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chapter15 スーパーシャイボーイPart2
24
しおりを挟むジェニ達一行は
二台の車で竜馬達の入院している病院に向かった
一台は宗一郎の黒のレクサスに藤子が乗り
ジェニは豊が運転する
竜馬のレンジローバーに乗った
とてもではないが自分がジュニアに乗って
運転する気にはなれなかった
きっと病院に着く前にジェニ自身が
どこかに突っ込んでいるだろう
助手席に乗っているジェニの横で豊が
運転しながら宗一郎と話していた
運転席のスマホホルダーに取り付けられた
豊のスマホのスピーカーから
宗一郎の声が聞こえる
「二人のうち・・・・
軽症の方が意識を取り戻したそうだ・・・・」
豊が大声で聞く
「どっちだ!!」
「・・・・文也だ」
ああ・・・・神様
ジェニの体は全身引きつり
両手で顔を覆ってうずくまった
思わず泣き声が出た
「・・・・もう一人は・・・・
竜馬は? 」
豊が運転しながら聞いた
豊も声が震えていて
なんとかこの状況を受け入れようとあがいた
「・・・・行ってみないとわからない」
「急ぐぞ! 」
帰宅時間の渋滞を縫って進んでいる
乱暴な運転にそこらじゅうの車が
クラクションを鳴らした
ジェニの胸の内は千々に乱れているにもかかわらず
まともに言葉を発することが出来ない
身体が冷たくなっていくのを感じた
あまりに冷たくて動きが止まり
何も感じなくなるほどに
なんとか声を振り絞った
「・・・・ボートがそんなふうに爆発するなんて
よくあることなの?何が原因なの?」
「・・・ディーゼルガソリンというだけあって
ボート事態はかなり古かったのかもしれない・・・
エンジンの劣化とか・・・
一度5メートルほどの釣り船が沈没したのを
見たことがある・・・
琵琶湖じゃなかったけど・・・・ 」
豊が冷静すぎる声でジェニに応えた
たぶんジェニと同じことを
グルグル考えていたのだろう
それから車内は凍り付くような沈黙が流れた
竜馬さんが意識不明・・・・
血を流し
沢山の機械につながれて今手術を受けている・・・
ジェニはとても信じられなかった
あの無敵の彼が
ポロポロと涙が流れてくる
泣いてもなにもならない
強くならねば・・・
そう思っても
涙が後から流れてくる
揺れる車の中
考えられるのは彼の事だけ
弱り・・・鎮痛剤を流し込まれ
意識も無く・・・
もしかしたら・・・ああ・・・・考えてはダメ
ジェニはシートベルトをギュっと握りしめた
彼は死んだりしない
死なせやしない
病院までの道のりが
永遠の時が流れたような気がしていた
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