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オマケ
2.侍女は見ている~コルネリアの日記~ 後編
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□月◇日
姫様がとても恥ずかしそうに私にお礼を言ってくださった。少し俯いて指先で髪をいじりながら、「いつもありがとう」とおっしゃる様は後世にまで語り継ぎたい可憐さだ。
確かに姫様の髪は少し癖毛で扱いが難しい。けれど、とてもきれいな色の黒髪だ。湿気の多い日は広がりやすいので、選りすぐった石鹸を使っている。王都にある店から取り寄せている物だが、丁寧に植物の種から抽出した油分と花の香料で作られている。洗うだけでするりとした指通りになるのと他のものと比べて格段にまとまりがよくなるのが特徴だ。香りが強すぎないのもとてもいい。職人が手作りしており作れる数が限られているため、年間契約で購入している。
いい侍女たるもの、主人の体質に合ったものを常に仕入れる必要がある。今後もあの石鹸を確保しようと強く心に決めた。
□月△日
昨日の昼頃から何やら姫様が料理長とこそこそやり取りをされていた。甘くて香ばしい香りが漂ってきていたので、内緒でお菓子でも焼いてもらったのだろうか。姫様は料理長のブラウニーがとてもお気に入りで、お茶の時間にはよくご所望になっている。あとでこっそり覗くと、お気に入りの缶にいっぱいのお菓子を詰めてもらっていた。私には内緒にしているようだけれど、勿論知っている。
今日厨房に行くと空になったお菓子の缶が置いてあった。あんなに沢山のお菓子はどこに行ったのだろう。一晩で姫様が食べたとは考えにくい。
□月×日
今朝、姫様の着替えを手伝っていると、姫様の体に刻まれている呪いが消えていることに気が付いた。姫様自身も気づいておられなかった。どういうことだろうか。昨日までは確かに変わらず呪いの紋章があったというのに。何もなかったかのように、きれいさっぱり消えていた。
姫様は呪いが消えたことに関して、心当たりはないようだった。元々呪いが現れる時も突然だったのだから、消えるのも突然なのかもしれない。いきなり呪いが解けたことに驚いておられるようで、姫様は少しぼんやりされているようだった。
□月□日
いつものように姫様の着替えを手伝っていると、小さな違和感があった。いつもと同じお召し物なのに、裾の長さが少し短い。姫様の身長が伸びたようだ。同じように、下着のサイズも少し窮屈になっていた。この短期間に?と思わないこともないが、もしかしたら何かしら呪いが解けたことと関係があるのかもしれない。手早く採寸を済ませて新しいものを注文した。
姫様はやはり元気がないようで、遠くを見られては物思いにふけっておられることが多い。
先日飾った花瓶の花を片付けるように仰った。あんなに大切にされていたのに、姫様は花のことなどもう気にかけていないようだった。花瓶の花はもう大分萎れてしまっていた。結局あの花を摘んできたのは一体誰だったのだろうか。
□月▽日
最近姫様の食がめっきり細くなってしまった。夜もあまり眠れていないようで、顔色もよくない。料理長と相談して姫様のお好きなお菓子を沢山作ってもらった。けれど、私がお菓子と一緒に飲んで頂くお茶を淹れている間に、姫様は静かに涙を流しておられた。あんなに大好きだったブラウニーもほとんど召し上がらなかった。何かとてもつらいことがあったのかもしれない。姫様は何も言わずに首を振るだけだった。
□月◆日
いつものように朝姫様を起こしに行くと、いつもはまだ眠っておられる姫様の「おはようございますっ」との声がした。私が起こすより先に姫様が起きてらっしゃるのはとても珍しい。何かあったのだろうかと思い部屋に入ると、最近見かけなかった小鳥が寝台の上で眠っていた。特徴的な頭の上の白い毛が変わらずふわふわしていた。窓は閉まっていたのに、小鳥はどこから入ってきたのだろうか。
珍しく今朝は姫様が朝食を召し上がられたことが嬉しかった。小鳥にあげるパンも沢山持って行かれた。今日の姫様はとても嬉しそうで私も嬉しくなった。
□月▲日
姫様が紹介したい人がいるという。限られた使用人しかいないこの離宮に私の知らない人などいるのだろうか。
姫様はとてもきらきらとした目をしていた。全く見当はつかないが、そんな顔で仰るならきっと素敵な人なのだろう。私も早く会ってみたい。
□月□日
姫様の呪いを解いたという魔術師なる人物にお会いした。銀色の髪に青い瞳が印象的な長身の男性だった。兄である三王子の方々もそれぞれに整ったお顔立ちをされているが、そのどなたとも雰囲気が似ていなかった。にしてもどういう方法でお会いになっていたのだろう。ただあんなに沢山お探しになっていた刺繍糸はこの方の為のものだったのだな、と一目見てわかった。はじめてお会いするはずなのに、なぜだかどこかで会ったことがあるような気がするのが不思議だ。
魔法というのを初めて見たが、手から炎を出したりお茶を一瞬で温めたりと、まるで手品のようだった。美味しそうにむしゃむしゃとお菓子を召し上がるので、あの山盛りのお菓子はこの方が食べたのだなと思った。時折、彼はとても丁寧な手つきで姫様の頭を撫でた。姫様は恥ずかしそうな、嬉しそうな顔をされていた。最近の姫様の少し奇妙な行動の数々が全て納得がいった。
