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chapter16 LAST STAGE 竜馬
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しおりを挟む飛行機が離陸すると
これで竜馬の隣に誰も乗ってこないと思うと
ホッとして左シートに荷物を置いた
窓の日除けを全開に上げて
額を冷たいガラスにくっつけた
ブル・・・
「寒っ・・・・ 」
冷房の吹き出し口が竜馬の体を直撃する
ボストンバッグから
黒のパーカーを一枚取り出して羽織る
これと竜馬の衣装は残り
白のTシャツ2枚と1本のジーンズだけだった
竜馬はやっぱりあの赤と黒のチェックの
シャツをジェニに返してもらって
おけばよかったと思った
しかし彼女があの竜馬のシャツをとても
気に入っていたので
ついつい返して欲しいと言えなくなっていた
飛行機は揺れながら太平洋の空へと
ぐんぐん高度を上げていく
もうあたりは薄暗くなっていて
太平洋も暗くてそんなに見えなかった
もうよほどのことが無い限り
日本へは帰って来れないような気がしていた
これから一人で見知らぬ地で生きていくのだ
想像をはるかに超える辛さがあった
このままどこか暗い片隅に座り込み
誰とも話をせず
何も考えたくなかった
機内の光が反射して窓には
竜馬の顔がハッキリ映った
窓を見ているフリをしていたら
泣いているのが誰にもわからない
竜馬はひたすら暗い窓を見つめた
いくら我慢しても目に熱いモノがこみ上げ
何度も瞼をパチパチさせた
さよならプリンセス・・・・・・
:*゚..:。:. .:*゚:.。
竜馬は心の中でそう言った
・・・
【アメリカ・ウィラード空港】
磨き上げられた空港のタイルに
ウエスタンブーツの
踵が擦れる音があたりに響いた
その男はガッシリとした体格だが
身長はさほど高くはなく
ぶよぶよの体が長いこと
自堕落な生活を送って来たのを想像させる
大きな牛のバックルの
ベルトに突き出たお腹が乗っている
肌は滑らかで顔立ちは整っているけど
いかにも酒ヤケで赤らんだ顔と
皮膚が垂れていて
若い頃は男前だっただろうにと
いささか残念な気持ちにさせる顔だった
その男は深くかぶっていた
カウボーイハットの鍔つばをクイッと上げて
搭乗電光掲示板を見上げた
「さぁ~て・・・・
どの便に乗っているんだい?
そのクソJapan boyは?」
その男が持っているボードには
「Welcome to Ryoma!!」
と書かれていた
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