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chapter16 LAST STAGE 竜馬
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しおりを挟むまた二人で手をつないで
スーパーの入り口を出ようとした時
ジェニがその場にうずくまった
「おなかいたい~~~~~~~~ 」
「ええ?!」
竜馬はこの幼い少女が緊迫した状況だと悟った
「ほら~・・あんな大きな
かき氷を沢山食べるからぁ~~
女の人用のおトイレ一人で入れる?」
ジェニを抱き上げ
慌ててトイレの場所を探し当てる
「むり~~~~~~~ 」
「ええ?困ったなぁ~」
仕方が無く男性用の洋室便座にジェニを座らせ
扉を閉めて前で竜馬は立ち尽くし
大きくため息をつき
片手で顔を拭った
ああ・・・僕は何をやっているんだ・・・
「出た~~~~
出たよぉ~~~大きいお兄ちゃ~~~ん 」
「ちゃんと拭いて!流してから出て来てね」
個室から出て来たジェニの腰を抱き上げ
背が届かない手洗い場でジェニの手を洗わせる
竜馬はそこでハンカチを
持っていない事に気が付いた
「ほら!」
竜馬は仕方がないので
自分の白のTシャツをビヨンと伸ばし
ジェニに「ここで手を拭け」と促した
ジェニは言われたままに竜馬のTシャツの前身頃で手を拭き
竜馬の白いTシャツは小さな濡れた手の後が
二つついた
無事に危機を乗り越えた二人は
手をつないで帰り道を歩いた
風が吹き竜馬の濡れたTシャツの前が
冷たく素肌に当たった
「・・・・ジェニちゃん・・・・
もう寒くなかったらそのシャツ返してくれる?」
「やだ!」
「そう・・・・・ 」
ほとんどの子供はそうだがジェニも自分に対して
優しい人ほど素早く見抜き
自分が有利な立場だと知ると容赦がない
ジェニは竜馬のフランネルのシャツが気に入り
その日はずっと着ていた
「やった!とれたよ!
ジェニちゃん! 」
すっかり綺麗になったメルちゃんを
片手でジェニに見せる
マジック液に対する除光液の効果は抜群で
竜馬がティツシュに除光液を浸して
メルちゃんの一本眉と口ひげを綺麗に
ふき取るとコントのように
あれほど悪どかったメルちゃんの
人相が本来の可愛らしい顔に戻った
ジェニは瞳をキラキラ輝かせて奇声をあげて喜んだ
そしてくしゃくしゃの顔をして
メルちゃんをギュっと抱きしめた
「ハイタッチだ!」
と竜馬はジェニに言って両手を広げて前に出した
驚いたことにジェニは差し出された両手を無視して
いきなり竜馬に抱き着き
腰の周りに腕を回した
「大きいお兄ちゃんサイコー・・・・」
と竜馬のTシャツに顔をひっつけて
ジェニは言った
「ありがとう・・・」
竜馬はしばらく動くことが出来ず
小さな茶色い頭を見下ろしていた
どうしようか迷ったけど
ジェニの抱きつく力があまりにも
強いので優しく腕をジェニに回した
しがみついたまま
ジェニがニッコリ笑って竜馬を見上げたので
竜馬も微笑み優しくジェニの頭を撫でた
「大きいお兄ちゃん・・・・ 」
「うん? 」
「ジェニ!大きいお兄ちゃんが一番好き」
ハハッ
「僕もだよ」
竜馬も笑いながら囁いた
「他の誰よりもジェニちゃんが大好きだよ」
竜馬は思わず出てしまった
言葉に自分でも驚いた
それからはどうしてこんなに仲良くなれて
しまったのだろうというぐらい
二人はいつも一緒にいるようになった
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