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chapter2 メビウスと猟奇的なキス

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社長室に入ると藤子が言っていた
メビウスのセクシートリオに睨まれて
ジェニは蛇に睨まれたカエルの様に
冷汗をかいていた


社長室を見渡してみると
個人的なものが全くない事に気が付いた


本や雑誌も無ければ
家族の写真も無い
友人と一緒の写真さえも

これほど温かみの無い環境は耐えられないと
ジェニは思った




てっきり社員のだらしない態度を指摘し
社員教育がまるでなっていないと徹底的に
批判されるだろうと思っていたので
ジェニは身構えた



最初に口火を切ったのは竜馬だった





「会社は遊び場ではないんだ
社内でペットの飼育は禁止だ 」




「それはわかるわ・・・・
でも熱帯魚とハムスターは鳴かないし
毛も飛び散らないわ
それにみんなの癒しになっているの 」




わざと明るく言ったつもりだったが
竜馬と総一郎はニコリともしない
ただ一人文也だけはこの状況を面白そうに見ている



「長年君の会社はお遊びでやってきたかもしれないが
これからわが社の規則に従ってもらう
それが出来ないなら辞めてもらうしかない 」




ジェニが言い返した




「たしかにあなた達には私達が適当に仕事を
やっているかのように見えるかもしれないでしょうね・・・
でも私たちはリラックスした雰囲気の方が
良い仕事が出来るの
良いコピーも良いインスピレーションも
クリエイティブな発想は
そういう所から生まれるのよ 」


「だから熱帯魚とハムスターを飼って
オフィスを観葉植物だらけにするのか?
絶対だめだ! 」




話しにならないと言った感じで
竜馬が鼻を鳴らした




「ニモとドリーとハム太郎は
ペットじゃないわ、仕事環境の一部なの!
アイディアに行き詰ったら
彼らが癒してくれるし
見てるだけでヤル気が出てくるの!
それって大切な事だと私たちは認識してるの
そういう日常の囁かな幸せが広告の
インスピ―レーションを受けるのよ?」




ジェニは必死で竜馬に食い下がった  



「そんなのはビジネスではない!
素人集団がやることだ!」



竜馬がキッパリ吐き捨てた



「そんなにクリエイティブな発想が
生まれる会社なら
ここまで傾かないと思いますが
そこはどうですか?神崎さん」





宗一郎がパソコンのデータを見ながら口を開いた
黙って座っているだけなのに
氷のような冷ややかな空気を醸し出している
ジェニはずっと構えていた戦闘態勢に入った



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