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前日譚:青百合の王と灰の魔術師
7.奪い尽くしてあげる
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言うが早いか、ハーディは軽々とティーナを抱き上げた。下ろされた先は勿論、寝台の上だ。
背中のワンピースの留め金に手が伸びる。林檎の皮を剥いた時と同じ、丁寧な手つき。
これはこれで悪くない。
けれど、ティーナはもう二度もおあずけを食らっているのだ。
ハーディが長く生きているというのは本当なのだろう。見た目のままの歳の男なら、こんなにもゆったりとティーナを脱がせたりしない。もっと、しゃぶりつくようにしてくるのに。
「ねえ、ハーディ。魔法で服を脱がせることはできないの?」
着せることができるなら、脱がせることも容易いだろう。
「できなくはないですけど」
「早く脱がせて、お願い」
上目遣いに願えば、彼はこの前を同じように左手の指をパチンと鳴らした。すると、ティーナの体を覆っていた衣服はするすると消えた。
ふるりと零れるように乳房が露わになる。寒いと感じるほどではないけれど、いきなり素肌に空気が触れてひやりとする。
一瞬、ハーディの喉が上下した。
情欲をむき出しにしたりはしない。うまく隠す術を彼は知っている。
けれど、何も感じていないわけではないと、見ていれば分かった。それならば付け入る隙はある。
大きな胸がハーディの手の中で形を変える。顔もいいが、手もいい。その筋張った手が自分に触れるだけでもう蕩けていくような気さえする。
「ん……ぁあっ」
左手で、赤い頂をきゅっと摘まみながら、ハーディはもう片方に口をつける。ちゅっと音を立てて吸われたら、奥が疼いてぎゅんとなった。口づけでもうすでに濡れていたのだ。もう、いつ挿れてくれたっていいのに。
ぬるりと、長い指が溝をなぞる。
「濡れてますね」
そして、この声もいい。低いその声が耳朶に触れる度だけで喘ぎ声が漏れてしまう。
ハーディの指がティーナの裡に侵入してくる。かき混ぜるように指が動いて腰が跳ねるのを、我慢するつもりなんてなかった。
「いい、わ……もっと、んあ、ああっ」
いつの間にか、指は二本に増えて、じゅくじゅくとした重たい水音を立てた。
ティーナの体温は上がって、息さえ上手くできなくなっているのに。青い瞳は変わらず氷のようだった。ハーディは黙々と的確に裡を突いてくる。
「はあ……んっ…ああ……いい、もっと、もっとよ」
弓なりに背が反っていく。強い刺激が欲しくて、自分で硬くしこった頂を摘まんだ。胸から伝わった刺激が奥にたまっていく。もうすぐ、もうすぐだ。
決定的なものが欲しくて、自分からハーディの手に腰を押し当てるようにしていた。届かないもどかしさで指を締め付けてしまう。
「いいですよ、達って」
冷徹な声が告げて、ぐっと、花芯が潰される。待ちわびた大きな波が、くる。
「あああっ」
白い喉を見せつけるようにして、ティーナは絶頂した。奥がひくひくとする。力の抜けた体が寝台に沈み込み、金色の髪が扇のように広がった。
ティーナは肩で息をしているのに、目の前の男は変わらず涼しげな表情を浮かべている。シャツのボタンも、きっちりと一番上まで留まったままだ。
「ねえ、貴方も見せて」
シャツ越しに胸板に触れる。すらりとした見た目だが、貧相な印象は受けない。ティーナの左手の下で脈打つ心臓は規則的な鼓動を刻んでいる。早く素肌に彼を感じたい。
「おれを脱がせてどうするんですか」
「もっと楽しいことをしましょう、ハーディ」
ティーナが桜色に塗った爪で二番目のボタンを弾いたら、ハーディは少し呆れた顔をして、一番上から律儀にボタンを開け始めた。そして乱雑にシャツを脱ぎ、寝台の下に放った。
露わになった胸に頬を当てて、薄く割れた腹筋をなぞる。引き締まった体だ。想像より、いい。
ぎゅっと抱きしめたら、纏わりつく高い体温が心地いい。
腰に硬いものが当たって、途端にティーナは笑い出しそうな気持ちになった。どんなきれいな顔をしていたって、澄ましたふりをしたって、男は男だ。
分厚い氷の下に、隠した炎が燃えている。貴方だってほら、獣を飼っている。
暴いて、晒して。
そうして同じところまで落ちてきたらいい。
そそり立つ物をトラウザーズの上から握ったら、一瞬だけ小さく呻く声がした。もっと大きな声を上げてくれるかと思ったのに。ティーナは当てが外れて顔をむくれさせた。
「そんなにいいんですか、これが」
ハーディは、ティーナの両手を頭の上でまとめるようにして掴む。咎めるような青い瞳が、見下ろしてくる。
「ずっと欲しいと言っているじゃない」
迎え入れるように、大きく脚を開いたらぬちゃりとした重い音がした。滴るほどの愛液がシーツに染みていく。欲しいものを欲しがって何が悪いの。
何かを断ち切るように目を閉じてから、ハーディは言った。
「選んだのは、あなただ」
もう一度その瞳が開いた時、望んだ獰猛さと少しだけ不可解な色が宿っていた。
両手が解放されて、ハーディが苛立つように性急にトラウザーズを脱ぐ。ティーナと同じように、生まれたままの姿になって覆いかぶさってくる。
ティーナは自ら屹立をあてがって、そのまま奥へと導いた。
「んあああっ」
待ちわびたそれを挿れられただけで、軽く果てた。痛みなんて微塵もなかった。ただただ、空虚が埋まっていく心地良さだけがあって、欲深く襞が絡みついていく。
