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chapter10 寂しいジュリエット
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しおりを挟む竜馬は4人の話を聞いていて
その「ハイヒールの君」は
信用できない相手の様に思えた
彼女と会って二回もデートをキャンセル
したことが気に入らない
男たるもの約束したことを簡単に覆すなら
初めから約束などしない方がいい
相手との信頼関係が結べないじゃないか
それにジェニにもムカついた
そんなにデートをキャンセルされるなら
自分は大事にされていないと判断し
さっさとソイツと縁を切るべきだ
ムカムカして黙って聞いていたら
すっと横から玄米茶が差し出された
竹のコースターに黄金色に光った
金縁のグラスには水滴がついていた
よく冷えていて旨そうだ
タバコを沢山吸ってイガイガしている喉には
たまらない
竜馬はそのお茶を啜った
・・・うまっ
香ばしくて良く冷えていた
竜馬はこれから毎朝はコーヒーよりも
これにしようかと思った
「速報ですけどね」
隣に座っている佐々木がとりとめもなく話し出した
「(アビアンテ)という梅田第三ビル30階の
イタリアンバルらしいですよ
「ハイヒールの君」との初デートですからね
おしゃれな所でお互いの事をゆっくり
語り合うのには最適な場所だそうです
インスタとやらで、レストラン→夜景で検索して
一番人気の所に奇跡的に予約が取れたそうです
さっきご本人がここに立ち寄った時に
私に話してくれたので確かな情報です」
しばらく二人の間で沈黙が漂った
「今夜8時です、いよいよご対面ですよ」
佐々木が竜馬の方を見ないで独り言のようにつぶやいた
そして観葉植物に鼻歌を歌いながらせっせと
水をやっている
竜馬がコトンと玄米茶をテーブルに置いた
「・・・お茶・・・・ご馳走様でした
美味しかったです 」
「いえいえ」
佐々木はニッコリ竜馬に笑った
「また いらして下さい」
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