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chapter5 教祖藤子
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しおりを挟む文也はめまいを覚えながらゆっくり息を吐いた
心臓がドキドキしてる
感情の高ぶりは心臓に悪い
途端に肺がかゆくなった
昨日一晩中悩まされた咳の嵐が襲ってきた
文也は激しく咳込んだ
口元を押さえ藤子にすまないと手を振り
彼女に背を向けて丸くなって
地面にむかってゴホゴホ言う
「あらあら・・・大丈夫?
変なウィルスかしら?」
なんと彼女が優しく背中を撫でてくれた
「検査をしたら違うかったんだ
だけど今日どうしてもやらなきゃ
いけない仕事があって出社したんだけど・・・
咳が止まらくて
オフィスじゃみんなに嫌がられてさ・・・
んで・・ここでやってるんだけど・・
ゴホッ・・ああ・・ごめん・・ 」
そういって文也はマスクをつけた
しかし鼻も詰まっているので
息苦しくてしかたがない
ああ・・・情けない・・・・
「何を飲んでいるの?」
「アイスコーヒーだけど・・・」
「まぁ!それは駄目よ!
ちょっとカバン見てて」
そう言うと藤子はルイヴィトンの三つ折り財布を
片手に持ち椅子から降りて
パタパタとレジカウンターに向かっていった
彼女の飲んでいるカップには
マジックで
「藤子ちゃん!午後もファイティン!」
と書かれている
どうやらここの店員と仲が良いらしい
「ハイ」
5分後
文也の前に茶色に緑の自由の女神が
印刷されたカップホルダーの
白いドリンクが藤子から差し出された
「これは?」
「ホットミルクよ
それとこれを飲む前に
もしよかった私の持っている喉スプレー試してみる?
行きつけの漢方屋さんで調合してもらってるんだけど
喉の腫れに即効性があるの
とっても良く効くのよ
ハイ、あ~~~ん 」
「あ~~~~ん」
素直に彼女の言う通り
文也はパカッと大きな口を開けた
シュッと藤子が文也の喉に向かって
スプレーを拭きつけた所がちょうど奥の
唾を飲み込んだ時に激しく痛む箇所に
クリーンヒットした
ウッ!
「ガホッ!ゴホッ!ゴホッ!ゲホッゴホ
ゴホゴホゴホゴホッッッゴホホホホホホホホ
ゴホホホホホホホホッゴホホホホホホホホ」
ポンポン・・・・
「あ~~~そうよね~~
染みるよね~~
痛いね~~~
よ~しよし・・・・我慢、我慢~・・」
激しく咳込む文也の顔を胸に抱き寄せ
文也の背中をポンポン優しく叩く
喉に火が着いたように痛み息が出来ない
まるで炎症している所に
消毒液を垂らされたようだ
目に涙をいっぱい溜めながらガホゴホ咳込む文也は
今ありえないことに彼女の胸に顔を
埋めているのを自覚した
途端に喉は死ぬほど痛いが
文也の頭の中に花が咲く
・・ああ・・天国だ・・・
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