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chapter10 寂しいジュリエット
20
しおりを挟む「ねぇ!バイクって楽しいわね!
私も免許取ろうかしら 」
「危ないぞ」
「まぁ!それが運転してる人がいう事?
私を強引に乗せたくせに」
「僕の後ろに乗るのなら問題ないが
女性がバイクを所有して一人で乗るのは
お勧めしないな 」
「前に乗れよ」
竜馬は体を後方に滑らせた
「でも・・・・私運転できないわ」
「エンジンはかけないよ
「鈴木」の横に置きに行くまで
僕が足で漕いで転がしていくよ 」
ジェニは好奇心に負けて
ドゥカティの運転シートにまたがった
少しでいいから運転している気分を味わってみたかった
後ろの竜馬がジェニの体をその胸に引き寄せると
ジェニは声も無く息を呑んでびくんとした
「・・・・これがクラッチ・・・・
こっちがアクセルで
これがウィンカー・・・ 」
竜馬が彼女を前に乗せてハンドルを握らせて
説明する
静かにバイクを足でこいで
ガレージにゆっくり向かっていく
当たり前だが大きな家は暗く静まり返っていた
そして・・・・
20年前に「笹の木」が
あった場所を通り過ぎる
さっきはバイクを運転している間ずっと
彼女の背中に触れるやわらかさと
しがみつく小さな手の感触を味わった
うまく言葉にできないが
彼女の純粋さと信頼が信じられなかった
大人になったのに本質は変わっていない
静かにバイクを転がし
カエデの木陰に入った
風に揺れる木の葉が月光と影のダンスを踊る
竜馬は不意に脚を止め
腕の中にいる彼女の髪を耳にかけ
後ろから耳にキスをした
ジェニの体が強張り
息を呑む音が聞こえた
そして彼女はゆっくり顔だけ
後ろに振り向いた
「ど・・・・
どうしていつも私にキスするの?」
ジェニが小さな声で囁いた
「質問ばかりだな」
竜馬が顔をさらに近づける
唇が顎の下のかぐわしい部分に触れそうだ
「あ・・・あなたが謎すぎるのよ」
「ただキスしたいだけじゃダメなのか?」
月明かりの中
ジェ二はハンサムな彼の顔を眺めた
正直レストランで・・・・・
彼のおかげで店の人の目線を気にして
みじめな気持ちになっている所を彼に救われた
そして夜のバイクのドライブ・・・・
綺麗なものを沢山見せてくれて心が満たされた
こんなに楽しい気持ちになったのは
父を亡くして以来かもしれない
今夜の彼はみじめなジェニを救い出しにきてくれた
ヒーローみたいじゃないか
ヒーロには美女のキスのご褒美がつきものだ
ジェニが彼にもたれ上を向いて顔を近づけた
「・・・今日の所は・・・・
それでもいいわ 」
月が明るく照らす中
カエデの木の下で
バイクにまたがったまま二人は
キスをした
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