14 / 17
1-13 まったく。レイってやつは!
しおりを挟む
まったく。レイったら本当に何考えてるのよ。部屋に来た四季王に突然俺から話し良いですか?って言ったと思ったら、突然旅に出ます~なんて言い出しちゃって。しかも四季王はそれを聞いた途端に元気になるし、レイもその反応を見た途端に肩の力抜いちゃってもう…。しかも結局今はまだ四季の国のなか?あぁもう……
「まったくレイってやつは!」
私が突然大声を出して文句を言ったせいでしょうけど、歩いてる途中で石のように固まってビビりながら私のいる方振り向いて…がっつり文句言ってやる!
「ねぇレイ~?なんで私がイライラしてるかわかる~?」
「そ、それは…あ、あああれだろ…?とと突然旅に出るとか俺が言うから、、、だだだだよな…?」
いやあのね。うんまぁそうなんだけど…。そうじゃなくって、あの時突然四季王に旅に出るって行って、四季王がすぐに納得してくれたのはよかったよ。でも…
「結局旅に出るってこと以外なんにも考えてなかったじゃない!しかもあの後に普通に行ってきますってかっこよく旅立てたのになんで今はまだ四季の国に居て、さらに普通にショッピングしてるのってことよ!」
そう…。私たちが今歩いているのは四季の国1番の商業地帯。ここには服とか帽子とかの生活用品も売ってるけど、ここではそれに加えて冒険者用の武器とか防具とかも売ってる。もちろんそれを買いに来たのが私たちの目的だけど…
「そ、それはもちろん冒険するために必要な物をそろえに…」
「そんなこと分かってるってば!ねぇなんで?どうして男はみんなあっさり物事が進めれちゃうの?あんなに迷ってた私が馬鹿みたいじゃん!」
四季王が私たちの部屋に訪れて、レイが旅に出るって言ったら、すぐに行ってらっしゃいなんて行って…。私はあの後物凄く深刻な話になるかな~なんて思って身構えてたのに、あっさり話も終わっちゃって、四季王は元なら準備してあったかのようにすぐにお金とか持ってきて………
「あぁもう……。レイ!早く済ませて旅に出るよ!」
「はっはい分かりましたクレハ様ぁー!」
結局あの後、四季王が私たちの旅に同意してくれて、冒険するには充分以上なくらいのお金も貰えたけど、まだ私たちの体にあう装備や防具は作れてないから近場の店で買って来いって言われて、まだ四季の国の中にいるってことだよね…。
しかもレイは私がイライラしてるのわかってるから、ずっと私と喋る時はビビりながらだし、声は震えてるし買ってくるものは何故か焼き鳥みたいな串焼きばかりだし…
「く、クレハ様!食べ物を買ってきました!」
「あら、レイ。ご苦労さま。それでこの焼き鳥みたいなのは何本目になるのかな?」
「えっあっ…まじか……。俺は無意識の間にいくつの串焼きを買ってしまったんだ……」
この反応を見る限り本当に焦ってたみたいね。よっぽど私に何か言われるとでも思ったんでしょうけど……
「ねぇレイ?私は別にレイが決めたことには文句はないの。それに、レイが言わなかったら私が言おうと思ってた」
「クレハ…。ありがとう。じ、じゃあ旅にも一緒に…!」
「あぁうん。それはいいけど、さっきの串焼きを売ってくれた屋台のお父さん。すごい不思議な顔してたから謝りに行った方がいいんじゃない?」
それをレイに伝えると、さっきの震えが戻ってきたみたいに震えながらそのお父さんの方を見たのでした…。めでたしめでたしっと。
「って終わらせられないよね。ほらレイ行くよっ」
まったくもう。レイったらこんな世界に来てもダメダメは変わらないのね。私がちゃんとサポートしてあげなきゃ。
「はっはい…。」
それにしてもレイったらいつの間に正座してたの。確かに私がレイにお説教する時はいつも正座させてるけど、何もこんな人が沢山いる商店街でまで正座しなくたっていいのに。
「あ、あの…おっちゃん」
「お?なんだい。またそのねぇちゃんに串焼き買ってやるのかい?ねぇちゃんもなかなか食いしん坊だねぇ」
な、なんだろう…レイが買った串焼きが全部私に来てるから私が食いしん坊って思われてるみたい…ここはなんとか言い訳しなくちゃ
「あ、いえそういう事ではなくて、私たちは旅に出ようと思ってここに来たんですけど、この子がこの串焼きが美味しいから持っていきたいってしつこくて」
とっさに考えた言い訳だけど…。レイが悪いってことは紛れもない事実なんだし、そんなに大きな嘘はついてないから大丈夫だよね
