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chapter9 がむしゃらロミオ
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しおりを挟むそしてジェニは少し距離を置いて
竜馬の顔を見覚えがあるのかどうか
マジマジと見つめた
きれいな子だった
二人は束の間見つめ合った
気づいた時には竜馬はジェニの濃いまつ毛に
縁どられた大きな瞳をじっと覗き込んでいた
・・・デカすぎないか?
目にゴミとか入りやすそうだな・・・
そして少女が気にしているであろう
薄いソバカスは鼻と頬にたしかに
散らばっていた
・・・別にあってもいいよな・・・
これに関しては竜馬も一郎と同じ意見だった
少女の瞳のとりこになってしまいそうだった
しかし来年大学生の自分と
小学生の彼女とは歳が離れすぎている
彼女は小鳥の様に軽く
桜の花びらを思わせる唇を持っていた
「だぁれ?」
ジェニが尋ね一郎が言った
「パパのお友達の息子さんでね
松下竜馬君だよ 」
「あそこ!」
ジェニが笹の木の一番上を指さした
竜馬は壊れ物を扱うように
慎重にジェニが笹の木の一番上に
短冊を付けられるようにジェニを持ち上げた
その時一郎の携帯電話が鳴って
一郎は家の中に入って行った
中庭にジェニと竜馬が二人ポツンと残された
長身でハンサムな竜馬の顔をジェニは微笑みを
浮かべて見上げた
「まだもう一枚書くの
お兄ちゃん来て! 」
「え? 」
ジェニが竜馬の手を握って家の縁側に
スタスタ連れて行き横に座らせた
そして短冊が置いてあるテーブルに腰を下ろすと
サインペンで紫色の短冊に
願い事を書き出した
〈 ママのびょうきがなおりますように 〉
「はい!お兄ちゃんも!
お願いごと書いて!」
そう言ってジェニは黄色い短冊と
サインペンを竜馬に渡した
「早く!」
ジェニが竜馬に催促する
仕方がないのでとりあえず彼女に合わすために
適当に何か書こうかと思った
じっと黄色い短冊を見つめる
願い事はひとつしか浮かばなかった
竜馬はなんとなくサインペンを短冊に走らせてみた
〈 父と母が生きかえりますように 〉
雨の高速道路・・・
湾岸線・・・
母を乗せた車は父がスピード出し過ぎたせいで
対向車の大型トラックと衝突し竜馬を一人を残して
二人とも還らぬ人となった
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