310 / 700
chapter13 スーパーシャイボーイ
23
しおりを挟む明美がトイレで席を立った時に
兄と二人っきりになったジェニは兄に聞いた
「本気なの?明美さんのこと!」
ジェニは切り出した
兄は怪訝そうに目を細め
ジェニを見た
「ああ・・本気だ・・
俺はあの子を愛している」
驚いたことにいつも怒りっぽい兄が
穏やかな顔で言った
「いや・・・もっと良い事だな
彼女が俺のことを愛しているんだ
このゲームしか取り柄のない男を・・・・
明美は俺がどこの大学へ行ったとか
どれぐらい金を稼ぐとか、何人部下がいるとか
エグゼクティブ専用の会員だとかそんなこと
は関係ないんだ 」
明美のことを語っている兄の表情は
とても穏やかだった
ジェニは兄にこんな顔をさせている明美を
凄いと思った
「あの子はそんなことこれっぽっちも気にしない
明美が興味を示すのは
俺がどのゲームを好きかとか
チョコレートフォンデュでどの具が好きかとか
そういうことなんだ
明美は俺が金がないことも
金を稼ぐ当てがないことも知っている
それなのに俺の事を軽蔑しないんだ
あいつが俺を好きになった理由を知ってるか?」
「ううん・・・・ 」
「牛乳アレルギーでぶっ倒れた俺をみて
面白かったんだとよ
あいつはカリスマキャバ嬢だった
アイツのお客はみんな億を稼ぐ社長ばかりだった
実際にあいつも数千万稼いでキャバを引退した 」
豊ちゃんがやりたいことを見つけるまであたいが
食べさせてあげるの・・・・
ジェニは明美の言った言葉を思い出していた
彼女の言った言葉は真実だったのだ
「そんな子が俺のそばで笑ってくれているなんて
俺にとっては奇跡みたいなものなんだ
俺はあの子を幸せにしてやりたい
そのために・・・・今色々考えている」
兄は顔をあげたところで
やたら感傷的になっているのに
気づいたらしく真顔に戻った
「お前に俺を説教する権利はないぞ!ジェニ!
竜馬とよろしくやってるんだからな!」
「分かってるわよ・・・・ 」
しばらく無言のあとこれで最後だとばかりに
兄が話し始めた
「明美の姿勢がすごく好きなんだ
あいつ・・常にゆったり構えてるだろ?
俺にもあーしろ、こーしろなんて指図しないんだ
あなたがそれでよかったらいいんじゃない?
好きにすれば?って感じだ
自分に起こることすべて
たとえ刑務所にぶち込まれたって
これも良い経験だって受け止めるんだ
くよくよ悩んだりしない女なんだ
お前には悪かったと思ってる・・・・
これからの俺を見ててくれ・・・・」
ジェニもここ数日明美と付き合って
兄の言わんとしていることがよくわかった
ただ・・・・
今まで気づかなかったのは
兄がどれほど明美のような人を
求めていたかってことだ
お会計で明美がアメックスのグレードの高い
カードを出していた
たしかに明美はお金には困っていないらしい
「あの・・・・ありがとう・・・
ご馳走してくれて・・・ 」
明美が入り口に立って
じっとジェニを見つめた
「それと・・・・
今まで兄がお世話になって感謝しているわ
よかったら・・・これからも兄の
傍にいてあげてくれる? 」
明美の少し切れ長の目が笑ったような気がした
そして
「別にかまわないわよ」とばかりに
彼女は肩をすくめた
こうして奇妙な三人の同居生活が始まった
夜中にジェニがお水を飲みに
キッチンに降りて行くと
リビングのソファーで豊と明美が抱き合っていた
二人はお互いの唇を吸うのに忙しく
ちっともこっちの気配に気づかない
そんな時ジェニは心の中で叫び
月に向かってドラミングをしたい気分になるのだった
「私だって竜馬さんとキスしたい
竜馬さーーーーーーーーーーん!!」
7
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる