6 / 61
第1部
【6】家をつくろう!
しおりを挟む
さて、それではスローライフの第一歩として、家をつくろうと思う。
衣食住。どれも大事だが、火急を要するのは住まいだ。衣類に関しては問題は無いし、食事もまだストックがある。尽きたら魔物を狩りに行けばいい。魔素の森に入ってから、食用出来そうな魔物は何体も見た。
「というわけで、まずは家をつくろうと思うんだけど、本当に二人で住むのか?」
「あったりまえじゃない」
「あったりまえなんだ……」
「でも、家をつくるって、ここには私たちしかいないのよ? 大工を連れてくることも出来ないし」
ユズリアの疑問は当然だ。もちろん、貴族の彼女に建築の知識があるとは思えない。
「俺が建てるから、安心してよ。ユズリアには木材を調達してきてもらおうかな。木ならそこら中に余るほどあるし」
ユズリアは眉にしわを寄せて黙りこけている。いや、呆れているのだろうか。
「木が切り倒せないなら、俺がやるけど……」
「馬鹿にしないで。それくらい『身体強化魔法』があれば出来るに決まってるわよ! そうじゃなくて、」
「むっ、他に何か?」
「家って、道具がないと建てられないのよ? 一般教養受けてないにしても、常識だと思うのだけれど」
なるほど、彼女はそっちの心配をしていたのか。それにしても、貴族のお嬢様に常識を諭されるとは、恐れいった。確かに、一般教養は受けてないから、そこに関しては反論の余地はない。
代わりに妹には学校通わせてるからね。美しき兄妹愛ってやつですよ。
「その心配ならご無用。とりあえず、設計図考えているから、材料の木を持ってきてもらえるかな」
「……まっ、私にアイデアがあるわけじゃないしね。伴侶の世迷言も妻が付き合ってあげるとしましょう」
「まだ言ってる……」
ユズリアは意地悪く舌を出して森の奥に消えていった。おい、可愛いな、やめてくれよ。
「あんまり遠く行くなよー! 危なくなったら、大声で呼べー!」
「私だってS級よ!」
そんな反論が木々の奥から返って来る。どうにも、彼女が同じS級冒険者だと忘れそうになる。昨日だって、一歩間違えれば初撃で喉元を突き破られていたというのに。
思いだして、背筋が冷える。なるべく、怒らせないようにしよう。それがいい。妹だって、ぶち切れると手の付けようがなかったからな。その点、ユーニャは大人しくて可愛いもんだった。
少し距離が離れたところで、雷鳴が天を貫いた。次いで、木々が倒れる振動が地面から伝わる。
こうしちゃいられない。さっさと大まかに設計図をつくってしまおう。パンプフォール国での住まいは五年ほど前から、土地だけ買って自分で建てた家だ。その時、大工のドワーフに教えてもらったノウハウはまだ覚えている。あの後、数年はドワーフたちの勧誘がすごかった。それも、今となっては懐かしい思い出だ。
その後、何度か同じように雷が瞬き、ユズリアが戻って来た。
「とりあえず、これくらいでいい?」
そう言いながら、樹齢数百年であろう巨木を、四本まとめて軽々引きずってくる細い女の子。うん、やっぱり彼女を怒らせては駄目だ。
「あ、ありがとう……。多分、足りると思う」
「でも、この木は魔素を十分に吸っちゃってるから、使えないんじゃない?」
確かにユズリアが持ってきた木々は幹も葉も黒々と染まっている。魔素を含んだ木材は耐久力が弱く、一般的には使うことが出来ない。
「とりあえず、泉の中にぶち込んでみようか。それで駄目なら、他の方法を考えよう」
「それもそうね」
彼女はひょいっと一本の巨木を持ち上げ、泉に突き刺す。深さが人の腰辺りまでしかないから、巨木の根本が浸かるだけだ。しかし、次の瞬間、泉に浸かった部分がすっと鮮やかな黄櫨色に染まり、ぐんぐんと上に昇っていく。ほんの数秒で幹が浄化され、葉も緑のみずみずしさを取り戻した。
「す、すごいな……」
「これ、ただの魔力溜まりじゃないわよね……」
泉の正体は謎に包まれたままだが、すさまじい浄化能力を持っていることが分かった。
続いて、ユズリアに浄化した巨木を木材に成形してもらう。細い剣一本で木を加工する様をドワーフたちが見たら、怒り狂って襲い掛かってきそうだが、今だけは目をつむってもらうとしよう。そもそも、木が割れてしまう前に綺麗に断ち切る『雷撃魔法』を使いこなす彼女にしか出来ない芸当だ。
ユズリアが居なかったら、この時点で詰んでいた。
「ありがとうな」
感謝の言葉を告げると、ユズリアは首を傾げた。
自覚が無いのかもしれないけれど、人間とは思えないことを次々こなしているんだ。もっとその豊かな胸で威張ってくれていいのに。
「それで、結局ここからどうするのよ」
目の前に山盛りになった様々な寸法の木材を見て、ユズリアが疑問を投げかける。
「まあ、見てなって」
俺は似合いもせず腕をまくる。そして、柱となる大きな木材を掴み、グッと力を入れた。そう、思い切り、踏ん張って、使えもしない『身体強化魔法』の術式を胸の中で唱えて、せーのッ!
しばしの沈黙。遠くから、鳥型魔物の甲高い鳴き声が聞こえてきた。
うん、無理!
ほとほと呆れ顔のユズリアに木材を持ってもらう。
なんか、本当にすんません。
尊厳の欠片も無い状態に涙を流しながら、木材と木材のつなぎ目に『固定』をかける。これで、俺が『固定』を解除しない限り、どんな衝撃を受けようが、地震に襲われようが、業火に包まれようが、木材が離れることはない。
「へえー、これなら確かに家を建てられそう。本当、とんでもない魔法ね」
ユズリアが感嘆の声を挙げるが、俺は無い胸すら張る気にならなかった。
「僕、くっつけることしか出来ないんで……へへっ……」
「主語変わってるじゃない……」
そんなこんなで、ユズリアに木材を持ってもらい、俺が『固定』をかけて、組み立ててを繰り返す。
ユズリアに間取りの希望を聞きながら、都度設計を変えていき、数日かけてようやく念願の家が完成した。
天井の高い一階建てのウッドハウスだ。玄関を開けてすぐに広い居間。その横に調理場を設け、反対には大きめの風呂場。居間の奥に寝室を二部屋。各所に光の魔石を取り付け、寝室のベッドには魔素の森産Aランク相当鳥型魔物の高級羽毛を敷き詰めてつくった枕と敷布団。調理場と風呂場には火の魔石と水の魔石を取り付け、持ってきた鍋やフライパン。
文句のつけようがない完璧な一軒家(最高の庭付き)だ。寝室が二つあることに首を傾げてはいたが、ベッドは大きくしたいなど、ユズリアの希望にも沿った満足のいく出来。まさにスローライフに相応しい。
「で、できたー!」
「ああ、今日からここが俺たちの住まいだ!」
二人でまだ閑散とした居間に、身を投げ出して大の字になる。天井を高くしたおかげで随分と開放的な気分だ。深呼吸をすると、魔素の森に生えてたとは思えない芳醇な木の香りが肺を満たす。
横目でユズリアを見ると、彼女も満足げに目を細めていた。
「でも、まだ色々と揃えなきゃいけないものもあるわね」
「そうだな。テーブルと椅子はつくったけど、それにしても殺風景だもんな」
「今度、実家から調度品を持ってこようかしら」
「貴族御用達の生活用具って、スローライフにはもったいない気がするんだけど……」
自然と完璧に調和したこの空間に、煌びやかな装飾はあまり似つかわしくないな。
「それもそうね。じゃあ、今度街まで行って、買いそろえましょう」
「街って言ったって、ここから一番近いロトゥーラの街でも一週間はかかるぞ?」
「あら、私にかかれば二日で往復できるわよ」
確かにユズリアの魔法を持ってすれば、それくらいの早さで行き来出来てもおかしくはない。うらやましいくらい便利な魔法だ。
「じゃあ、お使いでも頼みますか」
「貴族を使いっ走りに使うなんて、顔に似合わず随分と豪胆なのね」
「勘弁してくれ……」
ユズリアは可笑しそうに笑う。つられて俺も笑みが零れていた。
衣食住。どれも大事だが、火急を要するのは住まいだ。衣類に関しては問題は無いし、食事もまだストックがある。尽きたら魔物を狩りに行けばいい。魔素の森に入ってから、食用出来そうな魔物は何体も見た。
「というわけで、まずは家をつくろうと思うんだけど、本当に二人で住むのか?」
「あったりまえじゃない」
「あったりまえなんだ……」
「でも、家をつくるって、ここには私たちしかいないのよ? 大工を連れてくることも出来ないし」
ユズリアの疑問は当然だ。もちろん、貴族の彼女に建築の知識があるとは思えない。
「俺が建てるから、安心してよ。ユズリアには木材を調達してきてもらおうかな。木ならそこら中に余るほどあるし」
ユズリアは眉にしわを寄せて黙りこけている。いや、呆れているのだろうか。
「木が切り倒せないなら、俺がやるけど……」
「馬鹿にしないで。それくらい『身体強化魔法』があれば出来るに決まってるわよ! そうじゃなくて、」
