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第一部
31.解呪~最後の呪い~
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「ひゃぁっ」
膝を折りたたまれて、足の指を口に含まれた。浮き上がった腰を大きな手に抑え込まれる。抵抗できないまま、ゆっくりと舐られていく。
「ん……あ……ぁ…」
右足が終わったと思ったら、次は左足に責め苦は続いた。無意識に揺れる腰を宥めるように撫でる手にも快感を拾ってしまう。じわり、と体の奥が潤んでいくのを感じる。これもハーディには全部見えているんだろうか。
「ああっ」
長い指が秘所に触れた刺激で高い声が出た。
「もう濡れてる。随分と淫乱な王女様だな」
重い水音がわたしがどれだけ濡れているかを教えてくれる。ぬちゃぬちゃとした音だけが響く。闇の中でもハーディの指は的確にわたしの感じるところを突いてくる。
「いやああっ……あああっ」
秘裂をなぞる指の速度が速くなる。自分の喉から、あられもない喘ぎばかりが溢れていく。両手を拘束されているから口を塞ぐこともできない。
「あ、ああっ、んあああ」
駆け上がるように快楽が増していって、足がぴんとなって。もう来ると思ったその時。
指が、離れた。
力の抜けた体が寝台に沈む。はあはあと自分の呼吸だけが聞こえる。いなくなってしまったのかと思うぐらい、ハーディは静かだった。
「どうしてほしかったの?」
覆いかぶさってくる気配がした。闇の中からハーディの声が言う。裸の胸をざらざらとシャツが撫でる。
「なにって……」
快楽を求める浅ましさを透かしたような問いに、答えることができなかった。
「そうだよな。言えるわけないか」
低く笑って、手は胸に伸びた。
「っあああああ」
頂きを摘ままれて、びくびくと腰が跳ねた。じゅん、と蜜が滲みだしてくる。
「きっと君は、こうされたら感じるよ」
手のひらの中で潰されるくらいに胸が揉まれていく。痛みも感じるのに、同じぐらいに快楽も感じてしまう。
「おれじゃなくてもね」
「ああっ」
音がするぐらい、ハーディは強くわたしの首筋を強く吸った。
そこから先は残酷だった。
無慈悲な指が、舌が、快感を散々煽る。それなのに来ると思ったら焦らされる。暗闇に自分の喘ぎ声だけが消えていく。わたしから流れ出したものが染み込んでシーツが冷たくなっていく。
抱きしめてほしかった。肌に触れたかった。あのやさしい声が聞きたかった。
そのどれも叶えられることはない。ただただ、嵐のような快楽だけを与えられて、気が付けばわたしは涙を流して髪を振り乱していた。
もう何度達したか分からなくなったところで、衣擦れの音がした。ハーディがトラウザーズをくつろげる音。
「んあっ」
ぴちゅりと、男根が当てがわれる。お腹の奥が、求めてきゅっと収縮するのが分かった。
めりめりと屹立が押し進められる。十二分に濡れてはいたけど、それでも狭くて、まるで体を二つに引き裂かれるよう。痛みと内から焼かれているような熱さに息が出来なくなる。
わたしの中の空洞が、埋まっていく。
「……ああっ……もう……ゃ…っ」
「もう、全部挿入るよ」
頭の横に手が置かれた。寝台が沈み込む。
わたしの顔を、ハーディが覗き込んだのが分かった。
「三つ目の呪いが発動する条件は、君がなかで絶頂すること」
静かな声が降ってくる。
「おれは最初、これを君に対する呪いだと思っていた。君自身が抱かれることができない、そういう呪いだって」
こんなに近くに、わたしのなかにいるのに、今までで一番、ハーディを遠く感じる。
「だけど多分違うんだろうな」
手が、右胸の花に触れる。赤くぼんやりと花が光り始めるけれど、その光は弱くて、ハーディの顔は見えない。
「これは、君に対する呪いじゃない。君を望んで、君を求めて、君を抱きたい男に対する呪いだ」
ぽたりぽたりとわたしの肩に水滴が落ちた。それが汗なのか涙なのか、分からなかった。
「おれより性格の悪い魔術師がいると思わなかった」
「は……でぃ……?」
「これ以上の呪いは、ないよ」
氷のような声が、淡々と告げる。
「こんな行為になんの意味があるんだろうな。ただただ、出すだけなんて」
体が離れる。途端にハーディの気配が遠くなる。
男根が、抜き差しされる。けれど、わたしは何も感じなくなっていた。あんなに感じた男根の熱さも硬さも痛みも。
体の中からがつがつと揺さぶられる。内臓まで貫かれるようだ。
「……ぁ…な、に……これ…あっ」
「君は今なにも感じないはずだよ。王様以外の男に抱かれたあの王妃様のようにね」
これも呪いだとハーディは言っていた。
だからわたしがこれを喜んでも、ハーディはちっとも嬉しくなさそうにしていたんだわ。
律動が速くなる。
「……っ……はぁ……くっ」
ぐちゅぐちゅとした水音に交じって、ハーディの荒い呼吸が聞こえる。
自分がハーディに抱かれているのを、他人事のように感じていた。貫かれるたびに背中が浮くのも、引き攣るようになかが震えるのも、自分のことではないようだった。
