【R18】堅物敏腕ボスと初恋の君の運命的な再会~父の会社を買収した憎いアイツは幼い頃に一緒に暮らした大好きなお兄ちゃんだった~

星キラリ

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chapter12 愛が止まらない

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伊藤アリスは先ほどから
コピー機に点滅する

”コピーできません”

の白黒の表示をじっと見つめていた
もうかれこれ30分ほどこのコピー機の前でじっとしている

 



・・・・どうしてコピーできないのでしょう・・・






ありすの目には不安が色濃く出ていた
今までコピーといえば父の会社で
コピー機を使ったことが1度だけあった




しかし・・・
あのコピー機はカラー表示で自動に
印刷した用紙を吐き出していた





・・・・
お金を入れないといけないのでしょうか・・・






彼女が肩をすぼめてうつむくと
肩までの淡い栗色の髪が丸みを帯びた顔にかかった



小柄な姿がますます小さく見える
アリスはもう一度コピーボタンを押してみた



しかし目の前の白い大きな機械は虚しく

”コピーできません”

と表示を点滅させるだけだった





「どうしたの?アリスちん」




固まっているアリスを見かねた藤子が
アリスの後ろからぬっと現れた
いきなり話しかけられてアリスは緊張した




「あ・・あの・・・
コピーが出来なくて・・・・ 」




「ああ!それね!時々こうなるの!
ジェニが得意よ、ジェニ――――! 」




途端にアリスは青くなった




「い・・・いえ・・
大丈夫です!皆さんお忙しいのに・・・」




アリスは声を潜めて身を震わせた



「はーい!何ーー?」





ジェニがパタパタとやってきた





ジェニは大股で颯爽とアリス達がいる方へ
向かって来た
シルバーのブリーフケースをコピー機の前に置く




「コピーできなくて
アリスちんが困っているわ
いつものアレやって! 」



「ああ!それならもっと早く言ってくれたら
よかったのに!
アリスちんのせいじゃないわよ
これ最近紙詰まりよくするの 」






アリスちん・・・・・





アリスは心の中でつぶやいた
こんなおかしなあだ名で呼ばれたことは
今までなかったがあえて口には出さなかった


するとジェニがコピー機を信じられない
力で斜めに三回チョップした

 

アリスの目が点になって固まった
するとさっきまで頑固としてエラー表示を
出していたコピー機が轟音を立てて動き出した




「ここの角度を45度で叩くのがコツよ」



藤子が笑った




「もうそんなことしないで
新しいの買ったら?アリスちんが怖がってるわよ」





「真紀ちゃんの旦那様に新予算を提案するわ 」
 



「ごめんねアリスちん、これで大丈夫よ
他に何か困ったことある?」





ジェニが微笑んでアリスに言った
 




「え?いっいいえ!
そんなっ・・・・ありがとうございます」





慌ててアリスは米つきバッタのように
ペコペコした






そこに動画制作エースの小林が三人の前を
ふらふら歩いて去って行った


げっそり疲れ切った顔で
ヌラヌラとナメクジのように歩く
小林の後ろ姿を三人は見つめた 




「なぁに~?
辛気臭いわねぇ~~~ 」


藤子が半笑いで言った



「今、彼に五件動画制作案件が来てるの
すっかり生気を吸われちゃって・・・・」



「すごいわね!大人気じゃない!」


「ただ「ファンタスティック色白」の
字幕文字のフォントが小林君だと―― 」



「ああ!その件なら真紀ちゃんから聞いているわ
同じフォントだと視聴者に飽きられるってヤツでしょ?
それに関しては真紀ちゃんの作戦があるの――」







ワイワイと話し込みながら二人が去って行って 
アリスは両手を組みホッと胸をなでおろした


 
 

ああ・・・
あの二人に話しかけられると
緊張しますわ・・・





アリスから見たあの二人は同じ世界に新しく
生まれ変わった別の人種のように見えていた
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