「むっ、他に何か?」
「家って、道具がないと建てられないのよ? 一般教養受けてないにしても、常識だと思うのだけれど」
なるほど、彼女はそっちの心配をしていたのか。それにしても、貴族のお嬢様に常識を諭されるとは、恐れいった。確かに、一般教養は受けてないから、そこに関しては反論の余地はない。
代わりに妹には学校通わせてるからね。美しき兄妹愛ってやつですよ。
「その心配ならご無用。とりあえず、設計図考えているから、材料の木を持ってきてもらえるかな」
「……まっ、私にアイデアがあるわけじゃないしね。伴侶の世迷言も妻が付き合ってあげるとしましょう」
「まだ言ってる……」
ユズリアは意地悪く舌を出して森の奥に消えていった。おい、可愛いな、やめてくれよ。
「あんまり遠く行くなよー! 危なくなったら、大声で呼べー!」
「私だってS級よ!」
そんな反論が木々の奥から返って来る。どうにも、彼女が同じS級冒険者だと忘れそうになる。昨日だって、一歩間違えれば初撃で喉元を突き破られていたというのに。
思いだして、背筋が冷える。なるべく、怒らせないようにしよう。それがいい。妹だって、ぶち切れると手の付けようがなかったからな。その点、ユーニャは大人しくて可愛いもんだった。
少し距離が離れたところで、雷鳴が天を貫いた。次いで、木々が倒れる振動が地面から伝わる。
こうしちゃいられない。さっさと大まかに設計図をつくってしまおう。パンプフォール国での住まいは五年ほど前から、土地だけ買って自分で建てた家だ。その時、大工のドワーフに教えてもらったノウハウはまだ覚えている。あの後、数年はドワーフたちの勧誘がすごかった。それも、今となっては懐かしい思い出だ。
その後、何度か同じように雷が瞬き、ユズリアが戻って来た。
「とりあえず、これくらいでいい?」
そう言いながら、樹齢数百年であろう巨木を、四本まとめて軽々引きずってくる細い女の子。うん、やっぱり彼女を怒らせては駄目だ。
「あ、ありがとう……。多分、足りると思う」
「でも、この木は魔素を十分に吸っちゃってるから、使えないんじゃない?」
確かにユズリアが持ってきた木々は幹も葉も黒々と染まっている。魔素を含んだ木材は耐久力が弱く、一般的には使うことが出来ない。
「とりあえず、泉の中にぶち込んでみようか。それで駄目なら、他の方法を考えよう」
「それもそうね」
彼女はひょいっと一本の巨木を持ち上げ、泉に突き刺す。深さが人の腰辺りまでしかないから、巨木の根本が浸かるだけだ。しかし、次の瞬間、泉に浸かった部分がすっと鮮やかな黄櫨色に染まり、ぐんぐんと上に昇っていく。ほんの数秒で幹が浄化され、葉も緑のみずみずしさを取り戻した。
「す、すごいな……」
「これ、ただの魔力溜まりじゃないわよね……」
泉の正体は謎に包まれたままだが、すさまじい浄化能力を持っていることが分かった。
続いて、ユズリアに浄化した巨木を木材に成形してもらう。細い剣一本で木を加工する様をドワーフたちが見たら、怒り狂って襲い掛かってきそうだが、今だけは目をつむってもらうとしよう。そもそも、木が割れてしまう前に綺麗に断ち切る『雷撃魔法』を使いこなす彼女にしか出来ない芸当だ。
ユズリアが居なかったら、この時点で詰んでいた。
「ありがとうな」
感謝の言葉を告げると、ユズリアは首を傾げた。
自覚が無いのかもしれないけれど、人間とは思えないことを次々こなしているんだ。もっとその豊かな胸で威張ってくれていいのに。
「それで、結局ここからどうするのよ」
目の前に山盛りになった様々な寸法の木材を見て、ユズリアが疑問を投げかける。
「まあ、見てなって」
俺は似合いもせず腕をまくる。そして、柱となる大きな木材を掴み、グッと力を入れた。そう、思い切り、踏ん張って、使えもしない『身体強化魔法』の術式を胸の中で唱えて、せーのッ!