「おぉ、なんだい。旅に持って行ってくれるなんて、光栄だねぇ。それにしても仲のいい姉弟だねぇ。一緒に旅に出るのかい」
「………えっ?」
あれ…なんだか私たちのことを盛大に誤解してそう。まぁよく小学校の時は地域の人に仲のいい姉弟だねぇって言われること多かったけど…
「まぁいい。旅に出るってことは武器とか防具とか探してるのかい?でも、残念だけどこのあたりにはその類の店はないよ?」
「………えっ?そうなんですか?四季王からはこの商業地帯でそろえられるって教えられたんですけど……」
私が記憶を遡りながら俯くと腰のあたりでレイが指でバツを作って私になにか伝えようとしていた。とっさに自分のセリフを思い出してみても、何か言ってはいけないことを言った感じはしないし…。ほ、ほらこのお父さんもなんとも思ってなさそ…
「ってえぇなに!?」
目の前を見ると串焼き屋のお父さんがすごい形相でこちらを見ていた。慌ててレイの方をみて何が悪かったのか聞いてみると、耳を貸せとジャスチャーで返された。
「四季王。この世界。王様。この国。1番。王様。」
レイからは何故か単語ごとで伝えられる。本当になにがいけなかったの…
「俺達。貴族。違う。なのに。四季王と。仲良し。これ。普通。違う。だって。四季王。この世界を。支配した。すごい人。」
な、何となくわかったような…。つまり四季王はこの国の1番偉い人で、普通話すことなんて出来ないのに、私があっさり四季王から聞いたみたいな事言ったからこの串焼き屋のお父さんは驚いてしまったと…。
「えっ。つまり?」
「四季王と親しい存在ってことは、家族とかそういう存在に思われるかもしれないっていうのと、四季王の隠し子って思われる可能性がある。」
レイに言われてやっと自分の発言が誤解をうむかもしれないと気がつく。でも言ってしまったものは仕方がない…。せめてこのお父さんに納得して貰えるような言い訳を…!!
「も、もしやお前さん達…。四季王が影で育てているというあの噂の…なるほど。つまりお前さん達はこの世界を守るために旅に出ようとしてるってことかい。」
なんだろう…。このお父さんの雰囲気が突然変わった気がする。しかも、四季王が影で育てているというという噂の…?私たちが勇者って呼ばれるのを嫌がるからってお城の人達が気を利かせて、少し違う情報で噂を流したのかな…?でも。これは都合が良さそう…。でも変に補足すると危ないから、無言で頷いておこ……
「そうか…わかった。少し遠いが俺の弟が武具屋をやっているんだ。そこで良ければ俺が案内しよう」
「いいんですか?」
「あぁ。串焼きをたくさん買ってくれたお礼だ」
串焼き屋のお父さんはニッコリとこちらに笑顔を送ったあと、すぐに屋台の片付けを始めていた。片付けの間少し待っていてと言われたので、レイと少し相談を…と思ったけど、レイは自分の手を見つめたまま何か考え事をしていた。あの魔法のことかな。それとも、これから知るこの世界のことが不安なのかも。
「さぁ、少し待たせちまったな。案内するから着いてきてくれ」
「はい。案内お願いします」
「そうかしこまりなさんな。それにしても、2人は一体どんな武器を使うんだい?」
そっか。戦うためには武器がいるんだ。武器って何があるのかな。魔法があるから杖とかかな…。レイの魔法はすごいけど、私が使えるのは火だけみたいだし、魔法に慣れるまでは剣とかそういう武器を使うといいのかな。でも、この世界には私たちが知らない武器もあったりするのかも
「なぁおっちゃん。弟さんの店にはどんな武器があるんだ?」
あっ私が悩んでるからって、レイに気使わせちゃった。レイの方を見るとウインクとドヤ顔で猛アピールしてきた。私はそれに対抗して優しくおでこにデコピンして返してあげた。
「あぁ弟の店にはなんでもあるぞ。なんと言っても、四季の国でトップを争う店だからな。まぁ武器との相性なんかは弟に相談してくれ。俺はそっちの方向はダメなもんでな」
「四季の国でトップを争うってことは、相当すごいんですね…。っていうか。それならおっちゃんもそこで働けばいいんじゃないか?」
「あぁ、俺もそれは考えたさ。でもさっきも言ったとおりに俺はその類のものには疎くてな、まぁ兄弟仲は悪くは無い。それぞれ楽しく趣味でやってるって感じだ」
