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chapter12 愛が止まらない
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しおりを挟む「水位がかなり高くなってきている
ここから脱出するぞ
ここの地下は全部浸水している」
彼はジェニの頬にかかっている濡れた
髪の毛を耳にかけて言った
彼の逞しい肩にしがみついているかぎり
何があっても大丈夫なような気がした
現金なものだ
「それにしても
この水いったいどこからきているの?」
「淀川の排水用の通路と
地下駐車場の間の壁が水圧で崩壊したようだ
まだこれからどんどん水位は上がってくるはずだ
こういうあちこちで災害が起きている時は
警察などはあてにならない
だからメビウスから救助隊を連れて来た
脱出ハッチのビスがさび付いて壊れていたんだ
ハンマーと電気のこぎりでハッチを壊すのに
時間がかかったよ・・・ごめんな 」
頭上でトランシーバーで
誰かひっきりなしで連絡し合っている声が聞こえる
「さぁ!ジェニ!
僕が下から君を持ち上げるから
君は僕の肩の上に立って引き上げてもらえ」
竜馬は上を見上げて目を細めた
「ええ?だめよ!私重いもの!」
ジェニの焦り様に彼は笑った
「僕は毎日60キロのバーベルをかち上げているんだぞ!
だから大人しく僕の言うことを聞くんだ
わかったかい?」
本当はジェニは彼と離れたくなかった
彼にこうしていつまでもしがみついていられるなら
水浸しのエレベーターの中も悪くないと
思い始めていた頃なのに
ジェニは仕方が無く頷いた
「こっちは準備が出来た!
今からそっちに彼女を渡すから引き上げてくれっっ!!」
そう彼は叫ぶとぐいっとジェニの両ワキを持ち上げ
彼女を肩に担いで座らせた
「キャァ!」
一気に服にしみ込んだ水があふれ出す
服の重みがすごい
「よしっゆっくり僕の肩に乗って踏ん張れ
大丈夫!僕が支えているから」
彼の支持のもとジェニは何とか
彼の肩の上に仁王立ちになり
脱出ハッチから手を伸ばしている
セキュリティのオジサン二人の腕を掴んだ
「よーーーし!いいぞ!」
「そのまま上にひきあげろ!」
彼はジェニが倒れないように
大きな手をお尻にあてがって
二人のセキュリティにジェニが届くように
軽々ぐいっと押し上げた
あまりの力強さにジェニは圧倒された
「り・・・竜馬さん!重くない? 」
「小鳥のようだよジェニ!」
こんな時にまで冗談が言える彼は本当に
心強い存在だ
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