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chapter16 LAST STAGE 竜馬

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リビングの横の和室に竜馬の部屋は当てがわれ
そこで毎日寝起きをしていた



時々夜になると竜馬はすべてが嫌になり
自分も夜の闇に包まれて
消えてしまいたくなる時があった




一人で布団に潜っていると
この世に独りぼっちのように思えてしまう



もうすぐ自分はアメリカに発つ
その地にいったい何が待ち受けているのか見当もつかない



しかし茂雄おじさんと約束したように
必ず自分の足で立ち向かって見せる



そう考えようとしても
夜になると不安がゆっくり鉄の足かせのごとく
重く感じた




一人で生きていくことが一つの選択肢だとしたら
他にどんな選択があるのだろう




誰かと恋に落ちて結婚し家庭を作るには
あまりにも幼すぎる

かといって他の家庭に入り込めるはずもない




父と母に戻ってきてほしかった
竜馬の今の状況を救い出し
助けてほしかった



母にぎゅっと抱きしめてもらって
その胸で泣かせてもらいたかった



身体を震わせ竜馬は
声を殺していつまでも泣いた






その時スッと竜馬の和室のふすまが開いた



そこにはイチゴのパジャマを着た
ジェニが立っていた



ぐすっ・・・
「ジ・・・・ジェニちゃん・・・
どうしたの?おトイレ? 」




竜馬が起き上がろうとすると
なんとジェニが竜馬の布団の中に入って来た




「おトイレはもう行った」




ジェニは小さな手を伸ばして
竜馬の目を覗き込んだ

ジェニが使っている
シトラスフラワーのシャンプーの匂いがした


竜馬も同じシャンプーを使っていたので
二人は同じシャンプーの匂いに包まれた




そしてジェニが背中をポンポンと叩いた
薄く茶色の瞳で竜馬の目を覗き込む



もう一度ポンポンと竜馬の背中を優しく叩く
その何もかもわかっているという
思いやり溢れる態度が竜馬の心の殻を破った



優しくポン・・・ポンとリズミカルに叩かれる度に
竜馬の胸やのどや頭の緊張が解けていき
やがてまた両目の端から
涙がとめどもなくこぼれ始めた



彼女のように自分を慰めてくれる人は
この地球上にはどこにもいない



もう亡くなった父も母でさえも
彼女には及ばない



それから時々二人はこうして誰にも内緒で
寝るのが好きになった



竜馬の来客用の布団にもぐって
二人で身を寄せ合って手をつないで
眠るのが何より幸せに感じた



竜馬が何よりこの子を必要としているように
この子も竜馬を必要としているのだと





慰めあうことが
今の二人には何より必要なことだと感じた









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