趣味で四季の国トップを争えるんだから、よほど才能があったのかな。多分このお父さんも弟さんに比べたらダメだったかもだけど、それなりに優秀な人な気がする。だんだんと歩いている内に、食べ物関連のお店は少なくなってきて、主婦のような人達がいなくなると同時に、いかにも魔法使いのような服装の人がいたり、剣を腰に携えた人も見かけるようになった。
「着いたぞ。ここが俺の弟の武具屋。ペガサスの羽だ!」
「ぺ、ペガサスの羽…?」
「店の名前の由来は弟に聞いてくれ。だが、ペガサスの羽はあらゆる運をもたらすと言われているんだ。きっとそれに関わる理由だったはずだ」
なるほど…。ではさっそく中へ!と思ったけど、さすが四季の国トップの武具屋さん。とんでもなく長い行列でした。列は特に止まっている訳ではなく、案外思った以上の速度で進んで行った。…でもそれの理由はすぐに分かった。それは店の回転がいい訳じゃなくて、並び疲れて店に入るのを諦める人が多くて、すぐにみんなが列を抜けるから。でも、列を抜けた人達が諦めきれずにまた後ろに並び直して…というとんでもないループがこの行列で行われていた。
「あぁ~こうも並んでたら面倒だな。裏口から入ろうか」
この行列に並ぶのか~と覚悟を決めていたのに、あっさり裏口から入ってお店の中に入れてしまいました。これぞ身内がいるからこそ出来ること。
「店の中は案外人少ないんですね。一度に店の中を回れる人を制限してるんですか?」
「あぁ。あの行列の理由でもあるが、そうでもしないと落ちついて装備を揃えられないだろう…?それにしても、思った通り。のんびり弟に2人を紹介する暇はなさそうだね。閉店するまで奥の家で待っていようか」
どうやらこのお店は表側は武具屋で、裏側は普通に家になっているようです。お店が閉店するまでの間、少しお邪魔して待つことになりました。
とは言っても、ずっとお邪魔しているのは迷惑だと思ったので、少し周りのお店を見てきますといってまた2人で周りを散策している。
「レイは何か気になるお店とかってあるの?」
「そんなこと聞かれても、この世界にどんな店があるのかわからないからなんとも言えないなぁ。でもお城であの兵士さんが言ってた、俺たちの世界のものを真似て作った道具が売ってる店が近くにあれば、見てみたいって思うな」
俺たちの世界にあるものを真似て作った道具。というのは、前にお城で私が無理やり部屋に連れ込んで質問した兵士さんが持っていたメモ帳の事。兵士さんはそれを売ってるお店があるって言ってたから探してみたいけど…。
「場所とかわからないもんね…。でももし冒険者用で作ってたらこの辺りにそのお店あるかも?」
「そっ。つまりそれを期待して探してみようぜっていう提案。クレハはどう思う?」
「賛成~♪ってそういえばレイ。四季王から貰ったお小遣いどのくらい余ってる?」
四季王からは私たち二人にそれぞれお小遣いを貰った。この世界の金貨だから価値はあまり分からないけど、四季王が聖金貨って呼んでた銀色のが15枚。金色の金貨が30枚。銀色の銀貨が50枚。銅色の銅貨が100枚で、大きさはどれも同じくらいの大きさで違いは重さと色くらい。聖金貨が大体100円玉みたいな色で、金貨は500円玉が近いかな?銀貨は一円玉みたいな色で、銅貨が10円玉…。私たちの世界のお金の色で考えると価値がごちゃごちゃになりそうだけど…ちゃんと覚えておかなくちゃ。
「ごめんクレハ。銅貨があと16枚…。」
「はぁ!?聖金貨とかはどうしたの!?」
「あいや、聖金貨とかはちゃんと使ってないから大丈夫。100枚あった銅貨が、あと16枚しかないって言うことで」
それでも大分使ってると思うよレイ…。えっと。レイが買ったのは例の串焼きで、残りが16枚だから使ったのは84枚?それで串刺しの値段が1本で銅貨6枚だったはずだから、レイが買った串焼きは合計14本…。
「串焼き買いすぎ!それとあのお父さんも三本同時に買ったら銅貨15枚になるくらいのお得にしなさい!!」
「おぉ、さすがクレハ。お客様にやさしい値段設定とお得なメニュープランを咄嗟に考えついた。」
あぁもう。頭痛くなってきたよ…。あとであのお父さんに提案しとこ…
「まったくレイってやつは!」
私が突然大声を出して文句を言ったせいでしょうけど、歩いてる途中で石のように固まってビビりながら私のいる方振り向いて…がっつり文句言ってやる!
