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第一部

19.解呪~二つ目の呪い~ー①

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 親指の腹と人差し指で、頂きを摘まむ。それだけで電流が駆け抜けるほどの刺激だった。じんじんとお腹の奥の疼きが大きくなる。

「ああっ……やっ……ちがぅ…」
「何も違わないよ。ほら、こっちもだ」

 大きな手は秘所へと伸びる。
びっくりするほど、ぬるりとハーディの指が滑った。太ももを伝って滲みだしたものがシーツに染み込んでいく。手のひらで捏ねるように全体を包み込まれて、時折花芯に触れる。

「挿れるよ」
 ぷつり、とハーディの指がわたしのなかに入り込んできた。今まで、自分の指だってこんなところに触れたことはない。ざらりとした部分を長い指がとんとんと撫でる。その度に、きゅっと収縮して、指を締め付けてしまう。

「ああ……ぅん……あああっ」

 指が届かない奥が訴えてくる。ここを埋めるものを、求めているのだと。
 二本に増えた指が掻き回すように動く。粘着質な水音がわたしのなかから響いた。
 親指が、尖りに触れた。

 なかと外から同時に、責め立てられてびくんびくんと腰が跳ねる。爪先がシーツを蹴ってぴんっとする。
 ああ、来ると思った。恐ろしいほどの浮遊感とあの刺激が。

「……っ」
 ハーディが形のいい眉を寄せた。青い瞳が途端に鋭くなる。痛みを堪えるように、一瞬肩が震えた。そのまま、ハーディは指を抜いてしまった。

 来ると思ったものは来なかった。突然に放り出された体は快楽を持て余して、じりじりと苛んでくる。

「ゃ……いやっ」
 無意識に、ハーディの手を掴んでいた。その指は、わたしから流れ出したものでぬらぬらと光っている。
「君の味がする」

 彼は濡れた指をぺろりと舐めた。顔がかっと熱くなって、気づいた時には、もうハーディの腕の中にいた。駄々をこねるように身を捩ると、胸板に乳暈が触れて敏感になった体はもう何をしても快楽を拾うだけだった。

 ぴったりと密着すると、トラウザーズ越しの熱い何かが腰に当たる。
 ああ、これだ。これが欲しい。

「ぃ……や……っ…もう……」
 熱に浮かされたように、ハーディの胸に縋りついてそう言っていた。決定的なものが欲しくて、腰が揺れる。溢れ出す愛液は止まらなくて、トラウザーズにも染みを作っていく。

 分かっている。分かっているの。
 呪いがあるから、挿入れてはいけないって。そんなことをしたら、ハーディもわたしも大変なことになってしまう。

「そんな物欲しそうな顔するなよ」
 そう言ってトラウザーズと下穿きを脱ぐと、ハーディの中心に赤黒く筋の張った凶悪なものがある。下腹につきそうなぐらい、そそり立っている。

 恐る恐るそれに触れる。素手に感じる熱さは布越しとは比べものにならない。

「握って」 
 わたしの手では余る大きさだ。

「そう、そのまま上下に扱いて」

 言われるがままに手を動かすと、ハーディが小さな吐息を漏らした。
「……あぁ」
 今までに聞いたことのないものだった。

 何も考えずに屹立に口づけていた。舌を動かして舐める。わたしの口の中には収まらないほど大きくて、喉の奥が苦しくなる。ほんの少し、感じたことのない味がした。

 裏の筋をちろちろと舐めると、脈打つようにハーディのものが大きくなった。
 見上げると、燃えるような青い瞳を目が合った。野生の獣のような危険な光を宿している。
 けれど、それを恐ろしいとは思わなかった。むしろどこか愛おしいとさえ感じた。

「っく…」
 ハーディが低い声で唸る。

 喉の奥を抉るように腰が突き出される。ずんずんと繰り出される律動が激しくなる。苦しかったけれど、わたしは夢中でそれを舐っていた。

 ハーディの手がわたし頭を抑え込んだ。
 びくんと男根が震える。触れあった粘膜から確かにハーディを感じる。わたしのなかに彼がいる。わたしはそれを、強く強く吸い上げた。

「……っ…出るっ…」
 喉の奥に熱い飛沫が、打ち付けられる。口の中いっぱいに青臭さと苦さが広がって、噎せ返りそうになる。

 上手に息が、できない。
「だめ。全部飲み込んで」
 ハーディの手がわたしの口を塞いだ。二、三回嘔吐いて、わたしは粘性の高いそれを全て飲み込んだ。
 耳元でハーディが囁く。

「解けるよ」
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