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Ⅷ
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「水色なんだ。好きな色?」
最後に残ったショーツを感慨深く見つめて、博士はうんうんと頷いた。
「そういうわけでは……っ」
長い指が私の秘められた場所を撫でる。その指は分泌液でぬるりと滑った。
「大陰唇、小陰唇、そしてこれが陰核」
舌が陰核と呼ばれたそれを舐めしゃぶる。縦横無尽に、博士の舌は動き回って私の中に抜き差しされる。迎え入れるかのように、私の中が収縮する。
「はかせっ、なに………ああっ……だめっ」
分泌液は人体に無害なもので生成されているはずだ。だからといって、こんなところ。
「すごいね。本当に人間と同じようにできてるんだ。気持ちいい? オトハ」
私の体がびくんびくんと独りでに跳ねる。体の制御がどんどん効かなくなっていく。これが気持ちいいということなのだろうか。
「……変に……ぁ……なりそう」
「なんにも、おかしくなんかないよ。物理的刺激に反応しているだけだ。むしろ適正と言えるね」
そんなところでしゃべらないで欲しい。首を横に振ってみたけれど、快楽からは逃れられなかった。
「わか、りません。博士は、セックスがしたいのではないですか……ああン」
「うん、そうだけど?」
「だったら……ん、早くされてはいかが、でしょうか」
腰に当たる博士の陰茎はもう十分に勃起している。さっさと挿入すればいいのに。
「今、してる」
博士は笑って、また私の陰核に触れる。溢れる分泌液は滴るほどになってシーツに染み込んでいく。まるで、人間にするように、博士は私に不必要な愛撫を施す。
「こんなの……っん」
そうだ、触覚を切ってしまえばいい。声を堪えて制御系にアクセスしようと思ったところで、博士が私に口づけた。噛みしめた唇を舌が嘗め回していく。いつの間にか口腔内に侵食してきた舌が、私の舌を強く吸い上げる。もうそれどころではない。私は夢中で博士のそれに舌を絡める。
「だめだよ、オトハ」
深い口づけをされると息が苦しくなる。博士は苦しくないのだろうか。
「どうして、ですか」
こんなまどろっこしいことをしなくてもいい方法がある。人間にはできないけれど、アンドロイドには可能だ。そうすれば、博士は私の為に我慢しなくてもすむのに。
「僕は別に、君を使って自慰がしたいわけじゃないから。オトハにも悦くなってもらわないと困る」
「博士は、随分と、手慣れてらっしゃるようで」
「ははは。そりゃあ初心者講習を見てみっちり勉強したからね。脳内映像でも予習したし。まあ、実際にやるのは初めてだけど」
とても初めてだとは思えない。好奇心を悪用されるとこんなことになるのか。
長い指が分泌液をまぶすようにして、小陰唇に触れる。何度も何度も繰り返しなぞったと思ったら、一際強く弾くように陰核に触れた。模造品の子宮が疼いてたまらない。きゅうきゅうと、何もない空間を締め付ける。
「さ、もう僕もそろそろ限界だ」
シーツを掴む私の手に博士が指を絡める。
「イっていいよ、オトハ」
許可する声に、堪えていた何かが、はじけた。
「はか、せぇ……っああああ」
勝手に体が弓なりに反っていく。頭の先からつま先まで、何かが駆け抜けていくような感覚があって、目の前が真っ白になった。痺れるような電気信号に途絶したように動けなくなる。
「……ぁ……はぁ…」
「上手にイけたね」
「これは……なんですか……っ」
こんなもの、私は知らない。
「うんとね、絶頂。一般的にはイくって言うことが多いらしい」
これが、絶頂。弛緩した体が、ベッドに沈み込む。乱れた私の髪を、博士の手が梳いていく。
「君はいつも、とてもきれいだ」
囁かれる声は確かに耳慣れた博士のものなのに、不思議な周波数が混じる。それは胎の底を浚うように響いて、私の奥を震わせる。柔らかく、彼が耳朶を食む。
「痛いと思う。でももう挿入るよ」
こくりと私は首を縦に振った。
博士は膣口に硬い陰茎を宛がった。ああ、なんて熱い。そのまま、ゆっくりと博士は私のなかを進んでいく。体の内から焼かれるようだ。
「何、これすごい締めつけ。持ってかれそう……ぁ」
「……っ…ん……はか、せ」
博士が私の奥に到達する。自分でも触れられない、私の一番奥の奥。空白だった胎の中が、博士でいっぱいになる。
「だいじょうぶ? オトハ」
そう言う博士はちっとも大丈夫そうではない。溢れ出しそうな何かを、懸命に堪えている。
「問題あり、ません」
本当は体が二等分されるのかと思うくらい痛い。けれど、痛みだけではない何かがあって、私はそれをうまく説明できない。多分、まだ故障はしていないだろう。だから、大丈夫だ。
「これっきりだから」
それはどういうことだろう。
「だから、いいことも悪いことも僕だって、君が覚えていて」
考え始めた私の中を博士は抉るように突いた。私の意思に関係なく膣壁は陰茎に絡みついて締め付ける。博士が熱い息を吐く。
痛みの中に、確かに快楽が混じる。抜き差しの度に埋められていた空間を意識してしまって、切なくなる。私の中が博士の形に造り替えられていく。これではまるで病毒だ。たったこれだけのことで、私の全てが博士に染まっていく。
ああ、でも違う。
本当はもっと前からだ。