「ねぇレイ~?なんで私がイライラしてるかわかる~?」
「そ、それは…あ、あああれだろ…?とと突然旅に出るとか俺が言うから、、、だだだだよな…?」
いやあのね。うんまぁそうなんだけど…。そうじゃなくって、あの時突然四季王に旅に出るって行って、四季王がすぐに納得してくれたのはよかったよ。でも…
「結局旅に出るってこと以外なんにも考えてなかったじゃない!しかもあの後に普通に行ってきますってかっこよく旅立てたのになんで今はまだ四季の国に居て、さらに普通にショッピングしてるのってことよ!」
そう…。私たちが今歩いているのは四季の国1番の商業地帯。ここには服とか帽子とかの生活用品も売ってるけど、ここではそれに加えて冒険者用の武器とか防具とかも売ってる。もちろんそれを買いに来たのが私たちの目的だけど…
「そ、それはもちろん冒険するために必要な物をそろえに…」
「そんなこと分かってるってば!ねぇなんで?どうして男はみんなあっさり物事が進めれちゃうの?あんなに迷ってた私が馬鹿みたいじゃん!」
四季王が私たちの部屋に訪れて、レイが旅に出るって言ったら、すぐに行ってらっしゃいなんて行って…。私はあの後物凄く深刻な話になるかな~なんて思って身構えてたのに、あっさり話も終わっちゃって、四季王は元なら準備してあったかのようにすぐにお金とか持ってきて………
「あぁもう……。レイ!早く済ませて旅に出るよ!」
「はっはい分かりましたクレハ様ぁー!」
結局あの後、四季王が私たちの旅に同意してくれて、冒険するには充分以上なくらいのお金も貰えたけど、まだ私たちの体にあう装備や防具は作れてないから近場の店で買って来いって言われて、まだ四季の国の中にいるってことだよね…。
しかもレイは私がイライラしてるのわかってるから、ずっと私と喋る時はビビりながらだし、声は震えてるし買ってくるものは何故か焼き鳥みたいな串焼きばかりだし…
「く、クレハ様!食べ物を買ってきました!」
「あら、レイ。ご苦労さま。それでこの焼き鳥みたいなのは何本目になるのかな?」
「えっあっ…まじか……。俺は無意識の間にいくつの串焼きを買ってしまったんだ……」
この反応を見る限り本当に焦ってたみたいね。よっぽど私に何か言われるとでも思ったんでしょうけど……
「ねぇレイ?私は別にレイが決めたことには文句はないの。それに、レイが言わなかったら私が言おうと思ってた」
「クレハ…。ありがとう。じ、じゃあ旅にも一緒に…!」
「あぁうん。それはいいけど、さっきの串焼きを売ってくれた屋台のお父さん。すごい不思議な顔してたから謝りに行った方がいいんじゃない?」
それをレイに伝えると、さっきの震えが戻ってきたみたいに震えながらそのお父さんの方を見たのでした…。めでたしめでたしっと。
「って終わらせられないよね。ほらレイ行くよっ」
まったくもう。レイったらこんな世界に来てもダメダメは変わらないのね。私がちゃんとサポートしてあげなきゃ。
「はっはい…。」
それにしてもレイったらいつの間に正座してたの。確かに私がレイにお説教する時はいつも正座させてるけど、何もこんな人が沢山いる商店街でまで正座しなくたっていいのに。
「あ、あの…おっちゃん」
「お?なんだい。またそのねぇちゃんに串焼き買ってやるのかい?ねぇちゃんもなかなか食いしん坊だねぇ」
な、なんだろう…レイが買った串焼きが全部私に来てるから私が食いしん坊って思われてるみたい…ここはなんとか言い訳しなくちゃ
「あ、いえそういう事ではなくて、私たちは旅に出ようと思ってここに来たんですけど、この子がこの串焼きが美味しいから持っていきたいってしつこくて」
とっさに考えた言い訳だけど…。レイが悪いってことは紛れもない事実なんだし、そんなに大きな嘘はついてないから大丈夫だよね
「おぉ、なんだい。旅に持って行ってくれるなんて、光栄だねぇ。それにしても仲のいい姉弟だねぇ。一緒に旅に出るのかい」
「………えっ?」
あれ…なんだか私たちのことを盛大に誤解してそう。まぁよく小学校の時は地域の人に仲のいい姉弟だねぇって言われること多かったけど…
