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chapter10 寂しいジュリエット
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しおりを挟むジェニは初めて彼に会ってから
少し厄介な問題を抱えていた
それは毎晩オフィスで壁に押し付けられたキスを
ベッドの中で思い出す度に
火照った顔を枕に押し付けていたからだ
ジムでの彼のセクシーな体を思い出して
悩まされていた
そして決まってさまざまなエロティックな事を
空想する相手は彼になっていた
最近ではめっきり彼を見たり空想したりするのが
ジェニのお気に入りの遊びになっていた
しかし肝心な所が未経験な故に
そのあと何が起こるか想像出来ないでいたのだ
なので今夜ハイヒールの君とのデートに飛びついた
デートの相手がたとえドラえもんでも
構わない気分だった
竜馬の事を忘れさせてくれるなら誰でもよかった
ロマンティックな夜景とシャンパンを楽しむ
ことに全力を尽くしてみようと思っていた
なのに彼が来るなんて
初めは彼をとても嫌なヤツだと思っていた
出会いは最悪だった
しかしあれから彼はジャガーの修理代も
アルマーニのスーツのクリーニング代も
一度も請求してこないし
彼の元で働いていると本当は自分と
この会社の社員を助けてくれたのではないかと
思う時がある
きっとそうだ
私・・・・彼が好きだ
:*゚..:。:. .:*゚:.。
心にトクンと温かいものが灯った
初めて会った時から感じていた
彼の刺すようなまなざし
体から発せられる熱・・・・
それらがいつの間にかジェニの秘密の場所に
入り込んで来て彼女を震わせ
とろけさせた・・・・
ジェニはミネラルウォーターを一口飲んだ
彼と付き合いたいとか・・・
そんなおこがましいことは考えていない
だいいち年齢も離れすぎてるし
彼とは環境も立場も違うし
大会社の社長とどうこう自分がなれるわけがない
でも今夜・・・・夢のような出来事が起こった
「君を悦ばせたい・・・・
すごく素敵だよ 」
:*゚..:。:. .:*゚:.。
彼は自分を素敵だと言ってくれた
彼の低い声にこもっていた興奮や
一番感じる部分に触られた時の恍惚感
求めている場所に押し付けられた
勃起していた信じられないぐらい
硬い感覚が蘇って来て身震いした
私が彼を求めていたのと同じぐらい
彼も私を求めていた気がする
それでも彼は最後まで強引にことを
運ぼうとは決してしなかった
彼のことを考えただけで鼓動が早くなる
彼には婚約者がいると聞いた・・・・
だからこそ・・・・
彼が結婚してしまう前にたった一度だけ・・・・
自分は一度そういう関係になったからといって
彼女づらしたり
責任を取ってくれと彼を追い回したりは
絶対にしない
きちんと物事を自分で選択できる大人の女だ
もし彼の同意が得られるなら
彼なら・・・・
今までためらっていた
27歳にもなった哀れな女の処女喪失を
素敵な思い出に変えてくれるかもしれない
誰にも言えない宝物のような秘密の思い出を
たった一度だけ作ったとて
バチは当たらないのではないだろうか・・・・
たった一晩だけでいい
そういう思い出を心の中に一つ
持っていれたら女性として自信がつきこれからも
藤子や真紀達と楽しく仕事をしていけるだろう
そしてやがて年を取って
自分が猫10匹と暮らすような
頑固な独り者のおばあちゃんになっても
少なくとも処女ではないと自分を慰めることが出来る
今夜彼にされた素敵な思い出があったら
幾度かの孤独な夜も乗り越えられるだろう
今ここで諦めたら・・・・
自分は一生処女のままかもしれない
彼なら・・・・
素敵な経験をさせてくれるかもしれない
いや間違いない
そしてタイミングは今しかない
彼に抱いてもらいたい
:*゚..:。:. .:*゚:.。
そう考えた10分後にはピンクのブラウスに
ローライズのホワイトジーンズを履いて
タクシーアプリでタクシーを呼んでいた
玄関口までやって来たタクシーに乗り込み
目的地のメビウスビルに行ってもらう様に
運転手に言った
彼の部屋は文也君から聞いて知っている
最上階の南端だ
心臓がバクバクしている
どうしよう・・・・
もしかしたら煉瓦の壁にぶつかりに
行くようなものかもしれない
男性会いたさに夜中にタクシーを飛ばすなんて
今までこんなに自分が感情的に行動したことが
会っただろうか
ジェニは初めての衝動にワクワクした
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