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chapter15 あの木の葉が落ちる時
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しおりを挟むその週の日曜日は比較的冬が来ようと
しているような秋晴れだった
竜馬は愛車ブルーのフォードを運転し
ミシガン湖の畔まで来ていた
フォードはミシガン湖の畔の小さな
高級住宅街ロイヤルタウンの最奥にある
灰色のヨーロッパ風の邸宅を目指した
美しくてとても大きな邸宅だった
すぐ裏にはミシガン湖の遊歩道になっていた
竜馬は黒い鉄製のゲートの前で愛車フォードを停め
ゲートの電気キーに
あらかじめ聞いていたパスコードを入力した
ゲートが重々しくゆっくりと開いたので
ほっと胸をなでおろした
本当にこの家で合っているのか
竜馬は半信半疑だったからだ
広い舗装された道を通って家の前まで行くと
道はそこで二股に分かれ
一方は屋敷の正面玄関に
もう一方は外国車を10台ほど駐車できそうな
別棟のガレージに続いていた
竜馬はガレージに車を入れ
なるべく目立たない隅の方に駐車した
なんとなく不安で頭がぼうっとしているので
他の車を見る余裕はなかった
車から降りると緊張して汗ばんだ額を
冷たい風が冷やしてくれた
パソコンを詰め込んだ
バッグを抱えて
竜馬は正面玄関に向かって歩いて行った
カバンを玄関先に置いて
インターフォンを鳴らすと
防犯カメラがウィーンと音を立てて
竜馬に焦点を合わせたので
思わずあとずさりした
5分も経たないうちにドアが開き
ほっそりとした若い女性が出てきた
グリーンのパンツ、ビーズのサンダルに
柄もののシルクのシャツを着ていた
そして肩までの金髪に
その眼はジャスティンと同じ青いブルーだ
竜馬は懐かしくなって微笑んだ
「やぁ・・・・ウェンディ・・
久しぶり・・・ 」
ウェンディは竜馬を見るなり
両手を口に持っていき
みるみるその青い瞳に涙を溜めた
「ああ・・・・竜馬だわ!
竜馬が来た! 」
ウェンディが竜馬の首にすがりついて泣いた
竜馬もしばらくウェンディをキツく抱きしめた
「また会えて嬉しいよ 」
ふと抱きしめているウェンディの肩越しに
玄関の廊下でこちらをじーっと見ている
一歳ぐらいの女の子の視線を感じた
グスッ・・・
「・・・私の娘よ
ドロシーっていうの 」
ドロシーが満面の笑顔で
竜馬に腕を広げてトコトコやってきた
まるでさっき母親にしたように
自分にも同じことをしろと言っているようだ
竜馬がしゃがんでドロシーを抱き上げた
「キスしていい? 」
ウェンデイが目に涙を溜めながらクスクス笑った
「まぁ!娘のファーストキスが
私の初恋のプリンスなんてとても光栄だわ!
夫には言わないでね
嫉妬するから 」
ん~~~~っと
竜馬がドロシーの耳と首の付け根に
ブブブブッと口で空気を拭きかけた
きゃ~~っとドロシーが声をあげて
笑った
そのままドロシーは竜馬の腕の中で
クピクピ喉を鳴らした
竜馬は肩をすくめ
このかわいい娘の頭にフッと息を拭いた
まるで風に揺れるススキのような
ふわふわの短いブロンドが揺れた
「さぁさぁ入って
あなたが来るって兄が朝から
とてもソワソワしているわ 」
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