「まぁいい。旅に出るってことは武器とか防具とか探してるのかい?でも、残念だけどこのあたりにはその類の店はないよ?」
「………えっ?そうなんですか?四季王からはこの商業地帯でそろえられるって教えられたんですけど……」
私が記憶を遡りながら俯くと腰のあたりでレイが指でバツを作って私になにか伝えようとしていた。とっさに自分のセリフを思い出してみても、何か言ってはいけないことを言った感じはしないし…。ほ、ほらこのお父さんもなんとも思ってなさそ…
「ってえぇなに!?」
目の前を見ると串焼き屋のお父さんがすごい形相でこちらを見ていた。慌ててレイの方をみて何が悪かったのか聞いてみると、耳を貸せとジャスチャーで返された。
「四季王。この世界。王様。この国。1番。王様。」
レイからは何故か単語ごとで伝えられる。本当になにがいけなかったの…
「俺達。貴族。違う。なのに。四季王と。仲良し。これ。普通。違う。だって。四季王。この世界を。支配した。すごい人。」
な、何となくわかったような…。つまり四季王はこの国の1番偉い人で、普通話すことなんて出来ないのに、私があっさり四季王から聞いたみたいな事言ったからこの串焼き屋のお父さんは驚いてしまったと…。
「えっ。つまり?」
「四季王と親しい存在ってことは、家族とかそういう存在に思われるかもしれないっていうのと、四季王の隠し子って思われる可能性がある。」
レイに言われてやっと自分の発言が誤解をうむかもしれないと気がつく。でも言ってしまったものは仕方がない…。せめてこのお父さんに納得して貰えるような言い訳を…!!
「も、もしやお前さん達…。四季王が影で育てているというあの噂の…なるほど。つまりお前さん達はこの世界を守るために旅に出ようとしてるってことかい。」
なんだろう…。このお父さんの雰囲気が突然変わった気がする。しかも、四季王が影で育てているというという噂の…?私たちが勇者って呼ばれるのを嫌がるからってお城の人達が気を利かせて、少し違う情報で噂を流したのかな…?でも。これは都合が良さそう…。でも変に補足すると危ないから、無言で頷いておこ……
「そうか…わかった。少し遠いが俺の弟が武具屋をやっているんだ。そこで良ければ俺が案内しよう」
「いいんですか?」
「あぁ。串焼きをたくさん買ってくれたお礼だ」
串焼き屋のお父さんはニッコリとこちらに笑顔を送ったあと、すぐに屋台の片付けを始めていた。片付けの間少し待っていてと言われたので、レイと少し相談を…と思ったけど、レイは自分の手を見つめたまま何か考え事をしていた。あの魔法のことかな。それとも、これから知るこの世界のことが不安なのかも。
「さぁ、少し待たせちまったな。案内するから着いてきてくれ」
「はい。案内お願いします」
「そうかしこまりなさんな。それにしても、2人は一体どんな武器を使うんだい?」
そっか。戦うためには武器がいるんだ。武器って何があるのかな。魔法があるから杖とかかな…。レイの魔法はすごいけど、私が使えるのは火だけみたいだし、魔法に慣れるまでは剣とかそういう武器を使うといいのかな。でも、この世界には私たちが知らない武器もあったりするのかも
「なぁおっちゃん。弟さんの店にはどんな武器があるんだ?」
あっ私が悩んでるからって、レイに気使わせちゃった。レイの方を見るとウインクとドヤ顔で猛アピールしてきた。私はそれに対抗して優しくおでこにデコピンして返してあげた。
「あぁ弟の店にはなんでもあるぞ。なんと言っても、四季の国でトップを争う店だからな。まぁ武器との相性なんかは弟に相談してくれ。俺はそっちの方向はダメなもんでな」
「四季の国でトップを争うってことは、相当すごいんですね…。っていうか。それならおっちゃんもそこで働けばいいんじゃないか?」
「あぁ、俺もそれは考えたさ。でもさっきも言ったとおりに俺はその類のものには疎くてな、まぁ兄弟仲は悪くは無い。それぞれ楽しく趣味でやってるって感じだ」
