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chapter15 あの木の葉が落ちる時

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子供かっ!
と竜馬は自分にツッコミを入れたかった




涙でぼやけて景色がにじむ
ジャスティンを殴ってやりたかった


本当に殴ってやろうか





「お前に嫌われるのが
怖かったんだよ・・・・  」





ジャスティンの声はかすれていた




「俺はずっと自分がやってきた事を
お前に知られるのが恐ろしかった・・・
知られたら・・・
お前が離れて行くと思ってたから・・・・ 」




竜馬はじっとジャスティンを見た
その一言で納得した
彼は自分の罪をとても悔いている






「こうでもしないと
お前に面目が立たなかったんだよ・・・」

 


彼が小さく・・・
痛ましい声をあげた






「お前にずっと会いたかったよ・・・竜馬 」




「僕も君に会いたかったよ
横暴なでしゃばり野郎だけど
カッコつけで
人の気も知らないで
せっかく君の事を忘れてうまく生きていこうと
思っていたのに
都合が悪くなったら僕から逃げて
そんでまたいきなり現れて
君はいつもいつもいつもそうやって― 」




「寂しい思いをさせて悪かった・・・
許せよ竜馬」








ジャスティンはこちらへおいでと言うように
腕を広げた






「もういいだろう?
いつになったら抱きしめさせてくれるんだ? 」






竜馬は弾けるように
ジャスティンの腕の中に飛び込んだ


この時の竜馬はどんな単距離レースの
選手よりスタートダッシュが速かっただろう


しっかり強くジャスティンの胴に腕を巻き付け
彼の温かい胸に顔をうずめる




竜馬の頬を伝う涙が
彼の仕立ての良いシャツに染み込む




全身が激しく震え
嗚咽を漏らしながら
ハラハラ涙がこぼれる



あのジャスティンがここにいる
あのジャスティンが・・・




息が切れ・・・
体が震える
このまま死んでしまうのではないかと
心臓が暴れる






「そんなに辛かった? 」





ジャスティンが竜馬の髪を優しくなでて耳元で囁く




「辛い!辛すぎるっっ!ジャスティン―」





竜馬は答えた




11年前―
フェンス越しの誰よりも家族だと思っていた
ジャスティンからの突然の別れ




そして彼は肩を撃たれ
失ったと思っていた
そして誰よりもこの歳月会いたくてたまらなかった




「・・・本物だ・・・ 」





不意に起き上がり両手を頬に充てて
ジャスティンをマジマジと見た





「ああ・・・・・  」






二人はしっかりと見つめあった









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