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chapter16 LAST STAGE 竜馬

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夏休み中はアメリカの学校に編入するために
竜馬は一つでも多くの英単語を覚えようと
四六時中机にしがみ付いて
英語を必死に覚えていた



時々編入する学校のパンフレットを眺め
向こうへ行けば何かプランなり希望なりを持てるのではないかと竜馬は密かにアメリカの地を夢見た



そして立派に優秀な成績で卒業し
良い就職先を見つけ
一郎さんに恩返しをできればいいなと思っていた




その時中庭から激しく泣くジェニの悲鳴が聞こえた





一郎さんが仕事でいない昼間は
豊とジェニと通いの家政婦さんと竜馬だけだ



二人に何かあったら一郎さんに申し訳ないと
竜馬は慌てて中庭にいるジェニの元へ駆けつけた



ジェニは中庭の楓の木の下で半狂乱になって
泣きじゃくっていた




「ジェニちゃん!どうしたの?」



「お兄ちゃんのばかぁ~~~~」





ふと竜馬が楓の木を見ると
枝葉にジェニのお人形の「メルちゃん」が
吊るされていた



ジェニが自分の妹のように大切にしていた
メルちゃんは裸にされ

ピンクのボディが紐やテープやクリップで
がんじがらめにされその先にはビニール袋がついていた




どうやらジェニの大切なメルちゃんは
パラシュート部隊のジャンパーに任命されたようだ




憐れなメルちゃんは訓練もまともに受けずに
豊に即席のパラシュートを装着されて
ベランダから放り投げられた所
楓の木に引っかかったみたいだ




そしてメルちゃんの顔は眉毛はマジックで
1本につながり口は泥棒のようにグルグル口ひげを
べったり書かれていた




ジェニは木の下でどうしようもない
パニックに襲われ絶望的な怒りを爆発させ
泣き喚いていた



ジェニはたとえ豊が本物の赤ちゃんを木に吊るしたとしても
ここまで激しいショックは受けなかっただろう
というくらいのショックを受けていた




木の下で声の限りに手が付けられないほど
ギャーギャー泣き喚いているジェニ




騒ぎを聞きつけて駆けつけて来た竜馬が
なんとか木に登り
メルちゃんを救い出した








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