趣味で四季の国トップを争えるんだから、よほど才能があったのかな。多分このお父さんも弟さんに比べたらダメだったかもだけど、それなりに優秀な人な気がする。だんだんと歩いている内に、食べ物関連のお店は少なくなってきて、主婦のような人達がいなくなると同時に、いかにも魔法使いのような服装の人がいたり、剣を腰に携えた人も見かけるようになった。
「着いたぞ。ここが俺の弟の武具屋。ペガサスの羽だ!」
「ぺ、ペガサスの羽…?」
「店の名前の由来は弟に聞いてくれ。だが、ペガサスの羽はあらゆる運をもたらすと言われているんだ。きっとそれに関わる理由だったはずだ」
なるほど…。ではさっそく中へ!と思ったけど、さすが四季の国トップの武具屋さん。とんでもなく長い行列でした。列は特に止まっている訳ではなく、案外思った以上の速度で進んで行った。…でもそれの理由はすぐに分かった。それは店の回転がいい訳じゃなくて、並び疲れて店に入るのを諦める人が多くて、すぐにみんなが列を抜けるから。でも、列を抜けた人達が諦めきれずにまた後ろに並び直して…というとんでもないループがこの行列で行われていた。
「あぁ~こうも並んでたら面倒だな。裏口から入ろうか」
この行列に並ぶのか~と覚悟を決めていたのに、あっさり裏口から入ってお店の中に入れてしまいました。これぞ身内がいるからこそ出来ること。
「店の中は案外人少ないんですね。一度に店の中を回れる人を制限してるんですか?」
「あぁ。あの行列の理由でもあるが、そうでもしないと落ちついて装備を揃えられないだろう…?それにしても、思った通り。のんびり弟に2人を紹介する暇はなさそうだね。閉店するまで奥の家で待っていようか」
どうやらこのお店は表側は武具屋で、裏側は普通に家になっているようです。お店が閉店するまでの間、少しお邪魔して待つことになりました。
とは言っても、ずっとお邪魔しているのは迷惑だと思ったので、少し周りのお店を見てきますといってまた2人で周りを散策している。
「レイは何か気になるお店とかってあるの?」
「そんなこと聞かれても、この世界にどんな店があるのかわからないからなんとも言えないなぁ。でもお城であの兵士さんが言ってた、俺たちの世界のものを真似て作った道具が売ってる店が近くにあれば、見てみたいって思うな」
俺たちの世界にあるものを真似て作った道具。というのは、前にお城で私が無理やり部屋に連れ込んで質問した兵士さんが持っていたメモ帳の事。兵士さんはそれを売ってるお店があるって言ってたから探してみたいけど…。
「場所とかわからないもんね…。でももし冒険者用で作ってたらこの辺りにそのお店あるかも?」
「そっ。つまりそれを期待して探してみようぜっていう提案。クレハはどう思う?」
「賛成~♪ってそういえばレイ。四季王から貰ったお小遣いどのくらい余ってる?」
四季王からは私たち二人にそれぞれお小遣いを貰った。この世界の金貨だから価値はあまり分からないけど、四季王が聖金貨って呼んでた銀色のが15枚。金色の金貨が30枚。銀色の銀貨が50枚。銅色の銅貨が100枚で、大きさはどれも同じくらいの大きさで違いは重さと色くらい。聖金貨が大体100円玉みたいな色で、金貨は500円玉が近いかな?銀貨は一円玉みたいな色で、銅貨が10円玉…。私たちの世界のお金の色で考えると価値がごちゃごちゃになりそうだけど…ちゃんと覚えておかなくちゃ。
「ごめんクレハ。銅貨があと16枚…。」
「はぁ!?聖金貨とかはどうしたの!?」
「あいや、聖金貨とかはちゃんと使ってないから大丈夫。100枚あった銅貨が、あと16枚しかないって言うことで」
それでも大分使ってると思うよレイ…。えっと。レイが買ったのは例の串焼きで、残りが16枚だから使ったのは84枚?それで串刺しの値段が1本で銅貨6枚だったはずだから、レイが買った串焼きは合計14本…。
「串焼き買いすぎ!それとあのお父さんも三本同時に買ったら銅貨15枚になるくらいのお得にしなさい!!」
「おぉ、さすがクレハ。お客様にやさしい値段設定とお得なメニュープランを咄嗟に考えついた。」
あぁもう。頭痛くなってきたよ…。あとであのお父さんに提案しとこ…
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる