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chapter3 シングルマザーの秘密兵器
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・・・・・・・
宗一郎は無言でベビーベッドを黙々と
組み立てていた
二人の間に気まずい空気が流れている
どうしてあんなことを言ってしまったのだろう
今まで一度も・・・・
誰にも・・・・
竜馬でさえ自分の辛い幼少期や
亡き母について話すことはなかった
今でも乳がんで亡くしたたった一人で
自分を育ててくれた母を恋しく思っている事
母の生前にまだ自分にできることが
あったはずだと感じていることは
誰にも知られたくなかった
しかし先日この赤ん坊に会ってから
何だかいつもと同じ自分のペースを
つかめなくなっていた
自分の母親の身に起きたことが
宗一郎の女性に対する見方に影を落としているのは
自分でもわかっている
どう反応していいかわからない
という風の真紀の膝に座っている麗華は
可愛くまた眠っている
ふっくらした頬はかすかに
熱をもって赤くなっている
ベビーベッドが出来上がり
なんと宗一郎はセットで買わされたと言って
ベビー布団も一式そろえて設置し
真紀が眠っている麗華をそっと
寝かせて布団をかけた
立派なベビーベッドに真紀は感激で涙が溢れた
「ありがとうございます!
何てお礼を言えばいいか・・・・ 」
真紀が涙ながらに宗一郎に感謝を示した
真紀の笑顔は美しかった
さわやかで
人の気持ちを晴れやかにする
嘘のない笑顔だ
彼女は自分の不意をつくことがある
一度ほほえむだけ
一瞥をくれるだけ
誇り高く子供をあやすだけで
宗一郎の心を奪ってしまいそうになる
彼女の微笑みは
凍っていた宗一郎の心の壁をすり抜け
心臓のど真ん中に命中した
彼女の傍にいると危険かもしれない
「それじゃ・・・俺はこれで 」
「ま・・・・待ってください 」
真紀は自分の顔を見ようともしないで
あわてて去って行こうとする
宗一郎の右手の手首を咄嗟に掴んだ
どうしても・・・どうしても彼に
聞きたいことがあった
「お母様があなたに
産んだ事を後悔してるって言ったんですか?」
思いがけず彼女に手首を掴まれ
その場に固まった
彼女の手はそれは温かだった
思わずその手を握り返したくなる
宗一郎はどうして自分がこんな事をしているのか
もう一度考えてみた
しかし次の瞬間
また彼が厳しい顔つきになった
先ほどの彼のリラックスした雰囲気は
跡形もなく消えていた
「また顔を出す・・・・・ 」
そう言って
宗一郎は逃げるように資料室から退散した
宗一郎は無言でベビーベッドを黙々と
組み立てていた
二人の間に気まずい空気が流れている
どうしてあんなことを言ってしまったのだろう
今まで一度も・・・・
誰にも・・・・
竜馬でさえ自分の辛い幼少期や
亡き母について話すことはなかった
今でも乳がんで亡くしたたった一人で
自分を育ててくれた母を恋しく思っている事
母の生前にまだ自分にできることが
あったはずだと感じていることは
誰にも知られたくなかった
しかし先日この赤ん坊に会ってから
何だかいつもと同じ自分のペースを
つかめなくなっていた
自分の母親の身に起きたことが
宗一郎の女性に対する見方に影を落としているのは
自分でもわかっている
どう反応していいかわからない
という風の真紀の膝に座っている麗華は
可愛くまた眠っている
ふっくらした頬はかすかに
熱をもって赤くなっている
ベビーベッドが出来上がり
なんと宗一郎はセットで買わされたと言って
ベビー布団も一式そろえて設置し
真紀が眠っている麗華をそっと
寝かせて布団をかけた
立派なベビーベッドに真紀は感激で涙が溢れた
「ありがとうございます!
何てお礼を言えばいいか・・・・ 」
真紀が涙ながらに宗一郎に感謝を示した
真紀の笑顔は美しかった
さわやかで
人の気持ちを晴れやかにする
嘘のない笑顔だ
彼女は自分の不意をつくことがある
一度ほほえむだけ
一瞥をくれるだけ
誇り高く子供をあやすだけで
宗一郎の心を奪ってしまいそうになる
彼女の微笑みは
凍っていた宗一郎の心の壁をすり抜け
心臓のど真ん中に命中した
彼女の傍にいると危険かもしれない
「それじゃ・・・俺はこれで 」
「ま・・・・待ってください 」
真紀は自分の顔を見ようともしないで
あわてて去って行こうとする
宗一郎の右手の手首を咄嗟に掴んだ
どうしても・・・どうしても彼に
聞きたいことがあった
「お母様があなたに
産んだ事を後悔してるって言ったんですか?」
思いがけず彼女に手首を掴まれ
その場に固まった
彼女の手はそれは温かだった
思わずその手を握り返したくなる
宗一郎はどうして自分がこんな事をしているのか
もう一度考えてみた
しかし次の瞬間
また彼が厳しい顔つきになった
先ほどの彼のリラックスした雰囲気は
跡形もなく消えていた
「また顔を出す・・・・・ 」
そう言って
宗一郎は逃げるように資料室から退散した
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