彼も快かったのだろう。堪えるようにハーディがぐっと奥歯を噛んだ。
全部奪い尽くしてあげる。
背中のワンピースの留め金に手が伸びる。林檎の皮を剥いた時と同じ、丁寧な手つき。
これはこれで悪くない。
けれど、ティーナはもう二度もおあずけを食らっているのだ。
ハーディが長く生きているというのは本当なのだろう。見た目のままの歳の男なら、こんなにもゆったりとティーナを脱がせたりしない。もっと、しゃぶりつくようにしてくるのに。
「ねえ、ハーディ。魔法で服を脱がせることはできないの?」
着せることができるなら、脱がせることも容易いだろう。
「できなくはないですけど」
「早く脱がせて、お願い」
上目遣いに願えば、彼はこの前を同じように左手の指をパチンと鳴らした。すると、ティーナの体を覆っていた衣服はするすると消えた。
ふるりと零れるように乳房が露わになる。寒いと感じるほどではないけれど、いきなり素肌に空気が触れてひやりとする。
一瞬、ハーディの喉が上下した。
情欲をむき出しにしたりはしない。うまく隠す術を彼は知っている。
けれど、何も感じていないわけではないと、見ていれば分かった。それならば付け入る隙はある。
大きな胸がハーディの手の中で形を変える。顔もいいが、手もいい。その筋張った手が自分に触れるだけでもう蕩けていくような気さえする。
「ん……ぁあっ」
左手で、赤い頂をきゅっと摘まみながら、ハーディはもう片方に口をつける。ちゅっと音を立てて吸われたら、奥が疼いてぎゅんとなった。口づけでもうすでに濡れていたのだ。もう、いつ挿れてくれたっていいのに。
ぬるりと、長い指が溝をなぞる。
「濡れてますね」
そして、この声もいい。低いその声が耳朶に触れる度だけで喘ぎ声が漏れてしまう。
ハーディの指がティーナの裡に侵入してくる。かき混ぜるように指が動いて腰が跳ねるのを、我慢するつもりなんてなかった。
「いい、わ……もっと、んあ、ああっ」
いつの間にか、指は二本に増えて、じゅくじゅくとした重たい水音を立てた。
ティーナの体温は上がって、息さえ上手くできなくなっているのに。青い瞳は変わらず氷のようだった。ハーディは黙々と的確に裡を突いてくる。
「はあ……んっ…ああ……いい、もっと、もっとよ」
弓なりに背が反っていく。強い刺激が欲しくて、自分で硬くしこった頂を摘まんだ。胸から伝わった刺激が奥にたまっていく。もうすぐ、もうすぐだ。
決定的なものが欲しくて、自分からハーディの手に腰を押し当てるようにしていた。届かないもどかしさで指を締め付けてしまう。
「いいですよ、達って」
冷徹な声が告げて、ぐっと、花芯が潰される。待ちわびた大きな波が、くる。
「あああっ」
白い喉を見せつけるようにして、ティーナは絶頂した。奥がひくひくとする。力の抜けた体が寝台に沈み込み、金色の髪が扇のように広がった。
ティーナは肩で息をしているのに、目の前の男は変わらず涼しげな表情を浮かべている。シャツのボタンも、きっちりと一番上まで留まったままだ。
「ねえ、貴方も見せて」
シャツ越しに胸板に触れる。すらりとした見た目だが、貧相な印象は受けない。ティーナの左手の下で脈打つ心臓は規則的な鼓動を刻んでいる。早く素肌に彼を感じたい。
「おれを脱がせてどうするんですか」
「もっと楽しいことをしましょう、ハーディ」
ティーナが桜色に塗った爪で二番目のボタンを弾いたら、ハーディは少し呆れた顔をして、一番上から律儀にボタンを開け始めた。そして乱雑にシャツを脱ぎ、寝台の下に放った。
露わになった胸に頬を当てて、薄く割れた腹筋をなぞる。引き締まった体だ。想像より、いい。
ぎゅっと抱きしめたら、纏わりつく高い体温が心地いい。
腰に硬いものが当たって、途端にティーナは笑い出しそうな気持ちになった。どんなきれいな顔をしていたって、澄ましたふりをしたって、男は男だ。
分厚い氷の下に、隠した炎が燃えている。貴方だってほら、獣を飼っている。
暴いて、晒して。
そうして同じところまで落ちてきたらいい。
そそり立つ物をトラウザーズの上から握ったら、一瞬だけ小さく呻く声がした。もっと大きな声を上げてくれるかと思ったのに。ティーナは当てが外れて顔をむくれさせた。
「そんなにいいんですか、これが」
ハーディは、ティーナの両手を頭の上でまとめるようにして掴む。咎めるような青い瞳が、見下ろしてくる。
「ずっと欲しいと言っているじゃない」
迎え入れるように、大きく脚を開いたらぬちゃりとした重い音がした。滴るほどの愛液がシーツに染みていく。欲しいものを欲しがって何が悪いの。
何かを断ち切るように目を閉じてから、ハーディは言った。
「選んだのは、あなただ」
もう一度その瞳が開いた時、望んだ獰猛さと少しだけ不可解な色が宿っていた。
両手が解放されて、ハーディが苛立つように性急にトラウザーズを脱ぐ。ティーナと同じように、生まれたままの姿になって覆いかぶさってくる。
ティーナは自ら屹立をあてがって、そのまま奥へと導いた。
「んあああっ」
待ちわびたそれを挿れられただけで、軽く果てた。痛みなんて微塵もなかった。ただただ、空虚が埋まっていく心地良さだけがあって、欲深く襞が絡みついていく。
彼も快かったのだろう。堪えるようにハーディがぐっと奥歯を噛んだ。
全部奪い尽くしてあげる。
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