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chapter17 世界の果てで君を想う

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大きな二重ドアに網戸をきちんと閉めていても
そこら中から虫が入ってくるような隙間だらけの家は
二階に3部屋、一階に1部屋とバカ広いリビング
があった



竜馬は二階のバスルーム付きの部屋を割り当てられ
住む間のルールなども何も聞かされずに




「メシは朝、夕の二回だ
分からないことがあったら聞け」




とカルロスは言い放ち
さっさと1階のテレビがある
リビングに去って行った



ここで竜馬は悟った
どうやらパンフレットに書かれているような
優しいホストファミリーとの充実した
海外ホームステイ生活は望めないみたいだと




その日の夜
竜馬はバスタブに湯を溜めている時に
どうしようもなくジェニの事を思い
涙が溢れてきて止まらなくなった




それから竜馬は何年もこの場面を数えきれないぐらい
心の中で再現することになった




その度にこうすればよかった
ああ言えばよかったと思いながら涙した




しかし実際に竜馬がしたことは
彼女に手紙を送ったり国際電話をすることではなく


ただ振り返りもせず前へ進むことだった





しかしそれからの人生でも
竜馬はよく考えもせずに自分の行った行動を
悔やむ経験を何度もすることになるが




あの少女に何も言わずに去ったことほど
後悔したことはなかった





しばらく無言で涙を流し続けているうちに
激しく声をあげて泣き出してしまいそうなので
とうとうバスタブに潜って
子供みたいに膝を抱えてその中にうずくまった





湯の中に涙を落としながら泣いていると
ひどくだるくなって
心が次第に落ち着いて来た





明日はキャンバスへ行ってみよう・・・・
何か楽しい事があるかもしれない・・・




少しだけ前向きになりその夜は眠りについた







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