出会った時からもう、私は博士に侵されていたのかもしれない。
最後に残ったショーツを感慨深く見つめて、博士はうんうんと頷いた。
「そういうわけでは……っ」
長い指が私の秘められた場所を撫でる。その指は分泌液でぬるりと滑った。
「大陰唇、小陰唇、そしてこれが陰核」
舌が陰核と呼ばれたそれを舐めしゃぶる。縦横無尽に、博士の舌は動き回って私の中に抜き差しされる。迎え入れるかのように、私の中が収縮する。
「はかせっ、なに………ああっ……だめっ」
分泌液は人体に無害なもので生成されているはずだ。だからといって、こんなところ。
「すごいね。本当に人間と同じようにできてるんだ。気持ちいい? オトハ」
私の体がびくんびくんと独りでに跳ねる。体の制御がどんどん効かなくなっていく。これが気持ちいいということなのだろうか。
「……変に……ぁ……なりそう」
「なんにも、おかしくなんかないよ。物理的刺激に反応しているだけだ。むしろ適正と言えるね」
そんなところでしゃべらないで欲しい。首を横に振ってみたけれど、快楽からは逃れられなかった。
「わか、りません。博士は、セックスがしたいのではないですか……ああン」
「うん、そうだけど?」
「だったら……ん、早くされてはいかが、でしょうか」
腰に当たる博士の陰茎はもう十分に勃起している。さっさと挿入すればいいのに。
「今、してる」
博士は笑って、また私の陰核に触れる。溢れる分泌液は滴るほどになってシーツに染み込んでいく。まるで、人間にするように、博士は私に不必要な愛撫を施す。
「こんなの……っん」
そうだ、触覚を切ってしまえばいい。声を堪えて制御系にアクセスしようと思ったところで、博士が私に口づけた。噛みしめた唇を舌が嘗め回していく。いつの間にか口腔内に侵食してきた舌が、私の舌を強く吸い上げる。もうそれどころではない。私は夢中で博士のそれに舌を絡める。
「だめだよ、オトハ」
深い口づけをされると息が苦しくなる。博士は苦しくないのだろうか。
「どうして、ですか」
こんなまどろっこしいことをしなくてもいい方法がある。人間にはできないけれど、アンドロイドには可能だ。そうすれば、博士は私の為に我慢しなくてもすむのに。
「僕は別に、君を使って自慰がしたいわけじゃないから。オトハにも悦くなってもらわないと困る」
「博士は、随分と、手慣れてらっしゃるようで」
「ははは。そりゃあ初心者講習を見てみっちり勉強したからね。脳内映像でも予習したし。まあ、実際にやるのは初めてだけど」
とても初めてだとは思えない。好奇心を悪用されるとこんなことになるのか。
長い指が分泌液をまぶすようにして、小陰唇に触れる。何度も何度も繰り返しなぞったと思ったら、一際強く弾くように陰核に触れた。模造品の子宮が疼いてたまらない。きゅうきゅうと、何もない空間を締め付ける。
「さ、もう僕もそろそろ限界だ」
シーツを掴む私の手に博士が指を絡める。
「イっていいよ、オトハ」
許可する声に、堪えていた何かが、はじけた。
「はか、せぇ……っああああ」
勝手に体が弓なりに反っていく。頭の先からつま先まで、何かが駆け抜けていくような感覚があって、目の前が真っ白になった。痺れるような電気信号に途絶したように動けなくなる。
「……ぁ……はぁ…」
「上手にイけたね」
「これは……なんですか……っ」
こんなもの、私は知らない。
「うんとね、絶頂。一般的にはイくって言うことが多いらしい」
これが、絶頂。弛緩した体が、ベッドに沈み込む。乱れた私の髪を、博士の手が梳いていく。
「君はいつも、とてもきれいだ」
囁かれる声は確かに耳慣れた博士のものなのに、不思議な周波数が混じる。それは胎の底を浚うように響いて、私の奥を震わせる。柔らかく、彼が耳朶を食む。
「痛いと思う。でももう挿入るよ」
こくりと私は首を縦に振った。
博士は膣口に硬い陰茎を宛がった。ああ、なんて熱い。そのまま、ゆっくりと博士は私のなかを進んでいく。体の内から焼かれるようだ。
「何、これすごい締めつけ。持ってかれそう……ぁ」
「……っ…ん……はか、せ」
博士が私の奥に到達する。自分でも触れられない、私の一番奥の奥。空白だった胎の中が、博士でいっぱいになる。
「だいじょうぶ? オトハ」
そう言う博士はちっとも大丈夫そうではない。溢れ出しそうな何かを、懸命に堪えている。
「問題あり、ません」
本当は体が二等分されるのかと思うくらい痛い。けれど、痛みだけではない何かがあって、私はそれをうまく説明できない。多分、まだ故障はしていないだろう。だから、大丈夫だ。
「これっきりだから」
それはどういうことだろう。
「だから、いいことも悪いことも僕だって、君が覚えていて」
考え始めた私の中を博士は抉るように突いた。私の意思に関係なく膣壁は陰茎に絡みついて締め付ける。博士が熱い息を吐く。
痛みの中に、確かに快楽が混じる。抜き差しの度に埋められていた空間を意識してしまって、切なくなる。私の中が博士の形に造り替えられていく。これではまるで病毒だ。たったこれだけのことで、私の全てが博士に染まっていく。
ああ、でも違う。
本当はもっと前からだ。
出会った時からもう、私は博士に侵されていたのかもしれない。
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