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chapter7 渚のバルコニーで待ってて

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「その・・・私には
もう後がないの・・・・
あなたとお付き合いをしても
結婚なんて出来ないわ
次にお付き合いをする人は結婚する相手と
決めているの
・・・好きだからとか・・・
一緒にいて楽しいとか・・・
そんなことじゃなくて
一緒に将来を考えてくれる人じゃなきゃ嫌なの」





「藤子ちゃんは・・・・結婚したいの?」






文也は首をかしげた
これで彼も諦めてくれるだろう




「ええ・・・そうよ 
だからあなたとは― 」



「結婚しようよ 」




藤子は怒った





「もうっ!どうしてわかってくれないの?
話にならないわ!
結婚よ!結婚!付き合うとか同棲とかじゃないのよ
結婚ってあなたが思っているほど簡単なものじゃないの」




文也の口調についにかすかな怒りの色が宿った




「本気で僕が何も考えずに言ってるとでも?
前に話してくれたよね
君は前の彼氏と結婚寸前までいっていた
君の生活のすべてを彼のために費やしてきた
そして別れて君は前に進んだと思っているが
その一方で僕が君に同じことをしようとしたら
君は恐怖に顔を引きつらせて逃げてばかりだ
僕の愛を受け入れようとしてくれない 」




「彼の事があったからよ!」





藤子は必死で主張した




「もうあんな風にあなたと
仲良くなって絆が強くなっても
信二の時みたいにあっという間に
何もかもなくなってしまうのは嫌なの 」





「僕は信二と違う」






文也は力を込めて言った






「もうカッコつけてすべてに理解が
ある可愛い弟はうんざりだ
君のすべてを手に入れたいんだ
これから先君なしで生きるには辛すぎる
僕の奥さんになってくれ
永遠にぼくのものにしたいんだ
子供は4人ほしい 」








もう・・・・
何言ってもダメだわこの子・・・

 

でも本当はわかっている・・
一歩踏み出すのが怖いのは自分だ




藤子は手の甲で涙を拭った
以前に藤子自身は信二と先へ進もうとした時
あのイタリアンレストランでてっきり
プロポーズしてもらえると―

  



ああっ!思い出すのも嫌!





だけど今は彼のド直球の
プロポーズにどう応えたらいいのかわからない




今自分は道の真ん中でヘッドライトに
照らされたウサギみたいに
不安でどっちにも身動きが取れない




ありのままの自分を彼にゆだねるのが
恐ろしくてしかたがない
しかし彼がとどめを刺した






「愛してるよ藤子ちゃん
僕は君にすべてを捧げる
底なしの愛を見せてあげるよ、僕を信じて」





もう溢れる涙を止められない
何なのこの子どうしてこんなにド直球なの


彼はどこまでもまっすぐな目で
藤子を見つめていた

何か言おうとしたけど言葉がつまって
出てこなかった






ああ・・・どうしよう・・・
仕留められたかもしれない
彼がすごく愛しい・・






しかたがないのでプライドなんてかなぐり捨てて
藤子は勢いよくひまわりを持ったまま
彼に抱き着いた







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