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chapter13 スーパーシャイボーイ

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「とにかく結婚前の男女が一緒に
ここに住むわけにはいかないだろ
豊は僕の家まで来るんだ
空いてる部屋はいくつもある
二人で話したいこともある 」



「けっ!誰が行くかっ!
そして俺を呼び捨てにするな!」



「僕の家には
フォートナイトセブンデイズシリーズ3があるぞ」




ピクリッと豊の肩が動いた
それは豊が夢中になっている
オンラインゲームソフトで

初期のシリーズでは大学生の豊が徹夜で
ヨドバシカメラに並んで手に入れた代物だ
そして今竜馬は自分の家にその最新シリーズがあると言った




「・・・・専用コントローラーは?」

「4台、ビールもあるぞ」




兄の背中がウズウズしている
明らかに行きたいのだ




ジェニも泊まりたいけど
兄がいるなら嫌だった
そして兄が連れて来た謎の女明美を一人で
この家に置いておくのもなんだか気になる




一番に驚いたのは
どういうわけか竜馬さんは兄を
コントロールするのがとても上手だ・・・・




兄は父の自慢だった
某コンピューター大学を首席で卒業した後
日本を代表するゲームセンター会社の
技術者として就職したが一年で父の会社が傾き
それを立て直すために父の会社で働きだした



しかし元々技術者の兄は
広告会社という畑違いの世界で悪戦苦闘していた



そしてかなりの天邪鬼だ
そんな兄をまるで気が荒くなった
手負いの犬を手なずけるみたいに
言う事を聞かせてしまった




渋々玄関まで着いて来たジェニに向かって
竜馬が言った



「君は少しでも眠るんだぞ
起きて体調を見て明日は
会社を休んでもかまわないから
今日の事故のかたずけは僕がやっておく」




黒Tシャツにのび太並みの短さのハーフパンツ
素足に濡れた革靴姿の竜馬さんでも
とびきり素敵だった





「おい!早く行くぞ!」




豊が乗り込んだレンジローバーの
窓をさげて竜馬を呼んでいる


ジェニは今や親友のように仲良くなりつつある
兄と竜馬を不思議な気持ちで見ていた



竜馬が意味不明に辛抱強く
我儘な豊を思いやっているのだ



ジェニは彼を追いかけた
行かないでと懇願したかったけどそこで思いとどまった



兄妹の諍いいさかいに
巻き込んでしまったことについて謝りたいし

竜馬と明美がいなかったら
お互い一歩も引かない強情兄妹は
血みどろの喧嘩を勃発させていたかもしれない



そしてジェニをあのエレベーター地獄から
救い出してくれたことも
彼にはお礼を言っても言い尽くせないほどだ





しかしこうして彼の顔を
あらためて見たら何も言えなくなってしまった







いつになったら私達は結ばれるの?・・・・・
:*゚..:。:.   .:*゚:.。






涙目で彼に訴えた
キュッと彼は両手でジェニの手を握った

彼の手の中でジェニの指が激しく震えた
彼がその指先もぎゅっと握りしめ
二人はしばらくお互いの目を見つめ燃え上がった


そして彼は両の手の平でジェニの頬を包みこんだ








「想いは同じだよ・・・ 」
*゚..:。:.   .:*゚:.。









そう囁きジェニのおでこにキスをして
例のバターも一瞬でとろけさせる様な
温かい笑みを浮かべてからくるりと背を向け





豊が乗り込んで待っている
レンジローバーに向かった





ジェニは彼の車が見えなくなっても
ずっとそこに佇んでいた

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