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chapter16 LAST STAGE 竜馬
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しおりを挟む「いいこと思いついた!
毎朝「頑張って」のキスをおでこにしてあげる
寂しくなったら僕が君を大好きだってこと
思い出して・・・・
このキスを思い出してよ
すぐに下校の時間になって会えるよ 」
そう言うと竜馬は両手でジェニの頬を挟んで
おでこに優しくチュッとキスをした
しばらくジェニは竜馬をじっと見つめていたが
涙は止まっているのでホッとした
「・・・・・行ってくる・・・ 」
「いってらっしゃい!
帰ってきたら今日何をしたか教えてね
描いた絵も見せてくれ」
立ち上がって竜馬はジェニの手を取って
そっと玄関から出した
ジェニは最初トボトボと足取りも重く
歩いていたが
やがて任務を遂行しなければいけない
兵士のようにズンズン歩いて去って行った
そしてこの別れの朝の儀式はその後もずっと
続いた
ある日竜馬が寝坊してジェニに
「いってらっしゃいのキス」
をするのを忘れた日があった
すると正午も近くなってから
ジェニの預かり教室の担任の
先生から家に電話がかかってきた
先生は申し訳なさそうに
ジェニがいつまでも泣いて騒いで手が付けられなくて
竜馬を呼んでいると言うのだ
慌てて竜馬は昼休みの学校に駆けつけ
泣きすぎてしゃくりあげパニックになって
目が腫れたジェニと
教室の入り口で再会した
竜馬は少しうんざりして息を切らし
大人に迷惑をかけたことで
頭に血を上らせて言った
「ジェニちゃん!
これは
こんなに大騒ぎしないといけないことなのかい?
おでこにキスが無くても一日ぐらい
がんばれないのか?」
「ダメ!」
彼女は頑固に竜馬を見つめて泣いていた
強情そうな顔の頬には涙の痕がついていた
「こっちへおいで」
竜馬はため息をついて
ジェニを廊下の隅に連れて行き
そっとジェニのおでこにキスをした
「これで頑張れる?」
「・・・・うん」
ジェニはニッコリ笑って
スキップしながら教室に入って行った
竜馬はその時の彼女の中にある自分を求める
激しさに驚きを隠せなかった
それほどまでに自分を必要としてくれている
人間が・・・・
今いったい彼女ほど自分を必要としてくれる
人間が果たしてこの世にいるだろうか・・・
途端に胸が締め付けられるほどの恋慕にかられた
自分はどうかしている
自分よりも12歳も年下の小さな少女に
こんな気持ちを抱くなんて・・・
それでも彼女の笑顔と存在は
全てを無くした思春期の少年にとって
唯一の心の寄り所となった
通いのお手伝いさんの杉本さんに
パンケーキを焼いてもらって
彼女を待っていてあげよう
竜馬はそう思い
足取り軽く家路についた
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