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chapter17 世界の果てで君を想う
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しおりを挟む二階の窓にもたれるように伸びている
イボタノキの木の枝を掴んで
まずは折れないか確認しながら
木に体重を移動した
そしてサルの様に両手で太い枝にぶら下がって
狙いを定めて地面に着地する
二階に帰る手順はこれの逆だ
竜馬はジャスティンの待つオープンカーの
コンバーチブルに駆け出した
「ジャスティン!!」
「遅いぞ! 」
竜馬はオープンカーのドアをヒラリと
飛び越えて助手席にスポンッと飛び乗った
「カルロスは?」
「泥酔してる!いつものことだよ」
「なぁ!ミシガン湖のカモメを見たことはあるか?
あいつら一晩中鳴いて喧嘩するんだぜ!」
「見たい!見たい!」
ジャスティンは人生にあらゆる楽しみを
見出すような人間だった
朝方のミシガン湖は
ウィンディーシティー(風の街)と呼ばれるだけあり
湖はシカゴの激しい風が吹いて白波が大きく立ち
さらに渋谷交差点よりも大勢のカモメ達が
密集していた
竜馬はその光景を見て感動した
日本では絶対見れないだろう
そしてジャスティンの言う通り
カモメ達はかん高い声で「ティー・ティー!」と鳴き
常にお互いをつつき合っている
無造作に放置されたセルボードがまるで一枚の
絵葉書のようでサマータイムの時期のシカゴは
朝3時過ぎでもう朝日が昇っていた
「ねぇ!ジャスティンこいつら
(ジャスティ~ン!ジャスティ~ン!)って鳴いてるよ!」
ハハッ
「良く言われるぜ
コイツらみんな俺の信者だ 」
実際良く聞くとカモメはジャスティ~ン♪と
最後に語尾を高く上げて鳴いていた
竜馬はカモメを追い回すのが楽しくて
砂浜を蹴りそこらを走り回った
そして竜馬が持参したスナックを食べていると
カモメの大群に襲撃され今度は
竜馬が逃げ回った
ジャスティンはそれを見て大笑いをしていた
「なぁ・・・お前を見ているとさ
日本って良い国なんだなと思うよ」
「そう?」
「ああ・・・お前を見ていると
危なっかしくてしょうがないな
まるで生まれたての赤ん坊がそこらを
ウロウロしてる感じだ
例えば道端で人が倒れていたらお前どうする?」
「そんなの大変だよ
どうしましたか?って声かけて
救急車呼ぶよ!日本人ならみんなそうするよ」
ジャスティンは途端に笑い出した
その声に反応したカモメがジャスティン達の周りで
一層ティン♪ティン♪と鳴いた
昇る朝日が彼のブルーの瞳を煌めかせた
根元が茶色い金髪は強い風に吹かれ
あっちこっちに旗のようにたなびいている
ボサボサ髪でも十分彼はハンサムだった
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