【R18】堅物敏腕ボスと初恋の君の運命的な再会～父の会社を買収した憎いアイツは幼い頃に一緒に暮らした大好きなお兄ちゃんだった～

chapter１ 堅物ボスは何者？

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一斉に会議室の外でも人がざわつく音がした
犯人は誰か想像がついた




「あの―
うちはずっとここで―」



ジェニが小さな声で言おうとしたら竜馬に遮られた




「このオフィスビルは来月解体工事に入ります
ビル自体が老朽化して危険を伴っています
君は直ちに社員を統括し速やかに
引っ越し作業を終えて業務に励むようにしなさい」




ゴホンと軽く咳払いをして佐竹が立ち上がった




「それでは・・・私が会社の経営状況に
ついてゆっくり説明させていただきましょう」



「いいえ、それには及びません
神崎ジェニさんにその役目が務まると思いますので」




え？私？



驚いて口が聞けないジェニ
すると竜馬の左隣に座っていた男性が口を開いた





「あなたのプレゼンテーションを拝見させていただきます
そしてあなたの部署を引き継ぐわが社のチーム長にも
あなたのプレゼンテーションをPDFで送ってもらいます
バランスシートを見る限り
トータルではまったく業績が上がっていないのに
奇跡的な伸び率を叩き出している部署があります
その説明もしてもらえそうだ　」





そう言った灰色の細身のスーツの男性が
銀縁眼鏡を少し上げ鋭い瞳をジェニに向けた




「申し遅れました
財務部長の浜田と申します　」






その男性に射すくめられジェニはどういうわけか
うなじがぞくぞくした

シルバーの細身のスーツ
栗色の髪、角張った顎、銀縁の細い眼鏡のせいで
その表情はどうにも無情に見え
どんな金銭の矛盾も見逃さないという顔つきをしている



ジェニはこの人に会社の財務事情を明らかに
するのは少し怖いと思った