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chapter12 愛が止まらない
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しおりを挟むスマホの明かりを懐中電灯のように
周りを照らして良く見てみる
どこから水が浸入してきているかハッキリわかった
泥で濁った水が扉の閉じられた隅間から
噴き出ている
「ああ・・・・っっどうしよう!!」
次にエレベーターパネルを照らし
何度も赤い非常ボタンを押す
その横のスピーカーから
誰かの声が聞こえることを願って
何度も・・・何度も・・・・
「誰かッ!!誰かッ!応答して!!」
そして天井も照らしてみる
映画などではエレベーターの脱出口は上にある
ジェニは天井の白いパネルのようなものに
向かってジャンプしてみた
でも到底届かないしあたりを見渡してみても
踏み台になるようなものは何もない
こうしている間にもドアの隙間から
ドンドン水が浸入してきている
ジェニは考えた
ここに来てもう4時間以上たっている
まさか・・・・・その間に
地下駐車場が全部浸水したってこと?
最後に見たのは・・・・
そりゃ1センチぐらいは水たまりが出来ていたけど・・
そして私が無理やり地下ボタンを押したから
このエレベーターが水に浮ているってこと?
エレベータ―が水に浸かってしまったら
そりゃ電気経路はすべてショートするだろう
そして私がここにいるってことは
斎藤さんしか知らない
「さ・・・斎藤さんに・・・・
でんわ・・・でんわ・・・・」
すぐ上の階でさっきまで楽しく話していた
斎藤がまだオフィスにいてくれますようにと
会社の番号をリダイヤルでかける
心臓が不安な早鐘を打つ
代表番号が呼び出し音を三回鳴らす
四回目で会社の留守番電話サービスに切り替わった
希望が絶望に代わった
斎藤さんは帰ってしまった
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