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chapter15 あの木の葉が落ちる時
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しおりを挟むジャスティンはベッドの上で
7年ものあいだ読もうと試みては挫折していた
500ページ上下巻の
ローマ帝国兵法の物語を読んでいた
そして最後のページを読み終わると
大きくため息をついてパタンと本を閉じた
まさに壮大な物語だった
カスファルトの砦を生き残った正規軍全員で
落したときはジャスティンの心臓がドキドキした
または愛していた同胞がやられ
懇願されて自らの手でその者の
命にとどめを刺したシーンでは
まるで自分の事のように涙した
さすがに2時間この細かい文字を読んでいると
目が疲れてこめかみがズキズキする
最近では昼夜おかまいなしに疲れると
途端に眠くなる
少し離れた所で竜馬がソファーに座り
居眠りをしていた
膝の上にはシルバーのノートパソコンが広げてあり
今彼は「フォーチューン500」に名を連ねる
大企業相手に人員削減マニュアルの
最新バージョンの作成に取り組んでいた
仕事熱心なヤツだ
宗一郎ときっと成功するだろう
今は竜馬のキーを打つ手は止まり
コックリ・・・コックリ・・と
その可愛い頭が規則的に船をこいでいる
「・・・ま・・・・竜馬! 」
優しくジャスティンが名前を呼んだ
んあ?と竜馬が目をこすって起きた
「眠いなら
こっちへきてお眠り 」
ジャスティンは自分のフワフワの毛布を
めくって竜馬を呼んだ
「でも・・・この再就職プログラムツールを
作ってしまわないと・・・ 」
「それは明日俺がやってあげる
だからこっちへおいで 」
「ん~・・・・ 」
竜馬がもそもそとトレーナーと
ジーンズを脱いで
白のタンクトップと黒のボクサーパンツだけになり
ジャスティンの隣に体を滑り込ませた
ジャスティンがクッションを一つとって
竜馬の頭の下に入れると至福のひとときを迎え
気持ちよく体を伸ばした
「愛しているよジャスティン・・・・ 」
そう言ってジャスティンに体を寄せ
睡眠に身をゆだねた
毛布をかぶった尻の筋肉質な
美しい盛り上がりをジャスティンは愛しく眺める
「愛しているよ竜馬
俺がどれほどお前を愛しているか
夢の中で教えてあげよう
お前が目を開けている時は俺は何も言えない
ただ・・・
馬鹿の一つ覚えのように
愛してるとブツブツ言うだけだ・・・
なんの芸もない 」
そっと竜馬の髪に手を入れ優しくなでる
「冬の真夜中のようなお前の黒髪
星を集めたようにキラキラと輝くお前の大きな瞳
笑った時に美しく曲がる唇・・・
その小さな顔に全部収まっているだけでは
飽き足らず完璧なお前の体・・・
もしかしてお前は本当にエルフなのかもしれないと
何度思ったことか
その優しい言葉遣いさえも・・・
俺にどれほどの影響を与えるかお前は知らない
お前はいったい俺にどんな魔法をかけたんだ
さっぱり覚めない 」
聞こえているのかいないのか
夢の中の竜馬は目を閉じたまま
大きく息を吸ってため息を漏らした
「お前の横にいると俺は小さくなった気がする
わけもなくニヤけるんだ
これが愛なのかとつくづく感じる
何をしてもお前がいいんだ
お前が一番なんだ 」
ゴホンとひとつ咳をして顔をしかめた
ああ・・・肺が痛い
「愛は尊い・・・・
お前のために俺は良い人間でありたいと思ってしまう
できればずっとお前のそばにいたかった
一緒に年を取りたかった
お前の子供をこの腕に抱きたかった
でも俺の人生そう悪くないのかもしれない
なぜなら竜馬・・・お前に出会ったから」
「俺は死んだら大気に溶けてまたお前の元に
戻ってくるだろう
冬の訪れを知らせに小さな初雪になって
お前の肩に降り落ちるよ・・・・
溶けても全然かまわない・・・・
たとえ一瞬でもお前のその温かさに触れられるなら・・・」
ジャスティンも一つあくびをし
竜馬の横に横たわった
タンクトップでは寒そうなので
そっと肩まで毛布を掛けてやる
「春には小鳥になってお前の周りで
歌ってあげる・・・
歌は・・・そうだな・・・
苦手だけど小鳥だからなんとかなるだろう
また・・・
お前が寂しいと泣いているときは
優しい小雨となってお前の涙を隠そう・・・
お前はよく泣くから 」
ジャスティンが竜馬の手に手を重ねた
「そして・・・・
お前が幸せだと笑っているときは
何よりも明るい太陽となってお前を照らそう
ああ・・・
願わくばお前を心から笑わせてくれる人が
この先お前の人生で現れますように・・・ 」
まるで祈るようにそっと囁いた
「お前がその人に俺の事をどう語るかは
お前に任せる・・・・
もしその人が耳を傾けてくれるなら
もし俺のことをその人に語れるとお前が思ったなら
―その時はこう言ってくれ・・・・
俺が感謝していると・・・
そして憎いほど嫉妬していると・・・ 」
笑い交じりに竜馬の手をぎゅっと握った
「俺もまた愛を学んでいる途中だ・・・
だから今はお眠り・・・竜馬・・・」
ジャスティンは力尽きたように
静かに目を閉じた
「この愛を語るには
あと百の夜が必要だ・・・・・」
:*゚..:。:. .:*゚:.。
.:*゚:.。
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