姫様は王都に戻ってこちらの方を紹介するつもりのようだ。三王子の皆様がどんな顔をされるか、今から楽しみである。
姫様がとても恥ずかしそうに私にお礼を言ってくださった。少し俯いて指先で髪をいじりながら、「いつもありがとう」とおっしゃる様は後世にまで語り継ぎたい可憐さだ。
確かに姫様の髪は少し癖毛で扱いが難しい。けれど、とてもきれいな色の黒髪だ。湿気の多い日は広がりやすいので、選りすぐった石鹸を使っている。王都にある店から取り寄せている物だが、丁寧に植物の種から抽出した油分と花の香料で作られている。洗うだけでするりとした指通りになるのと他のものと比べて格段にまとまりがよくなるのが特徴だ。香りが強すぎないのもとてもいい。職人が手作りしており作れる数が限られているため、年間契約で購入している。
いい侍女たるもの、主人の体質に合ったものを常に仕入れる必要がある。今後もあの石鹸を確保しようと強く心に決めた。
□月△日
昨日の昼頃から何やら姫様が料理長とこそこそやり取りをされていた。甘くて香ばしい香りが漂ってきていたので、内緒でお菓子でも焼いてもらったのだろうか。姫様は料理長のブラウニーがとてもお気に入りで、お茶の時間にはよくご所望になっている。あとでこっそり覗くと、お気に入りの缶にいっぱいのお菓子を詰めてもらっていた。私には内緒にしているようだけれど、勿論知っている。
今日厨房に行くと空になったお菓子の缶が置いてあった。あんなに沢山のお菓子はどこに行ったのだろう。一晩で姫様が食べたとは考えにくい。
□月×日
今朝、姫様の着替えを手伝っていると、姫様の体に刻まれている呪いが消えていることに気が付いた。姫様自身も気づいておられなかった。どういうことだろうか。昨日までは確かに変わらず呪いの紋章があったというのに。何もなかったかのように、きれいさっぱり消えていた。
姫様は呪いが消えたことに関して、心当たりはないようだった。元々呪いが現れる時も突然だったのだから、消えるのも突然なのかもしれない。いきなり呪いが解けたことに驚いておられるようで、姫様は少しぼんやりされているようだった。
□月□日
いつものように姫様の着替えを手伝っていると、小さな違和感があった。いつもと同じお召し物なのに、裾の長さが少し短い。姫様の身長が伸びたようだ。同じように、下着のサイズも少し窮屈になっていた。この短期間に?と思わないこともないが、もしかしたら何かしら呪いが解けたことと関係があるのかもしれない。手早く採寸を済ませて新しいものを注文した。
姫様はやはり元気がないようで、遠くを見られては物思いにふけっておられることが多い。
先日飾った花瓶の花を片付けるように仰った。あんなに大切にされていたのに、姫様は花のことなどもう気にかけていないようだった。花瓶の花はもう大分萎れてしまっていた。結局あの花を摘んできたのは一体誰だったのだろうか。
□月▽日
最近姫様の食がめっきり細くなってしまった。夜もあまり眠れていないようで、顔色もよくない。料理長と相談して姫様のお好きなお菓子を沢山作ってもらった。けれど、私がお菓子と一緒に飲んで頂くお茶を淹れている間に、姫様は静かに涙を流しておられた。あんなに大好きだったブラウニーもほとんど召し上がらなかった。何かとてもつらいことがあったのかもしれない。姫様は何も言わずに首を振るだけだった。
□月◆日
いつものように朝姫様を起こしに行くと、いつもはまだ眠っておられる姫様の「おはようございますっ」との声がした。私が起こすより先に姫様が起きてらっしゃるのはとても珍しい。何かあったのだろうかと思い部屋に入ると、最近見かけなかった小鳥が寝台の上で眠っていた。特徴的な頭の上の白い毛が変わらずふわふわしていた。窓は閉まっていたのに、小鳥はどこから入ってきたのだろうか。
珍しく今朝は姫様が朝食を召し上がられたことが嬉しかった。小鳥にあげるパンも沢山持って行かれた。今日の姫様はとても嬉しそうで私も嬉しくなった。
□月▲日
姫様が紹介したい人がいるという。限られた使用人しかいないこの離宮に私の知らない人などいるのだろうか。
姫様はとてもきらきらとした目をしていた。全く見当はつかないが、そんな顔で仰るならきっと素敵な人なのだろう。私も早く会ってみたい。
□月□日
姫様の呪いを解いたという魔術師なる人物にお会いした。銀色の髪に青い瞳が印象的な長身の男性だった。兄である三王子の方々もそれぞれに整ったお顔立ちをされているが、そのどなたとも雰囲気が似ていなかった。にしてもどういう方法でお会いになっていたのだろう。ただあんなに沢山お探しになっていた刺繍糸はこの方の為のものだったのだな、と一目見てわかった。はじめてお会いするはずなのに、なぜだかどこかで会ったことがあるような気がするのが不思議だ。
魔法というのを初めて見たが、手から炎を出したりお茶を一瞬で温めたりと、まるで手品のようだった。美味しそうにむしゃむしゃとお菓子を召し上がるので、あの山盛りのお菓子はこの方が食べたのだなと思った。時折、彼はとても丁寧な手つきで姫様の頭を撫でた。姫様は恥ずかしそうな、嬉しそうな顔をされていた。最近の姫様の少し奇妙な行動の数々が全て納得がいった。
姫様は王都に戻ってこちらの方を紹介するつもりのようだ。三王子の皆様がどんな顔をされるか、今から楽しみである。
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