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chapter3 シングルマザーの秘密兵器

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その時真紀が赤ん坊を腰に抱き
もう片方にスマートフォンを耳にあて
話しながら歩いて来た


おそらく彼女が抱えているクライアントだろう
その存在こそあまり知られていないが
彼女はうちの神WEBデザイナーだ



真紀が心配そうにジェニに言う



「すいません・・・・
麗華の保育園の保育士さんが
立て続けにウィルス菌にかかっちゃって・・・・
今週1週間閉園になってしまったんです
それで急遽ベビーシッターを探しているんですけど
見つからなくて・・・・ 」




ジェニは154cmほどの小さな真紀に
抱かれている生後10か月の
赤ん坊を見た途端
甘い痛みにハートを掴まれ 
真紀から赤ん坊をひったくった




猫の耳のついた帽子に
ピンクのつなぎに足までスッポリ包まれた
麗華の甘いベビーパウダーの香りを吸い込んだ



ああ・・・天国だわ




「レイた~~~ん
あいたかったぁ~~~ん(はぁと) 」




麗華の首元にブチュブチュブチュと
音を鳴らしてキスをする
麗華がキャーと声をあげてご機嫌で笑う


そして藤子に渡すと
藤子も同じように赤ちゃん言葉で
ブチュブチュとキスをし
麗華は一通り毎回行われる
この二人のキスの洗礼を笑顔で受ける


しばらく三人で麗華を回し抱っこしながら
話し込む




「そう・・・・
それは真紀ちゃんも大変ね
でもこっちもいろいろと大変なの
在宅でやって欲しかったんだけど・・・」



ジェニが真紀に言うと
真紀が怒って顔をしかめた




「もちろんそのつもりだったんです!!
あの有名ショップサイトがせっかく私の
グラフィックデザインを気に入ってくれて
苦労してやっと大型予算で捕獲したのに
今日から取り組もうと思っていたんですよ!
なのにメビウスはここのWi-Fi電波システムの
中でしか業務ファイルを開けなくしているんですよ!
だからやって来たんです」



「ええ?
それじゃ仕事を家に持って帰れないってこと?」




藤子も麗華を抱っこして上下に揺すりながら
目を見開いて驚いている




「そういえば・・・・
リモートや在宅勤務は効率が下がるから
推奨していないって・・・・
松下竜馬が言ってたわ 」




ジェニが手を口元に持っていって考えた


松下竜馬と名前を口に出した途端
あのキスを思い出してジェニは頬が熱くなって
慌ててごまかすために藤子から麗華をひったくった





「こんなやり方横暴です!
今までは子供がいても働ける環境をジェニさんが
作ってくださっていたから良かったけど」



「・・・・真紀ちゃんお仕事を1週間
お休みするしかなさそうね・・・・  」




藤子の言葉に真紀は青ざめた




「それは絶対だめです!
私が抱えている案件は
他の誰かが変われるものではありません!
通常とは違うんです」




「私がクライアントに事情を説明して
納期を伸ばしてもらえるようにするわ
ここはなんとか良好な関係を保ちたいから・・・」




ジェニが思慮深げに言う




「納期を伸ばす時点であそことは縁が切れます」


「そのとおりよ」




ジェニは真紀をじっと見つめた
自分の仕事に対して情熱を持っている人は
自分と同じように情熱的なクライアントと結びついてるものだ



ジェニが真紀を気に入っている所がここだ
今の一度も彼女が子供を理由に仕事を
おろそかにしたことはない
だからこそジェニは真紀を応援して
信頼していた




3人は見つめ合った
麗華がジェニの肩にあごを置いてクピクピ言ってる







「大丈夫!私に任せて!」






藤子が名案があるようにウィンクして
二人に人差し指を掲げて言う



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