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chapter12 愛が止まらない

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「もっとひどい死に方は
いくらでもあるじゃない・・・」




そう自分に言い聞かせた
自分が死んで悲しんでくれる親はもういない



そりや・・・
同僚の藤子達は悲しんでくれるだろうけど

大学を諦める時に色々考えていた
人生でやりたいことの
まだ10分の一も出来ていない





仕事が落ち着いたら大学の経営学を学びたかった・・・


藤子の結婚式にも出たかった



そして何より自分が愛する人と
結婚式を挙げたかった 


猫を飼いたかった



もっと理想をいえば恵まれない人々の
手助けなどもしてみたかった



可愛い赤ちゃんを産みたかった








竜馬さん・・・・・
:*゚..:。:.   .:*゚:.。






何を考えているの
彼は私が死んだところで悲しむはずが無い
だってあんな素敵な婚約者がいるんだもの

 

それにくらべて私は27歳にもなって
セックスさえしていない



死に瀕した人間はもっと
高尚な事を考えると思っていたのに
私の死ぬ間際に後悔していることがアホすぎる




情けなくてポロポロ涙が出てくる




それでもジェニの頭に浮かんでくるのは
彼の優しい笑顔と筋肉質の温かい体 



彼に抱かれてプリンセスと呼ばれたあの時こそ
人生で一番幸せだった
 



ずっと立ったままだ
爪先はジンジン痺れている
とにかくどこでもいいから座りたかった





ジェニはとうとうこらえきれずにパソコンを
力なく離した


パソコンはドボンッと音を立てて
水の底へと沈んだ


そして数分後画面の光は消え
ジェニはとうとう冷たい真っ暗闇に包まれた







ヒック・・・ヒック・・・・
「こんなことなら・・・・こんなことなら・・・」








ジェニは思いっきり叫んだ





「竜馬さんとセックスして
おけばよかったーーーーーーーーーーっっ!」







うわぁ~~~~~~ん
「竜馬さんのバカバカバカーーーーーー!
どうしてあの時
セックスしてくれなかったのぉーーー?」






ジェニは声のかぎり叫んだ







「竜馬さーーーーーーーーーんーーーーーー」








その時ドカンッっとエレベーターが揺れた

「キャァ!!!」




ジェニは慌てて水をかいて
エレベーターの隅に逃げ込んだ



ふと天井の上で何やら話し声が聞こえる






人の気配がしている!!!





そしてバーンッと天井から衝撃音が鳴った





「ヒィッ!!」





一瞬エレベーターのロープが切れたのかと思った

そして続く激しい金属音




バーンッ!バーンッ!
シュイ―----ン




バリバリバリッッ!!




天井がバリバリはがされ途端に眩しいライトの
光が天井から降って来た





「ここよ!ここ!!」





ジェニは心臓を高鳴らせて
大声で叫んだ




真っ暗闇から差し込んでくる光があまりにも
眩しくてジェニは目を手で覆った



エレベーターはグラグラ揺れている
くぐもった人の声がどんどん聞こえる




明らかにエレベーターの天井に何人かいる
けたたましい金属音を出しながら
何やら必死に作業している




ああっ!助かる!



ジェニは泣きながら
怪我をしないように降ってくる火花や
木の破片をよけるようにエレベーターの隅に
逃げて必死で天井を見上げる





「ここよ!!
閉じ込められているの!
助けて!! 」






必死に叫んだ




やがて天井のパネルがメリメリはがされ
眩しい光が真っ黒なエレベーターの中を照らした




そして一人の男性がひょこっと中を覗き込んだ






「よぉ!ジェニ!」







竜馬が後光のように光を背負って闇の中で
ジェニを見つめた






「聞こえたぞ!!セックスしてやるから泣くな!」








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