しばしの沈黙。遠くから、鳥型魔物の甲高い鳴き声が聞こえてきた。
うん、無理!
ほとほと呆れ顔のユズリアに木材を持ってもらう。
なんか、本当にすんません。
尊厳の欠片も無い状態に涙を流しながら、木材と木材のつなぎ目に『固定』をかける。これで、俺が『固定』を解除しない限り、どんな衝撃を受けようが、地震に襲われようが、業火に包まれようが、木材が離れることはない。
「へえー、これなら確かに家を建てられそう。本当、とんでもない魔法ね」
ユズリアが感嘆の声を挙げるが、俺は無い胸すら張る気にならなかった。
「僕、くっつけることしか出来ないんで……へへっ……」
「主語変わってるじゃない……」
そんなこんなで、ユズリアに木材を持ってもらい、俺が『固定』をかけて、組み立ててを繰り返す。
ユズリアに間取りの希望を聞きながら、都度設計を変えていき、数日かけてようやく念願の家が完成した。
天井の高い一階建てのウッドハウスだ。玄関を開けてすぐに広い居間。その横に調理場を設け、反対には大きめの風呂場。居間の奥に寝室を二部屋。各所に光の魔石を取り付け、寝室のベッドには魔素の森産Aランク相当鳥型魔物の高級羽毛を敷き詰めてつくった枕と敷布団。調理場と風呂場には火の魔石と水の魔石を取り付け、持ってきた鍋やフライパン。
文句のつけようがない完璧な一軒家(最高の庭付き)だ。寝室が二つあることに首を傾げてはいたが、ベッドは大きくしたいなど、ユズリアの希望にも沿った満足のいく出来。まさにスローライフに相応しい。
「で、できたー!」
「ああ、今日からここが俺たちの住まいだ!」
二人でまだ閑散とした居間に、身を投げ出して大の字になる。天井を高くしたおかげで随分と開放的な気分だ。深呼吸をすると、魔素の森に生えてたとは思えない芳醇な木の香りが肺を満たす。
横目でユズリアを見ると、彼女も満足げに目を細めていた。
「でも、まだ色々と揃えなきゃいけないものもあるわね」
「そうだな。テーブルと椅子はつくったけど、それにしても殺風景だもんな」
「今度、実家から調度品を持ってこようかしら」
「貴族御用達の生活用具って、スローライフにはもったいない気がするんだけど……」
自然と完璧に調和したこの空間に、煌びやかな装飾はあまり似つかわしくないな。
「それもそうね。じゃあ、今度街まで行って、買いそろえましょう」
「街って言ったって、ここから一番近いロトゥーラの街でも一週間はかかるぞ?」
「あら、私にかかれば二日で往復できるわよ」
確かにユズリアの魔法を持ってすれば、それくらいの早さで行き来出来てもおかしくはない。うらやましいくらい便利な魔法だ。
「じゃあ、お使いでも頼みますか」
「貴族を使いっ走りに使うなんて、顔に似合わず随分と豪胆なのね」
「勘弁してくれ……」
ユズリアは可笑しそうに笑う。つられて俺も笑みが零れていた。
686
お気に入りに追加
1,541
あなたにおすすめの小説
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
妹に出ていけと言われたので守護霊を全員引き連れて出ていきます
兎屋亀吉
恋愛
ヨナーク伯爵家の令嬢アリシアは幼い頃に顔に大怪我を負ってから、霊を視認し使役する能力を身に着けていた。顔の傷によって政略結婚の駒としては使えなくなってしまったアリシアは当然のように冷遇されたが、アリシアを守る守護霊の力によって生活はどんどん豊かになっていった。しかしそんなある日、アリシアの父アビゲイルが亡くなる。次に伯爵家当主となったのはアリシアの妹ミーシャのところに婿入りしていたケインという男。ミーシャとケインはアリシアのことを邪魔に思っており、アリシアは着の身着のままの状態で伯爵家から放り出されてしまう。そこからヨナーク伯爵家の没落が始まった。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
【完結】初夜の晩からすれ違う夫婦は、ある雨の晩に心を交わす
春風由実
恋愛
公爵令嬢のリーナは、半年前に侯爵であるアーネストの元に嫁いできた。
所謂、政略結婚で、結婚式の後の義務的な初夜を終えてからは、二人は同じ邸内にありながらも顔も合わせない日々を過ごしていたのだが──
ある雨の晩に、それが一変する。
※六話で完結します。一万字に足りない短いお話。ざまぁとかありません。ただただ愛し合う夫婦の話となります。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる