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chapter16 LAST STAGE 竜馬
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二人は手をつないで歩いてすぐの近所にある
三階建てのスーパーに向かった
一階の食品売り場のサービスカウンターで
除光液の場所を聞き
エスカレーターに乗って
二階の日用品売り場へ向かった
チーンッ・・
「650円です 」
うわっ・・・高っかいなぁ~・・・
竜馬の財布には1000円しか入っていなかったが
仕方がないので650円の除光液を買った
手をつないでジェニと帰ろうと
1階の磨かれたタイルの上を
歩いているとふとジェニが足をピタリと止めた
ここのスーパーには食品売り場の横に
こじんまりとしたフードコートがあった
「あれ食べたい!」
とジェニが指さしたのは
イチゴのかき氷のポスターだった
300円・・・・・
「イチゴのかき氷が食べたいの?」
「うん」
コクンと大きく首を振るジェニ
竜馬は仕方がないなと思って
ジェニを連れてレジカウンターへ向かった
「すいません・・・イチゴのかき氷下さい」
「300円です 」
愛想のない中年の女性店員が言う
「白いのもかけて欲しい」
ジェニの言葉に竜馬がメニュー表を見る
練乳・・・プラス30円・・・
竜馬は途端に自分の金が減る不安に襲われたが
すぐに持ち直した
「・・・・練乳もお願いします」
「330円です 」
こんもりと浅い器に盛られたピンクと白の
コントラストが綺麗なかき氷はなんとも
おいしそうだった
二人掛けのテーブルに
かき氷の乗ったトレーを置き
二人で向かい合わせに座った
ジェニの胸に紙ナプキンをかけて
端を首元にたくしこんで
服が汚れないようにしてやった
ジェニは自分の顔よりも
大きい練乳がたっぷりかかった
かき氷をすくいあげ
口の中に入れてゴクンと飲み込むと
「ん~~~」と言って目を閉じた
痛みとも感動とも判別できない顔をしている
「どうしたの?大丈夫?」
竜馬は不安になってじっとジェニを観察した
「おいし~~~い~~~
あま~~~い~~ 」
ジェニは忙しくスプーンを動かしている
ホッとした竜馬は手のひらに残った
10円玉を二枚をじっと見つめた
・・・・所持金・・・20円・・・
「はい!大きいお兄ちゃん
あ~~~~ん・・ 」
「え?ハイハイ、あ~~~~ん」
ジェニに沢山食べさせてもらった
イチゴのかき氷はこれ以上ないぐらい甘くて
美味しいと竜馬は思った
それだけで竜馬は今自分が所持金20円しか
持っていない事もどうでも良くなった
かき氷を二人で平らげて
竜馬がトレーを返却台に返して戻ってくると
ジェニの様子が少しおかしい
「寒い~~~~~~~・・・ 」
かき氷を食べたのと店舗の冷房に当たったことで
身体が冷えてしまったのだろう
ノースリーブのワンピース姿のジェニが
自分の体を抱えてブルブル震えていた
「ああっ・・・
あんなに沢山かき氷を食べたから~・・」
竜馬は慌てて自分の着ていたフランネルの
赤と黒のチェックのシャツを脱いでジェニに着せた
袖はブカブカで裾もジェニの膝下だったが
それで体は温かくなったらしく
何とかジェニの震えは収まった
赤と黒のチェックのシャツを脱いで
白のTシャツ一枚になった竜馬は
袖をクルクルめくってジェニの両手を出し
前でボタンを止めてあげた
「これで寒くない? 」
「うん 」
「じゃぁお家に帰ろう!」
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