー!!待ってくださーい
すぐどきますからーーー!!  」


「ちょっと!ジェニ!
半分持ってよぉ~~~  」





藤子も叫びながらサンプルがどっさり入った
紙袋を抱えて走り出した















:*゚..:。:.   



.       :*゚:.。


























*゚..:。:.   .:*゚:.。

カチッ・・・・

:*゚..:。:.   





      .:*゚:.。




ジェニと竜馬が遭遇するまで
あと1000日・・・・





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