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chapter15 スーパーシャイボーイPart2
21
しおりを挟む「釣りの時間が長引いているとか?」
「そうだとしても一度は船着き場に戻ってくるだろう
メシも食わないといけないし」
宗一郎がぼんやりと言う
いつもならゆったりと愛想のいい
表情を浮かべているのに
今は彼の顔は曇り
険しく厳しいシワが刻まれている
椅子に浅く腰掛けている
その長身には戦いにそなえるような
緊張感がみなぎっていた
藤子が何やらパソコンで検索しながら言う
「私も朝からlineしたり・・・
さっきも電話をかけたんだけど出なかったわ
手が離せないのかなと思ってたんだけど 」
「・・・・心配するような状況なの?」
ジェニがためらって二人を見た
首の後ろがチクチクするので手で揉んだ
「そういうわけじゃ・・・ないんだけど
私は嫌な予感がするだけ」
藤子が親指を噛む
「俺は竜馬に取引先の件で連絡がつかないのでな
君達に何か連絡があったのかと思って聞きに来た
文也達が出航した船着き場の場所は?
どこから出るとか聞いた?」
藤子が宗一郎の質問に答えた
「どこから出航するかは聞かなかったけど・・・
たしかレンタルボートのサイトを見せてくれた
記憶が・・・
昔は社長とよく行ってたんだって
それで・・・すごく喜んで
たしか何とか琵琶湖レンタルって・・・・」
パチパチと藤子が検索をかけている
「俺はこっちの琵琶湖の水難事故の
ニュースサイトを当たってみるよ
本日の事故件数と内容が載っている
遭難用のニュースは・・・今の所0件だな」
「だから大丈夫ってことだよね?」
ジェニは尋ねた
宗一郎はかすかに微笑んでジェニを見たが
すぐにタブレットに視線を戻したメガネの奥には
眉間にV字型のしわが刻まれていた
「便りのないのは・・良い便りだよ」
ジェニの心臓が怪しく鼓動を刻みだした
自分はバス釣りの事は何も知らない
どういう質問をすればいいかもわからない
それでも竜馬と文也と連絡がつかない理由について
必死に頭をめぐらせた
「た・・・たまたま
圏外にずっといるとか・・・・
そういうことってないかな?」
宗一郎が頷いた
「もちろんあるさ・・・・
でもあの二人の性格を考えて
まるまる平日のいくら有休を使っているとしても
仕事の連絡まで閉ざして
遊んでいるとは考えられない
折り返し連絡をくれと言ってるんだから
もし圏外にいてもどこかで
連絡がつく場所で必ず俺達に連絡をいれてくるはずだ」
ジェニが激しく心の中でうなずく
そうだ・・・竜馬さんはそういう人だ
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