一際大きく腰を引いて、凶悪な一突きが打ちつけられる。
「んあっ」
「これで、終わり」
膝を折りたたまれて、足の指を口に含まれた。浮き上がった腰を大きな手に抑え込まれる。抵抗できないまま、ゆっくりと舐られていく。
「ん……あ……ぁ…」
右足が終わったと思ったら、次は左足に責め苦は続いた。無意識に揺れる腰を宥めるように撫でる手にも快感を拾ってしまう。じわり、と体の奥が潤んでいくのを感じる。これもハーディには全部見えているんだろうか。
「ああっ」
長い指が秘所に触れた刺激で高い声が出た。
「もう濡れてる。随分と淫乱な王女様だな」
重い水音がわたしがどれだけ濡れているかを教えてくれる。ぬちゃぬちゃとした音だけが響く。闇の中でもハーディの指は的確にわたしの感じるところを突いてくる。
「いやああっ……あああっ」
秘裂をなぞる指の速度が速くなる。自分の喉から、あられもない喘ぎばかりが溢れていく。両手を拘束されているから口を塞ぐこともできない。
「あ、ああっ、んあああ」
駆け上がるように快楽が増していって、足がぴんとなって。もう来ると思ったその時。
指が、離れた。
力の抜けた体が寝台に沈む。はあはあと自分の呼吸だけが聞こえる。いなくなってしまったのかと思うぐらい、ハーディは静かだった。
「どうしてほしかったの?」
覆いかぶさってくる気配がした。闇の中からハーディの声が言う。裸の胸をざらざらとシャツが撫でる。
「なにって……」
快楽を求める浅ましさを透かしたような問いに、答えることができなかった。
「そうだよな。言えるわけないか」
低く笑って、手は胸に伸びた。
「っあああああ」
頂きを摘ままれて、びくびくと腰が跳ねた。じゅん、と蜜が滲みだしてくる。
「きっと君は、こうされたら感じるよ」
手のひらの中で潰されるくらいに胸が揉まれていく。痛みも感じるのに、同じぐらいに快楽も感じてしまう。
「おれじゃなくてもね」
「ああっ」
音がするぐらい、ハーディは強くわたしの首筋を強く吸った。
そこから先は残酷だった。
無慈悲な指が、舌が、快感を散々煽る。それなのに来ると思ったら焦らされる。暗闇に自分の喘ぎ声だけが消えていく。わたしから流れ出したものが染み込んでシーツが冷たくなっていく。
抱きしめてほしかった。肌に触れたかった。あのやさしい声が聞きたかった。
そのどれも叶えられることはない。ただただ、嵐のような快楽だけを与えられて、気が付けばわたしは涙を流して髪を振り乱していた。
もう何度達したか分からなくなったところで、衣擦れの音がした。ハーディがトラウザーズをくつろげる音。
「んあっ」
ぴちゅりと、男根が当てがわれる。お腹の奥が、求めてきゅっと収縮するのが分かった。
めりめりと屹立が押し進められる。十二分に濡れてはいたけど、それでも狭くて、まるで体を二つに引き裂かれるよう。痛みと内から焼かれているような熱さに息が出来なくなる。
わたしの中の空洞が、埋まっていく。
「……ああっ……もう……ゃ…っ」
「もう、全部挿入るよ」
頭の横に手が置かれた。寝台が沈み込む。
わたしの顔を、ハーディが覗き込んだのが分かった。
「三つ目の呪いが発動する条件は、君がなかで絶頂すること」
静かな声が降ってくる。
「おれは最初、これを君に対する呪いだと思っていた。君自身が抱かれることができない、そういう呪いだって」
こんなに近くに、わたしのなかにいるのに、今までで一番、ハーディを遠く感じる。
「だけど多分違うんだろうな」
手が、右胸の花に触れる。赤くぼんやりと花が光り始めるけれど、その光は弱くて、ハーディの顔は見えない。
「これは、君に対する呪いじゃない。君を望んで、君を求めて、君を抱きたい男に対する呪いだ」
ぽたりぽたりとわたしの肩に水滴が落ちた。それが汗なのか涙なのか、分からなかった。
「おれより性格の悪い魔術師がいると思わなかった」
「は……でぃ……?」
「これ以上の呪いは、ないよ」
氷のような声が、淡々と告げる。
「こんな行為になんの意味があるんだろうな。ただただ、出すだけなんて」
体が離れる。途端にハーディの気配が遠くなる。
男根が、抜き差しされる。けれど、わたしは何も感じなくなっていた。あんなに感じた男根の熱さも硬さも痛みも。
体の中からがつがつと揺さぶられる。内臓まで貫かれるようだ。
「……ぁ…な、に……これ…あっ」
「君は今なにも感じないはずだよ。王様以外の男に抱かれたあの王妃様のようにね」
これも呪いだとハーディは言っていた。
だからわたしがこれを喜んでも、ハーディはちっとも嬉しくなさそうにしていたんだわ。
律動が速くなる。
「……っ……はぁ……くっ」
ぐちゅぐちゅとした水音に交じって、ハーディの荒い呼吸が聞こえる。
自分がハーディに抱かれているのを、他人事のように感じていた。貫かれるたびに背中が浮くのも、引き攣るようになかが震えるのも、自分のことではないようだった。
一際大きく腰を引いて、凶悪な一突きが打ちつけられる。
「んあっ」
「これで、終わり」
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